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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
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第27話 龍谷千葉高校

 西暦2016年。5月3日。龍谷千葉高校野球部の監督室に、船町北対千葉修道の試合を偵察に行っていた部員がやってきた。


「監督、ただいま帰りました!」


「おう偵察ご苦労だったな。こっちもついさっき試合を終えて帰ってきたところだ。映像はばっちり撮れたか?」


「はい。バックネット裏の特等席を確保しておきましたから」


「どっちが勝った?」


「5対0で船町北が勝ちました」


「5対0だと! あの千葉修道打線を0点に抑えたのか。やはり船町北の守備力は侮れんな。さすがは去年うちの打線を10点に抑え込んだことはある」


(10点も取ったのに抑え込まれたって……まあ20点以上取ることもざらにあるうちのチームからしたらあながち間違ってもないか)


「じゃあ今からレギュラーメンバーを集めてミーティングを始める。みんなを呼んできてくれ」


「はい。ところで、今日のうちの試合結果はどうでしたか?」


「17対4のコールド勝ちだ」



「……それじゃあ投手別に対策を立てていこう。まずは今日先発だった水谷だ。右アンダースローからの変化球を低めに集める丁寧なピッチングに加えてオーバースローの直球を織り交ぜるという奇策で千葉修道打線を翻弄したようだが、ネタがわかっていればそれ程怖くはない。オーバースローの直球一本に絞って狙い打てばお前らなら簡単にホームランにできるだろう。何本かホームランを打たれればもうアンダーでしか投げられなくなるだろうからあとは去年と同様、バットを短く持ってギリギリまで変化球を見極めてコツコツ単打を積み重ねていこう。次は白田だ。右サイドスローからのスライダーとシュートで横に揺さぶりをかける投球術に加えてこの試合ではフォークボールまで投げているな。千葉修道打線は変にフォークを意識し過ぎた結果自滅してしまったようだが、うちは同じ轍を踏まぬようフォークは完全に捨てて、スライダーかシュートどちらか1本に絞って長打を狙っていけ。そして最後は黒山だが……まずいな。ストレートのキレとスピードが去年よりも数段パワーアップしてやがる。こいつを打ち崩すには……相手の球威に負けないスイングでバットを振りぬき、力と力の真っ向勝負で打ち勝つ。それくらいしか思いつかんが、全国各地から力自慢のホームランバッター達をスカウトして作ったうちの超重量打線にこれ以上ピッタリな作戦はない。今日の試合でうちの連続2桁得点記録は29試合になった訳だが、船町北からは去年10点しか取れていない。去年に比べてさらにパワーアップしている船町北から2桁得点をもぎ取るのはなかなかハードだが、うちの打線だって去年よりもパワーアップしている。さあお前ら、明日も2桁得点で記録を30試合に伸ばすぞ!」


「はい!」


「それじゃあ今日のミーティングはこれで終了ということで……」


「監督! まだ相手バッターの話をしていません」


「おうそうだった。すっかり忘れていた」


(監督って、ほんと攻撃にしか興味がないんだな)


「なんと言っても要注意は4番を打っていた安達だな。まだ1年生ってことは清村兄弟と同級生か。総次郎、総一、何か安達について知っているか?」


「千葉のシニアではそんな選手いなかったと思います」


「多分県外からの特待生とかではないでしょうか?」


「そうか。事前に知っていたら絶対うちにスカウトしたのにな。くそー惜しい人材を逃してしまった。ホームラン2本にツーベース1本って、今日の総次郎と同じ成績だな。総次郎、多分パワーだけならお前の方が上だ。明日は安達よりもホームランを量産して格の違いを見せつけてやれ!」


「はい!」


「じゃあ今日のミーティングは以上だ。明日に備えてしっかり休むように」


「ありがとうございました!」



(結局相手バッターの具体的な対策の話はないのか。まあいつものことだけど)


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