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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第16章 練習試合14連戦
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第175話 初陣③

(おー! あれだけ警戒されている中で盗塁を成功させるとは。ベースランニングで足が速いことはわかっていたが、それ以上に盗塁のセンスがありそうだな。これでバッティングも良ければ、正捕手の座は西郷で決まりだな)


 鈴井監督の西郷評価がうなぎ上りする中、同じくキャッチャーの山田は焦っていた。


(西郷どんの野郎、俺が3回連続失敗した盗塁をまんまと成功させやがって)


 その頃、打席に立つ安達は盗塁を成功させた西郷のことなど全く意に介さず、ただひたすらこの言葉を呟いていた。


(3割3割3割……)


「カキーン!!」


 相手ピッチャーの外角球を、3割のスイングで捉えた安達。打球はレフトの手前に落ちるヒットとなり、セカンドランナーの西郷は3塁ベースを蹴って本塁へと突っ込んでいく。それを見て、ダイレクトでバックホームを試みるレフト。ヘッドスライディングで滑り込む西郷。果たして判定は……。


「セーフ!」


 点差を2点に広げる、安達のタイムリーヒットと西郷の好走塁。しかし、鈴井監督は怒っていた。


(西郷の奴、怪我のリスクが高いヘッドスライディングなんかしやがって。特にお前はキャッチャーだぞ。手や肩を少しでも痛めただけでプレーに影響が出るんだ。ちゃんと注意しないとダメだな。それと安達、何を呑気に1塁で止まっているんだ。レフトが中継を挟まずに送球したんだから、その隙に2塁まで走らんか。全く、安達はまだまだ野球脳が初心者のままだな。もっとみっちり勉強させなければ)


 続く5番バッター村田の打席での2球目。高めのストレートに村田が空振りする間に、安達は走った。


(今度は浮かせない!)


 さきほどの失敗を反省したキャッチャーの送球は、低めの若干1塁側というランナーを刺すのに1番理想的なコースへと向かっていた。


(完璧なコース。これで刺せない訳……)


「セーフ!」


(えっ……マジかよ)


 キャッチャーの予想に反して、安達は間一髪のタイミングで盗塁を成功させた。そして、この盗塁の成功が予想外だったのは、このキャッチャーだけではなかった。


(初回から散々走りまくってきて相手に警戒されまくる中、あれだけ完璧なコースに送球されて、ランナーはベースランニング最下位の安達。こんなの、セカンドが落球でもしない限り絶対に成功しない場面のはず。それなのに……なぜ?)


 なぜ安達が盗塁を成功させることができたのか? 鈴井監督が抱いたこの謎が解けるのは、もう少し先の話である。


 この後、船町北はさらに2点を追加し、点差を4点に広げて最終回を迎えた。このまま試合が終われば、船町北高校野球部新チームの初陣は幸先のいいスタートが切れたのだが、そうはいかなかった。


 ピッチャーの吉田にとって、9回を1人で投げるというのは初めての経験だった。そのため、最終回を迎えた頃にはすでに吉田はヘロヘロだった。そんな状況の中、不運な当たりやエラーなどが重なり、1点を返されて尚も2アウト満塁という大ピンチを迎えていた。しかも、この場面で打席に立っていたのは、吉田が6回にもソロホームランを打たれていた強打者だった。


「カキーン!!!」


 結果は満塁ホームラン。船町北高校野球部新チームの初陣は、逆転負けの黒星発進という最悪なスタートとなってしまった。


     123456789 計

 船町北 200000003 5

 千葉南 000001005 6


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