004 マジで!
カーテン越しの日の光が顔に当たり目を覚ます。
「ここは……。」
周りを見渡すと、いつものように見慣れた自宅の寝室。
「やっぱり夢かよ! そうだよな、あんな何の捻りもない展開なんて有り得る訳が無い。 ラノベとしては失格だよね! あんな簡単に『ステータス』って言うだけで見れるなんて……見れたよ⁉」
今俺の目の前に半透明のスクリーンが見える。
「えっ……マジで!」
どうやら夢では無いらしい。
ステータス画面を見るとMPが120になっている、前回調べた時の倍だ。
スキル欄に光属性と空間属性が追加されているので、どうやら空間転移魔法が成功したようだ。
「本当になんてイージーモード……もしかしてこれがチートか!」
その割りにはショボいステータスだよな!
最初から出し惜しみせずにババンっと高けりゃいいのに。
本当にこんな設定のラノベなら読む気も起きないが、リアルなら断然有りだ!
俺は楽がしたい! イージーモード万歳! チート最高ーっ!
「MPは倍になってるし、前回出来たんだから問題無いだろう。 『転移』」
あちらの世界の森の中を思い浮かべて転移魔法を発動する。
一瞬のうちに見慣れた自宅の寝室から森の中に景色が移る。
「おおっ、成功したようだ。 『ステータス』 」
すぐさまステータス画面を出してMP消費を確認する。
MPは50減って残りは70になっていた。
「MP消費は50か……異世界転移でたったの50ポイントと思うべきか、現在の約半分もMP消費すると思うべきか。」
MPは魔法を使えば増えるんだから、これからドンドン増やしていけば問題無いか。
「現時点でも往復出来るMPはある訳だしな。」
そう考えれば、なんだか楽しくなってきた。
「手軽に元の世界と異世界を往き来出来るからな! どう言う成り行きでこうなったのかは分からないけど、とりあえず……『いやっふーーーー!』」
そう思っていたら急にお腹がなった。
「そう言えば何度も気を失ってたから忘れていたけど、昨日の朝から何も食べて無いな。」
森の中に居ても食べ物なんて無いので(探せばあるかもしれないけど)転移魔法で自宅に戻る。
やはり50ポイント消費すればいいみたいだ。
今回は少しムカつきはある物のそれほど酷い状態ではない。
残り20ポイントあるから、ここで魔法使用を止めておけば問題無いだろう。
軽く食事をしてから魔力を回復すべく、ベットにダイブする。
目を覚ましてステータスを確認するとMPは125になっていた。
「使用量的には100ポイント消費してるのにたった5しか増えて無いな。 前回はいきなり倍の60ポイント増えたし……増える法則が分からん!」
もしかすると枯渇状態が関係するのかな?
結構そう言う設定ってあるよね?
「前回はMP60で光魔法で10ポイント、空間転移で50ポイントで残量0だったからな。」
余裕のある状態と酷い状態でも余り変わりが無いなら完全枯渇がMPを増やすのに美味しいな。
気分が悪いと思う前に意識が無くなるから辛くはないし。
「魔法の強弱でも魔力消費量は変わると思うから、しっかりと計算して最後に自宅の寝室に転移すれば楽にMP増やせるハズだ。」
何事も実践して検証するしかないよな。
そう考えつつ、俺はまた異世界へと転移した。
現在のステータス
◆ 名取 禅 25歳
人種 人間
職種 異世界の妄想家
Lv 1
HP 30
MP 125
スキル
属性魔法 火・水・風・土・光・空間





