表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第24章 夏の甲子園への秘策
278/479

第270話 山田の助言②

「ストレートを改良ね……」


 山田のその言葉を聞いた瞬間、吉田は昔のことを思い出していた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(この人すげー!)


 吉田がまだ中学三年生だった頃、当時高校1年生だったのちの先輩となる黒山の投球を見て、吉田は感動していた。


(いつか俺も、こんな風にストレートでガンガン押していける黒山さんみたいなピッチャーになりたいな)


 当時、吉田のストレートはMAXで120キロが限界だった。しかし、どうしても黒山のようなストレートで勝負が出来るピッチャーになりたいと、遠投や筋トレなどとにかくガムシャラに球速を上げるためのトレーニングを積んでいった。


 それから1年後。船町北高校に進学した吉田は、黒山と同じチームに入って、憧れの黒山と一緒に練習をするようになったことで、黒山のようにはなれないという残酷な現実を思い知らされてしまった。


(今まで俺は精一杯努力しているつもりだった。でも黒山先輩は、そんな俺とは比べ物にならない量の練習をしていた。それで体格も俺より恵まれているんだから、俺なんかが黒山先輩のようなピッチャーになれるはずなかったんだ)


 それ以来吉田は、ストレートの球速を伸ばすことよりも、変化球に力を入れるようになっていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「今更150キロのストレートを投げられるようになれってか。無理に決まってんだろ」


「確かにたったの1カ月で、急激な球速アップは見込めないだろう。だが、もっとキレのあるストレートを投げられるようになら、今からでも可能性はあるんじゃないか?」


「キレのあるストレート?」


「ストレートの質が上がれば上がるほど、必然と変化球も生きてくるようになるだろ?」


「確かにそうだが……たったの1カ月程度でそこまで伸ばせるか?」


「大丈夫だ。なんたってうちのチームには、キレッキレのストレートを投げられる末恐ろしい後輩がいるじゃねえか」


「なるほど……比嘉からあのストレートを教われと」


「後輩に指導してもらうなんて、お前のプライドが許さないか?」


「いや、プライド云々言っている場合じゃねえ。よし、善は急げだ。俺行ってくるわ」


 部屋を飛び出した吉田を見ながら、山田は1人呟く。


「全く、世話の焼けるエースだぜ」


---------------------------------------------------------------


小説の続きが気になるという方は、ブックマークや

下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ