表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第5章 春季大会2回戦 船町北VS三街道
19/479

第18話 船町北VS三街道⑤

(バカ野郎! 確かにさっきは球をしっかり見ろと言ったが振らなきゃ意味ないだろうが! 全く、もう1回説教が必要なようだな)


 そう鈴井監督が安達を呼びつけようとしたその時、監督の隣に座っていたキャプテンの上杉がそれを制止した。


「監督、ちょっと待ってください」


「どうした上杉?」


「安達の様子をよく見てください。1打席目のあとは顔をうつむかせながら帰ってきた安達が、今は顔をあげて表情にもどこか余裕を感じます。きっと何かをつかんだんでしょう。次の打席、あいつ絶対打ちますよ」


「まあそうだな。あまり過保護にあれこれ言うよりも、今はあいつを信じてみるか」


 その後も両校エースはノーヒットピッチングを続けた。そして、7回表。船町北の3巡目の攻撃が始まった。


(1打席目はカーブにバットが出ずに三振。2打席目は逆にカーブを意識し過ぎてストレートにタイミングが合わずまたもや三振。思い返せば今日の俺は全部細田のカーブにやられている。それなら……)


 先頭バッターの星は、カーブを完全に捨てて、ストレートの中でも落差があまりなく比較的狙いやすい高めのストレート一本に狙いを絞った。


「カキーン!」


 細田が投じた初球は、奇しくも星が狙っていた高めのストレート。星はそれをしぶとくセンター前に運び、見事チーム初安打を放った。


(よし! これで安達まで打席が回る。ホームランが出れば逆転だ。ゲッツーにでもならない限り。そして安達の前のバッターは白田と水谷。この2人はなまじミート力があるだけにゲッツーになる確率が高い。ここは確実に送りバントのサインを出すか)


 2番バッター白田は、鈴井監督のサイン通り細田の初球をしっかりと送りバントを決めた。


(ゲッツーの心配がなくなった。ふー。これで安心して打てるぜ。安達、悪いが先にランナーを返させてもらうぜ)


 そう意気込んでいた3番バッター水谷だったが、2球目のカーブをひっかけてあっさりとピッチャーゴロに打ち取られた。


 そして、4番バッター安達の打席が回ってきた。


(さっきの2打席目、一見あっさりと見逃し三振をくらったようにも見えたが、どこか不気味な雰囲気を感じたんだよな。1打席目のスイングといいこの1年生はやはり危険だ。ここは厳しく攻めるぞ)


 キャッチャーの太田は、内角ぎりぎりの厳しいコースのストレートを要求した。


(ヒット1本で同点になる大事な局面。当てるくらいの気持ちで強気に投げきるぞ)


 細田の投げた球は、太田の構えたミットよりもさらにボール1個分内角をえぐる厳しいコースへと向かっていった。


(ヤベっ! 本当に当たりそう!)


---------------------------------------------------------------


小説の続きが気になるという方は、ブックマークや

下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をいただけたら嬉しいです。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ