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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第20章 特待生 比嘉流星の入部
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第231話 新入部員3人の決断③

 全くいい所を見せられずじまいだった新入部員の3人が、落ち込みながら家に帰ろうとしていたその時、鈴井監督から呼び止められた。


「3人とも、せっかくだし寮の食堂でご飯でも食べていきなさい」


 腹ペコだった3人は、食い気味に了承した。




(なんだこのご飯の量は)


(この巨大な丼ぶりに山盛りって)


(食い切れる気がしない)


「いいか君達、食べることも練習だからな。体を大きくするためにも、残さず食べるんだぞ」


 監督にそう言われて必死に飯を掻き込む3人だったが、まだ半分しか食べていない状況ですでにお腹を抱えていた。


(こんなに食えねえよ)


(やべえ、先輩達はみんな普通に完食しそうな勢いで食ってるよ)


(あっ、安達先輩もう食べ終わったのか)


 空になった丼ぶりと、この日のおかずだった豚肉と野菜の炒め物が入っていた皿をトレーに載せて、安達は食堂のおばちゃんの元に向かっていた。


「おばちゃん、お替り!」


(お替りって)


(マジかよ)


(安達先輩、バッテングだけじゃなくて食欲もやべーな)


 そして安達の後ろには、同じく空の丼ぶりと皿をトレーに載せた比嘉も待っていた。


「おばちゃん、こっちもお替りお願いします」


(比嘉までお替りすんのかよ)


(あいつ、本当に俺達と同学年なのか?)


(規格外過ぎる)


 それから1時間ほどかけて何とか夕飯を食べ終わった3人は、今にも吐きそうな状態で帰宅しながら同じ決意を固めていた。


(俺の能力じゃ)


(この野球部の練習に付いていける気がしない)


(もう無理だ。退部しよう)




 翌日。まさかの新入部員3人揃っての退部の申し込みに、鈴井監督は頭を抱えていた。


(うちの野球部を舐めているようだったから、昨日の練習を通して少しは気合を入れ直してくれればと思っていたが、まさか3人とも辞めてしまうとはな。このままだと今年の新入部員は、比嘉の1人だけになってしまいそうだぞ。でもまあいいか。本気で甲子園出場を目指せる奴じゃないと、うちの野球部の練習には付いてこられないだろうからな。来年こそは新入部員をがっつり獲得するためにも、今年度の大会では何としても結果を残していかないとな)


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