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よくわからないけど転生するようです

 時は現代、至って普通の日常、いつもの生活を送る毎日。

 別に楽しみがないわけじゃない、趣味だってあるし好きな女の子とかエロい妄想とか食べたい好物とか。

 そう、至って普通の一般市民、日本と言う国に生まれて普通に学校行って普通に卒業して普通に仕事について.....。

 まぁ本当にただの一般市民.....そう、一般市民....。

 ...のはずだった。

 こんなことになるまでは....。


 サイレンの音が鳴る、人々の悲鳴が飛び交う。混沌とした音、音、音。

 俺は床に伏せている、いや立ち上がれないでいる、胸が熱い、体から液体が漏れる。これは...血だ。

 よく思い出せない、唯一覚えているのは胸のあたりを鋭利なもので刺され体から力が抜け床に倒れたところ。

 刺された?なんで?俺は何かしたのか?至って普通の生活をしてきた、仕事だってしてきたしちゃんとお母さんに言われた通りに人に迷惑を掛けずに生きてきた。

 たぶん...。

 でもでも絶対刺されるようなことはしてない!

 てかなんで俺刺されてるの!?意味が分からない!

 刺したやつ誰だ!?

 めっちゃくちゃ痛いんですけど!?勘弁してくれ...。

 まぁたぶん通り魔ってやつ?に刺されたんだろうけど....なんで俺だったんだろう。

 まぁでも他の人が刺されてないならいいのか?目が開かないから確認できないけど。

 あぁ眠くなってきたなぁ.....これから死ぬのかぁ

 24歳童貞、こんなことならさっさと好きな子に告っときゃ良かった....こんな所で俺の人生は終わりか....。


 ....いつ死ぬんだ俺?長くね?てかさっきから悲鳴も聞こえないような....?

 耳も聞こえなくなったのか?いよいよ死ぬ...いやいやいや思考めぐってるんですけど?なに?死ぬ前って普通にこんな風に考えてられるものなの?

 こう...大量出血とかで脳に血が行かなくなって眠る様に死ぬとかじゃないの?なんなの?焦らしプレイですか?

 早く死ねよ....一人で誰の突っ込みもなく考えてると虚しくなるじゃん.....ってさっきから痛みも感じないような....?

 あれ?なんか暗いけどさっきほど暗くない?音も聞こえないし痛みもない...手足の感覚、眼は...口は、感じない....。

 何も感じない、異様な浮遊感だけが思考を支配する。

 何が起きているんだ?


《こんにちわ、新たな転生者》


 うわぁ!?誰!?


《私は案内人(エルド)、貴方を新たな世界に導く者です》


 ....はい?えるど?なにそれ?新たな世界?は?何言ってんのこの人...。


《転生者よ、貴方は自身に起きた現状を理解できていますか?》


 現状...てかさっきからもしかして会話してる?俺声は出してないけど考えてることが伝わってる?


《はい、伝わっております。現在、貴方は新たな体に転生するためにここで待機しているのです》


 新たな体ねぇ?なに、俺あれなの?最近よくある異世界転生ってやつが出来るの?


《はい、現状は理解できているようですね。たまに現状を理解できず混乱し錯乱する人もいるので》


 分からなくもないな、むしろ俺が今普通にアンタと話している事の方がおかしいのかもしれない。

 うん、わかった!なんかよくわからないけどとりあえず把握した!

 で、俺はいつ転生するんだ?


《はい、転生するためにいくつか質問に答えていただきます。その後解答に基づき新たな体を生成します》


 おお!なんかゲームみたいだ!あれかなぁよくある「俺は最強の力を持つ魔術師だぜ...」とか「俺は勇者だぜ!」とかなるのかなぁ...なんか楽しくなってきたぜ。


《それでは質問をします、転生するならどのような体を所望しますか?》


 ほうほういきなり大本命、そうだなぁどうせ転生するならこう身軽で自由で魔法とか使えて...あ!でもでも剣とかも使いたいなぁ....勇者とかになってり~騎士団長になってり~。

 魔王ってのもいいな!あ~最強の魔術師もやってみたいなぁ~~~。

 よし!全部の事をこなせる体になりたいです!!


《....了解。新たな体を生成します、次に能力を選択してください》


 なに?能力?なにそれ?


《次の転生世界で転生者だけに許された特殊な力です、様々な能力が存在しその中には世界の運命を変えうる力を持つ物などもあります》


 まじか!かっこいい!あれか!主人公最強タグが定着するやつか!いいね!!

 じゃあなんかこー世界の全てを変える様な......。

 .......いや、なんかやめた。

 そういやよくよく考えたら俺は人の上よりも下にいる方が好きだし世界の運命とか変えるとかそんなのめんどくさいしなぁ....なら転生した先で何気ない日常を遅れて何気ない暮らしをできるような、そんな風に平和に暮らせるような力が欲しいなぁ


《....理解不能、何気ない生活をするなら能力でやらなくてもいいかと思います》


 まぁなんだ!苦労なくゆるーく暮らしたいんだよ俺は!

 あ、でもどうせならここであったのも何かの縁だしアンタとこれからも話せるような力が欲しいな!

 その方が楽しいし!


《.......本当にそれでよろしいのですか?》


 ああ!どうせ転生先は俺の知らない世界で俺の知らない常識や生活がある世界なんだろ?

 なら...一人だけでもいい、俺と言う人間がちゃんと現代に生きてきたって言う事実を知ってる人がそばに居て欲しい!

 だから俺はアンタと友達になりたい!友達になれる力が欲しい!!


《了解。能力(ウェーブ)心理共有(サイキ)】を譲渡します》


 なんか「うぇーぶ」とか「さいき」とか「えるど」とか知らない言葉ばっかだなぁ、たぶん次に転生する世界の言葉なんだろうけど...。

 いや待てよ?「ウェーブ」って波って意味のアレか?英語か?

 まぁいいや。


《体の制作、および能力の定着が完了いたしました。それでは転生を開始します》


 いよいよだな...新たな世界か、ファンタジーって感じの場所なのかな?それとも現代に近い感じなのかな?

 わくわくもあるけど不安もある、人間なんだろうか?怪物なのだろうか?

 ちゃんと生きれるのだろうか、今度はちゃんと自分に自信を持ち生活できるのだろうか?


 そんなことを考えていると暗かったはずの目の前が明るくなっていく、思考が真っ白になっていく...。

 生まれ変わる....そんなことを心に刻まれるような感覚を覚え俺は意識を失ったのだった....。


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