009 異世界の事を色々と聞いてみた。
本日5話目になります。
この世界に来て、初めて言葉の通じる相手に出会ったのだ。
精霊だろうと何だろうと深い事は考えずに情報収集しよう。
まずは…………。
「興味があるんなら食べてみるか?」
そう言って二人の前に食べていた物と同じヤツを出してやる。
「お、おい! 今何処からどうやって食いモン出したんだ?」
「なんかぁ~少ぉ~し、魔力をの揺らぎを感じましたけどぉ~、不思議ですねぇ~。」
もしかしてアイテムボックス知らないのか?
こちらの世界にはない技術なのか?
「食べ物とかを保管する魔法だよ。 知らないのか?」
「魔法だと? そんな理の魔法は初めて聞くぞ?」
理って道理とか概念って意味だったよな?
アイテムボックスなんて空間魔法は存在しないって事か。
むやみに人前で使うと危ないな、今回は精霊みたいだしセーフ? という事にしとこう。
「もしかしてぇ~、あなた理の外から来た人さんですかぁ~?」
また分かりにくい事を…………理の外ってこの世界以外って意味か?
「ああっ、よそ者か! それなら全て納得出来るな!」
何か勝手に納得して、『あははっ』と豪快に笑ってるぞ。
「二人で勝手に話されても俺には良く分からないんだけど。」
二人に説明を求めると、素直に自分達が出した結論を話してくれた。
二人によると、俺は見た目は普通の人間に見えるけど、何か雰囲気と言うか、体に纏っている魔力(魔力なんてそんなモノを纏ってるのか?)が全然違うそうだ。
「まぁ、私らのような精霊だからなんとなく分かるって位だからな。 普通の人間なら分からないんじゃないか?」
精霊とか特別な力を持ってるヤツ以外は見分けは付かないらしい。
「魔力が多くてぇ~、高レベルとかの人ならぁ、普通の人でもぉ分かると思うけどぉ~。」
高レベルの人間は普通の人でも気付くが、結局レベルが高いだけの普通の人間なので、違和感は感じないらしい。
それで、自分達の知らない魔法を使ってるから、この世界の人間じゃないと結論を出したと。
「……まぁ、当たりだ。 俺みたいな……二人にとって異世界人か? 良く来るようなものなのか?」
異世界人の存在を知ってるみたいだから、俺が初めてでは無いハズだ。
「私らより永く生きてるヤツらから聞いた事があるだけだぜ。 私らが生まれてから、実際に見たり聞いたりしたのは初めてだ。」
生まれてから初めてって、二人はどれだけ生きてるんだよ? 人間と同じような年齢じゃないよな、やっぱり。
「私らか? 私は若いぞ! 3千年位だ。」
「私はぁ~、4千年位ですぅ~。」
「嘘言うな! お前は8千年だろう、サバ読むな!」
サバって倍の4千年も若く言うか……って精霊も年齢? を気にするのか?
「ぶぅ~、ぶぅ~、ちゃぁんと樹齢は4千年に見えるようにしてますぅ~う!」
樹齢誤魔化せちゃうんだ……。
「まぁ年齢はこの際どうでもいいんだが、どれ位前の話なんだ?」
「2万年とちょっと前か? そいつのお陰で魔法技術が偉く進歩したって話だぞ。」
「もしかして俺もこちらの世界に何か変化を齎す為に呼ばれたって事か?」
それなら事前にキチンと説明していて欲しい物だ。
「ん? 知らないぞ! 聞いた話だとそいつも訳の分からない内に此方に迷いこんで、好き勝手してたって言ってたし。」
やっぱり俺と一緒で説明無しかよ……こちらの神様よ。
「……一つ聞くが、此方に神様ってのは存在するのか?」
「藪から棒になんだよ。居るに決まってるだろう。お前の所は居ないのか?」
やっぱり居るんだ…………神様。
「でもぉでもぉ~、神様はぁそんなヤツ知らないって言ってたそうですよぉ~。」
「ああっ神様曰く、『この世界に害が無く良い変化を齎すだけなら良いんじゃね?』って言ったって話な!」
軽いなオイ!
そして神様は関係無いと……後、はっちゃけて無茶な事をやって神様の怒りを買う事は絶対に避けよう。
「なぁ、話はその位にしてさ……これ食っていいか?」
そう言えば食べ物出してやってたんだった。
食べながらでも話は出来るし、冷める前に食べた方がいいな。
「おう、すなんな食ってくれ!」
と言うか、実体が無いみたいだけど食えるのか?





