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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第21章 春季大会開幕
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第239話 春季大会の展望

 2017年。4月21日。春季大会初戦の前日。鈴井監督は選手を集めて、これからの春季大会での展望を語った。


「いよいよ明日から春季大会の本戦が始まる訳だが、日程は次のようになっている」


 黒板に書きだした春季大会のスケジュールを指し示す鈴井監督。


4月22日 1回戦


4月23日 2回戦


4月29日 3回戦


4月30日 準々決勝


5月3日 準決勝


5月4日 決勝


「対戦校を見た限り、恐らくシード権が確定する2回戦までは、いつも通りのうちの実力が出せれば勝ち残れるだろう。だが3回戦からは厳しい戦いが予想される」


 そう言うと鈴井監督は、黒板に対戦が予想される高校の名前を書きだした。


4月29日 3回戦 千葉修道


4月30日 準々決勝 龍谷千葉


5月3日 準決勝


5月4日 決勝 三街道


「順当に勝ち残っていけば、対戦相手は恐らくこのようになる。準々決勝の龍谷千葉は言わずもがなだが、3回戦で当たる予定の千葉修道も打線だけなら、県内でも龍谷の次に強力だ。この2つの高校相手に2日連続で対戦しなければならないというのは、かなりハードな戦いになるぞ。この2試合でそれぞれ誰を先発させるかは、1、2回戦での投球内容を見てから判断する。明日の先発は比嘉!」


「はい!」


「そして明後日の先発は吉田!」


「はい!」


「それぞれ自分の実力を存分に発揮してくれ」


「ちょっと監督! 俺の出番はないんっすか?」


「川合は……いつでも行けるように待機しておいてくれ。うちの秘密兵器としてな」


「秘密兵器……何てカッコイイ響きなんだ。ようし、やってやるぞ」


(まあ多分、出番はないだろうけどな)


「さて、次はうちの打線についての話だが、地区大会での点の取り方はまさしくうちが目指してきた機動力野球そのものだった。足を生かしたバントヒットや内野安打で2試合連続の二桁安打。2試合連続の二桁盗塁でしかも成功率は100%。そして2試合連続の二桁得点でのコールドゲーム。だが、それはあくまでも地区大会レベルのチーム相手での結果だ。大会で勝ち進んでいけばいくほど、当然ながら相手の実力は上がっていく。ヒットを打つのも盗塁を奪うのも、地区大会の時のように簡単にはいかないことを肝に銘じておけ」


「はい!」


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