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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第27章 夏の甲子園千葉大会準決勝 龍谷千葉VS三街道
313/479

第305話 エースVS4番バッター①

 4番角田に対して、山田は初球スローカーブ、2球目スローボール、3球目はスローカーブを投じて、カウントは2ストライク1ボール。その間、角田は1度もバットを振っていなかった。


(今回もストレート狙いっぽいな。ならばお望み通り投げてやる。ボール球だけどな)


 4球目、内角の高めにボール2個分外れるストレートを投げる山田。カウントにはまだ余裕があるし、振ってくれたら儲けもん。そんな気持ちで投げたこのストレートに、角田はホイホイとバットを振ってきた。


(ラッキー。これで空振り三振だ)


 そう確信した山田だったが、なんと角田は強引にバットの軌道を変えて、ボール2個分高めに外れたストレートを見事捉えたのだった。


「カキーン!!!」


 センター方向に伸びていく打球だったが、若干ボールの下を叩いてしまったせいか打球角度が高く上がり過ぎてしまい、ホームランまではあと一伸び足りずセンターフライとなった。


(危なかった。次の対戦では例え見せ球だったとしても、ストレートは投げられそうにないな)


「うわー惜しい!」


「もうちょっとだったのに」


「山田VS4番角田の対決、初戦は山田に軍配が上がったか」


「まっ、スコア見てたから結果はわかってたんだけどね」


「それでも見ごたえのある対決だったな」


「見ごたえがあると言えば、次の回はいきなり4番の清村弟から始まるな。こっちの勝負も見ものだぞ」


 2回表。右バッターの清村弟から始まるため、マウンドには右の細田兄が立っていた。


(初回の攻防だけ見れば、ヒットどころか出塁すらできなかったうちに比べて、ヒット1本にあわやホームランの当たりを打った三街道の方に流れがきてしまってるな。この流れをうちに持ってくるには、ここで俺が4番の仕事をしないと。それにしても、まさか三街道がこんな継投策を使ってくるとはな。でもどんな作戦を立ててこようとも、細田兄弟が投げてくるなら問題ない。なんせこっちはずーと、お前ら兄弟を打ち崩すために対策を立ててきたのだからな)


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