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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第26章 夏の甲子園千葉大会準決勝 船町北VS千葉修道
294/479

第286話 2巡目①

 安達の空振り三振を見た船町北のチームメイト達は、驚きを隠せなかった。


(低めの球を見逃して三振するところはよく見るが)


(打てるコースにきた球を当てることすらできずに空振り三振なんて)


(比嘉が入部した時以来、久しぶりに見た気がする)


 そして何よりも驚いていたのが、安達自身だった。


(同じフォークボールを直前に2球も続けて見ていたのに……打てなかった。フォークボールの落差だけなら、ピッチングマシンのフォークの強と同じくらいだ。だが落ち始めがマシンのフォークよりも遅くて、しかもストンと急激に落ちてくる分どうしても反応が遅れてしまう。くそっ、せっかく相手が珍しく真向勝負してきてくれたってのに……このままじゃ全打席三振で終わっちまいそうだな)


 この後両チームは、2回3回と無失点のまま膠着状態が続いた。そして千葉修道打線が2巡目に入る4回の表。先頭バッターの野宮は、成長した吉田のピッチングを称えながらも、打ち崩す気満々で打席に立っていた。


(吉田、確かにお前のストレートは中々のものだ。この短期間でよくもまあこんなにも成長したな。だがしかし、春の大会で対戦した比嘉ほどではない。せいぜいうちのエースの中原と同じくらいのレベルだ。そのレベルのストレートで雑に押していくだけじゃ、うちの打線は攻略できねえぜ)


 そんな野宮に対して、吉田は内角高めへストレートを投じた。


「カキーン!!!!」


 野宮の打球はあわやホームランという、ライト方向への特大ファールボールとなった。


(惜しい。あとボール半個分甘く入っていればホームランだったのに)


 そして2球目。ど真ん中の甘いコースに向かってきたボールを見て、次こそはとフルスイングする野宮。しかし、吉田の投じた球はブレーキをかけながら内角低めへと落ちていった。


「ストライク!」


(しまった。なんてことない普通のカーブに空振りしちまった。落ち着け落ち着け。こいつは元々変化球ピッチャーじゃねえか。ストレート以外の変化球も頭の片隅に置いておかねえとな)


 そして3球目。外角にきたボールに瞬時に反応し、バットを振りにいく野宮。しかし、吉田の投じた球は野宮が想定したストレートよりも遅いゆっくりと落ちていくチェンジアップだった。咄嗟に振りにいったバットを止めようとする野宮。


「ぐっ!」


 しかし、審判はしっかりと見ていた。野宮がバットを止めきれず、僅かに回ってしまったのを。


「ストライク! バッターアウト!」


      123456789

 千葉修道 000

 船町北  000


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