030 魔道具屋に着きました。
大聖霊曰く、見渡す限りの世界樹のある世界が理想郷。
なんて話を聞きながら魔道具屋を目指す。
……そこまで行ったら有り難みの欠片も無くなるよね。
「だからぁ~、私はぁそんなに凄いとはぁ~、思わないんですぅ。」
確かに妙に説得力がある話だった……けど。
「世界樹の事情は良く分かったけど……ポーション作りと関係無くね?」
「まぁ~、そうだな。」
あはははは~、と笑ってるよ。
「私のぉ~、話をするからぁ脱線するんですよぉ~。」
言われて見ればそうだな。
まぁ加護云々は置いておいて、調剤とか錬金術は術師に弟子入りしたりして学びながらスキルを取得するそうだ。
「独学でも出来ない事は無いから、教本とか買って勉強すれば良いんじゃね?」
特にゼンの場合は簡単にスキルを手に入れそうだ、なんて言ってるよ。
うん、自分でもそう思う。
ビバッ! イージーモード!
「確かにポーション作りは魅力的だから、後で本とかを探してみよう。」
ポーションも良いけど、まずは魔道具屋だ。
「ここが魔道具屋じゃね?」
ディーネが指差したお店の前には、異世界ファンタジーには似合わない近未来的な物が並んでいた。
「エアバイク?」
未来のロボットアニメとかで、良く出てきそうなデザインな乗り物がある、本当に魔道具屋か?
「エアバイク? なんだそりゃ? コイツは魔道車だぞ。」
俺のつぶやきを聞いて店の中からオッサンが出てくる。
お店の人だろうな。
「いらっしゃい、魔道車を探してるのか?」
「それもだけど他にも色々かな。」
俺は魔道車以外にも生活用の魔道具が欲しい事を話す。
「魔道コンロや照明とかだな、奥にあるぜ。」
まずは最初の目的通り生活用品から見る事にした。
「魔道コンロは形的には俺の知ってるヤツと変わらないな。」
基本的に2ヶ所鍋とかを乗せる場所がある、普通のガスコンロっぽい感じだ。
あとは、電子レンジのような魔道オーブン。
「これは冷蔵庫か?」
ホテルの個室なんかに良くある、小さいサイズの冷蔵庫があった。
「夏場に冷えたエールは最高だぜ!」
オッサンはやっぱり酒に目が行くのか……セールスポイントはそこか?
「だってよ、肉なんか野菜はカード化すれば保存は問題無いだろ? 他に何に使うんだよ?」
そうか素材はカード化出来る世界だったな。
エールなんかも冷やしてからカード化すれば良いので、そんなに大きい冷蔵庫じゃなくても良いそうだ。
「基本的にぃ~、一度カード化すればぁ、戻さない限りはぁ何十年も持ちますしねぇ~。」
カード自体が劣化しない限り素材は問題無いそうだ。
お陰で食料とかの無駄が無くなるので、不作で食糧難になる事も珍しく、安定しているので食品も安いんだそうだ。
「食い物関係も作ってからカード化すれば、何時でも出来立てを食べれるし、待たずにすむからな。」
「まぁ、そう言うこった。 物をちょっと冷やすだけなら、そんなに魔力は要らんから便利だぞ。」
何でもかんでもカード化なんだな……俺のアイテムボックス要らなくね?
「カード化するにも魔力はいるから、大きい過ぎたり量は無理だぞ。」
「あくまでぇ~、自分の魔力と相談ですぅ~。」
ある意味、こっちの世界の方が進んでね?
「解体スキルを持ってたら、派生して保存スキルも直ぐに手に入るぜ。」
「私達はぁ~、必要ありませんでしたからぁ~、持ってませんけどぉ、手に入れようとぉ思ってますよぉ~。」
「なんだなお前ら持って無いのか? 今時珍しいヤツらだな。」
保存スキルを取るなら梱包スキルもあると便利だと教えてくれた。
保存スキルは食品などをカード化するスキルで、梱包スキルは魔道具なんかを持ち運びしやすいようにカード化するスキルらしい。
「同じカード化なのに別のスキルになるなんて違いが分からん。」
「まぁそう言うモンだと思っとけ。 儂も小難しい理屈なんぞ知らん!」
因みに生き物(動物や魔物)に対してのカード化は無く、死んだ状態なら解体スキルで大丈夫らしい。
「薬草とか植物なんかは有りなのな。」
「意識と言うかぁ~、知能とか有ってぇ~、カード化を拒否するとか抵抗するとぉ、カード化出来ないって言ってましたよぉ。」
成程、死体や無機物に拒否する知能は無いな。
複数のカード化スキルを手に入れると万能カード化スキルになるらしい。
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