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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第3章 船町北高校入部
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第10話 今年の新入部員

 西暦2016年。4月14日。春季大会地区予選前日。

 

 この日までに入部した部員は安達を除いて13人。去年の夏の大会ベスト8、秋の大会ベスト4の実績がある高校としては少ない人数だが、つい2年前までは弱小だった船町北校にとっては2桁を超えただけでも喜ばしいことだった。しかし、今年の新入部員達の実力はというと……微妙だった。

 

 レベルの高いシニアチームや中学の野球部などでレギュラーだった部員は皆無。補欠レベルやレギュラーだったとしてもレベルの低いチームだったりと、即戦力になりそうな部員は1人もいなかった。


 そんな新入部員達の中に、ひと際目立つ1人の男がいた。その名も川合俊二。身長190センチ。体重85キロ。つい先月まで中学生だったとは思えないほどの恵まれた体型の持ち主。新入部員の自己紹介の際に初めて川合を見た鈴井監督や部員達は皆こう思った。


(こいつはすごそうだ)


 しかし、そんな期待は川合の自己紹介が始まった瞬間、無残に打ち砕かれた。


「川合俊二。中学時代はバレー部でした。野球は未経験です」



 そんな訳で、この日発表された春季大会地区予選のベンチ入りメンバーの中に今年の新入部員は安達以外1人も入らなかった。そして2年生メンバーも、レギュラーは外野手でリードオフマンの星のみ。他の2年生は補欠でベンチ入りするのがやっとの状態だった。


(うちのチームは本当に選手層が薄いな。甲子園出場を狙えるとしたら、今年の夏がおそらくラストチャンスだろう。そのためにも、まずは春季大会でベスト16以内に入って夏の大会のシード権を取らないとな)


 鈴井監督は春季大会を前に改めて気を引き締めていた。


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