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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第5章 春季大会2回戦 船町北VS三街道
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第20話 船町北VS三街道⑦

「高木ナイスプレー!」


「どんぴしゃの送球だったな高木!」


「イチローみたいだったぞ高木!」


 三街道ナインはファインプレーで7回の船町北の攻撃を終わらせたセンター高木を口々に褒め称えながらも、心の中ではこんなことを考えていた。


(さっきの打球やばかったな)


(あの低い弾道であそこまで飛ぶのかよ)


(高木のファインプレーというよりも、打球スピードが速すぎてアウトになった感じだったな)



「ナイスヒット!」


「よく打った!」


「これでやっと振り出しに戻ったな」


 船町北ナインはヒットで同点にした安達を口々に褒め称えながらも、心の中ではこんなことを考えていた。


(ベースランニング下手だったな)


(スライディングしてれば間に合ったかもな)


(守備錬しかしてなかったつけがこんな所にでちゃったか。次の試合までに走塁も練習させないとな)


 

 7回裏。黒山は先頭バッターをあっさりと三振に打ち取った。そして本日3回目の角田の打席が回ってきた。


(さっきの打席は甘いコースの球がこなかったが、試合も終盤。さすがに細かいコントロールは効かなくなってきているはずだ。ちょっとでも甘いコースにきたら絶対逃さねえぞ)


 そんな角田に黒山が投じた初球のストレートは、外角低めに投げるはずが予定よりも中よりの高めにいってしまった。


(よしきたー! これをホームランにしてまた逆転してやる)


「カーン!」


 角田が打った打球はボールの下を叩いてキャッチャーフライとなった。


(クソ! 思ったよりボールが伸びてきやがった。まだまだ元気じゃねえかこのピッチャー)


 その後も黒山はさらに好投を続け、次のバッターを三振。さらに8回9回と7者連続の三振に打ち取った。一方細田の方も負けじと、8回、9回、そして延長の10回2アウトまでなんと8者連続の三振に打ち取っていた。そしてあと1人で9者連続の三振となるこの場面で、安達の打席が回ってきた。


     12345678910

 船町北 000000100

 三街道 100000000


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