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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第13章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS龍谷千葉
146/479

第144話 満塁策

「カキーン!!」


 その打球音が鳴り響いた瞬間、セカンドランナーの星はスタートを切った。打球はファーストとセカンドの中間へ飛んでいく。


「抜けてくれ!」


 打った福山もセカンドランナーの星も、そう祈りながら走る。


 サードベースの近くまできた星は、そのまま本塁まで突っ込もうとさらにギアを上げる準備をした。しかし、3塁コーチをしていたキャプテン上杉の制止のジェスチャーが目に入り、慌てて足を止めた。


「アウト!」


 福山の打球は、飛んだコースこそ良かったものの打球の勢いが足りず、セカンドの西村に捕られてしまいアウトとなった。


(惜しかったな。でも、最低限の仕事はできた)


 ベンチへと戻ってくる福山に、鈴井監督はポンと肩を叩きながら一言呟いた。


「お前を2番にして良かったよ」


 


 1アウトランナー3塁。ここで迎えるは、3番バッターの黒山。龍谷千葉打線相手に8回までをノーヒットで抑えるエースでありながら、船町北打線の中でこの日唯一村沢からヒットを打っている好打者でもある。


(4番の安達は当然敬遠するとして、この黒山ともできれば勝負を避けたいところだが……普通は表の守備で、しかもわざわざ2人もランナーを出してまで満塁策を取るのは得策ではない。大量失点のリスクが増えるし、四死球1つで点が入ってしまう。今のコントロールが安定していない村沢が投げるなら尚更だ。やはりここは、黒山と勝負すべきか)


 キャッチャー馬場が黒山と勝負することを決めかけていたその時、村沢は馬場に向かって左手のグラブを1塁方向に向けて合図を出した。


(あいつ、安達だけじゃなくて黒山まで敬遠するつもりかよ。でも無理もないか。今日の試合で唯一ヒットを打たれている相手だ。苦手意識が付いてしまうのも理解できる。しょうがない。敬遠するか)


「ボール!」


「ボール!」


「ボール!」


「ボールフォア!」


 まさかの黒山にまで敬遠策を取る龍谷千葉に対して、観客達はもはやお決まりのようにブーイングをし始める。


 1アウトランナー1、3塁。そして、4番バッターの安達も、もはやお決まりのように敬遠する。


「ボール!」


「ボール!」


「ボール!」


「ボールフォア!」


 1アウト満塁。高校生らしくない敬遠策の連発に、観客達のブーイングは最高潮にまで達していた。


(最悪の雰囲気だ。ただでさえ限界の近い村沢に、この大ピンチをこの環境で投げさせるのは地獄だぞ。打たれたり四球を出す前に、もう交代させた方が……)


 そんなことを考えながらマウンドに立つ村沢の顔を見た馬場は、驚愕した。


(あいつ、こんな最悪な状況なのに……なんで笑ってるんだ?)


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