【父と娘】
初投稿です。
小説書くのも初めてです。
何かご指摘があれば遠慮なく言ってください。ただし、優しい言葉でお願いします。
朝、目を覚ます。
40代も半ばにさしかかり、体を起こすだけでも疲労を感じるようになった。
埃っぽい布団と片側の空いたダブルベッドに目を落とすと自然と大きなため息が漏れた。
重たい体を引きずるように歩き、冷たい水で顔を洗って、いつも通り洗濯機を回し、二人分の朝食を用意する。
「ふぁー…おはよ。あ、今日すぐに出るからご飯いらないよ。」
暫くすると、長い髪に躍動感溢れる寝グセをつけた娘の衣知子がまぶたをこすりながら起きてきた。
「いらないって…せっかく早起きして作ったんだぞ。それに勉強するのに朝ごはん食べないと頭働かないだろ!」
「朝から大きな声出さないでよ。私だって忙しいんだから怒ることないじゃん。」
「いつも我が儘ばかり言うからだろ!その学校だって誰のお陰で通えてると思ってるんだ!」
こんなこと言うつもりはなかったが、娘の最近の言動は目に余る。
少し厳しいかもしれないが、今は断固とした態度をとるべきだろう。
「だからな…パパもこんなこと言いたくないが、衣知子ももっと…」
「ママ。」
「ん?なに?」
「学校。ママのおかげで通えるんじゃん…パパ働いてないし。てか、ご飯だってママが朝早くに仕事行く前に作ったやつじゃないの?」
「それはほら、今パパの話はしてないし。朝ごはんも言いたいことはそういうことじゃなくて、それより衣知子は…」
「あーもう、こんな時間!遅れる!」
「待ちなさい!話はまだ!」
「今から着替えるのについてくる気?きも!」
娘は、そう吐き捨てて乱暴に脱衣室の戸を閉めた。
まったくいつも自分のことは棚にあげて、何か困ると女の特権をつかってくる。父が娘に勝てないとよく言うがこのままで良い訳がない。娘のためにも。
30分ほどして、脱衣室から娘が出てきた。
寝グセを直し、制服をオシャレに着こなして、控えめに言っても学校で一番美人なのは娘だと思う。親の贔屓目で見ていることを差し引いても娘以上の美人を見たことはない。
「じゃあ、いってきまー。」
さっきまでの喧嘩なんてなかったように明るい声で出掛ける娘につられ、喧嘩していたことも忘れて、いってらっしゃいと明るく送り出した。