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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第5章 春季大会2回戦 船町北VS三街道
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第23話 船町北VS三街道⑩

 6球目。黒山の投じた球は、まさかまさかのカーブだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 これは9回裏。黒山が三街道打線を7者連続三振に打ち取ってチェンジした後の黒山と鶴田の会話。


「黒山、大分コントロールが乱れてきたな。スライダーは全部ワンバンするし、ストレートも2回に1回は高めに浮いてる。安定してるのはカーブくらいか。もう交代してもらうか?」


「おいおい冗談言うなよ。コントロールはともかく今日のストレートは過去一の出来だぞ。多少高めに浮いても球威があるおかげで空振りしてくれるし、このまま押し切れるだろ」


「いいや。あいつだけはどうかな。3番の角田だ。前の打席でもボールには当てていたし、何よりスイングスピードがえげつない。このままじゃ次の打席で打たれるぞ。やっぱり交代してもらうか?」


「しつこいぞ。絶対交代なんてしねえよ。この回で逆点して、その裏を俺が10者連続三振で華麗にしめる。この俺の完璧なプランの邪魔すんなよ」


「わかったわかった。その代わり、次の回は全部俺のリード通りに投げてくれよ。お前のその完璧なプランを実現させてやるからさ」

 

「了解! 頼りにしてるぜ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 1球目の大きく高めに外れたカーブ。そして5球目の大きく外角に外れたカーブ。この2球はいずれも角田にカーブはコントロール出来ていないと印象付けるための撒き餌だった。そして6球目。角田の頭の中には、ストレート以外の選択肢が頭になかった。


(おっ、これは内角高めのストレートだ!)


 そう思った瞬間バットを振り始めた角田だったが、ボールはそこから外角低めに落ちていきバットは空を切った。


「ストライク・スリ―!」


 そして続く最後のバッターも黒山は見事三振に抑え、試合は幕を閉じた。


     12345678910 計

 船町北 0000001001 2

 三街道 1000000000 1


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