023 やっと街に入れたよ。
本日3話目です。
とりあえず、助言に従って身分証を作って貰って、別に冒険者ギルドでも登録する事にした。
「別にここで身分証を作るのなら、態々冒険者登録する必要性はないのでは?」
「かーっ、分かっちゃいねぇな! あのよぅ、冒険者ちゅうのはロマンよ! 男のロ・マ・ン! 分かるか? 男なら冒険に憧れるモンだぜ!」
ビシッっといい笑顔で力説するけど……何となく分かるけど、分かりたくないな~。
「私らは女だぞ?」
まぁ、冒険者ギルドに登録した方が、仕事の受注や買い取り等のメリットがあるそうだ。
「素材の買い取りは他の商店とかでも出来るけどよぉ、気を付けないと買い叩かれたりするんだよ、多目に税金名目で水増しされたりな。」
税金分差し引いてコレ位と買い叩かれたりするそうだ。
「その点、ギルドは相場がキチッとしてるしな。 勿論、ギルドで手数料分の中抜きはするぞ。 でも誤魔化しがねぇ分の安心出来る。」
中抜きが無いなら上手くやれば直接がいいのでは?
「かーっ、分かっちゃねぇな。例えばだぞ? さっきのブルーキャタピラーの魔石を商店に持ってくだろ。 そしたらお前はいくらで売るつもりだ?」
「さっき、大銅貨1枚って言ってたからその値段で……。」
「そりゃ、俺がそう言ったからだろ? 勿論、ここでも手数料は中抜きしてある。 大体、直で卸して大銅貨1枚と銅貨2枚だ。 ギルドなら端数は切り捨てるから大銅貨1枚で同じ位だな。」
相場を知らないと平気で銅貨1枚とか言うそうだ。
「商人とかなら別だがよぉ、イチイチ相場なんて調べねぇだろ? 面倒クセー。」
そう言った意味ではギルドに売る方がマシだな。
1200円の魔石が100円になるってどんな詐欺よ?
「まぁそれでも個人の自由だ。 話が逸れたな、じゃあ身分証を作るから、そこの鑑定盤に手を乗せろ。」
何だかんだ言って色々な助言をくれる……いい人だな。
鑑定盤に手を乗せると鑑定盤が青白く輝く。
鑑定盤が赤色になったら犯罪者として詳しく取り調べるらしい。
「犯罪歴はねぇようだな、問題なしだ。……ちょっとそのまま待ってろ!」
手を乗せた鑑定盤の上の方の、会員カード位の大きさの薄い窪みに、調度嵌まる位のカードを乗せる。
青白く光っていた鑑定盤の光が、カードに集まって消える。
「よしコレで終了だ、一応名前とレベルとか確認しろよ。」
鑑定盤に手を乗せて流した魔力で登録するらしい。
出来た身分証には、名前と種族とレベルだけが記載されていて、他は何も書かれていない。
あとは、カードの裏面に『ダスティ辺境伯住民証明書』と刻印されてるだけだ。
「コレだけなんですか……。」
「ステータスなんて他のヤツに簡単に見せるモンじゃねぇだろ。 鑑定持ちなら全部見れるそうだけどよぉ、普通は秘密にするモンだぜ。 特に年齢は全ての女を敵に回すからな……。」
やっぱり年齢は……ダメですか。
「勿論、本人が良いなら、見せたい項目を念じながら、カードに魔力込めると映るぞ。」
試しに他のヤツに見えないようにしてから、ステータスを映るように念じると名前とかの表示が消えてステータス一覧が出て来た。
「パーティーを組んだり、依頼する条件の確認に依頼者が見る場合とかあるんだわ。」
依頼に必要なスキルとか有った場合や、パーティーで仲間に入る時に何が出来るかを確認するそうだ。
「冒険者ギルド発行のカードでも同じ事が出来るから、どっちでも構わねぇが、さっきも言った通り宿屋ならコッチのカードが値引きを受けれるからな。」
カードを間違うと値引きされずに高い料金を払わされると……冒険者ギルド以外はこっちのカードを使おう。
何に対して値引き受けれるか分からないしね。
魔力と言っても個々で違うらしく、登録した魔力の持ち主以外は見る事が出来ないらしい。
「これを見せる事で本人確認をする訳か。」
そのままステータスを反映しているから偽名とか使えないな。
「因みに、冒険者カードは偽名OKだからな!」
何故に?
「ホラよ? 二つ名とかあるじゃん! 流離いのマヌーケより、流離いのエランドとかが良くね?」
「キサマら………。」
「申し訳ありません、マヌーケ兵長様!」
「申し訳ありません、流離いのエランド兵長!」
「迷子のマヌーケ……し、失礼しましたっ!」
名前が間抜け……いやマヌーケか……エランドって何処から付けた名だ?
最後のヤツぶっ飛ばされたけど……。
「俺の名前の事はいい。 さっさと始めるぞ! 次だ……。」
ディーネとシルフィの二人も同じ様に問題なくカードを手に入れた。
と言うか……犯罪歴と名前とかだけなら、改ざんする必要はあんまり無いんじゃ……いやダメか、年齢3千越えと8千越えだった。
「何かぁ~、イラッと来るぅ~、思念を感じましたぁ~。」
おっと、シルフィがこっちを睨んでる……年齢じゃなくてレベルだな! レベル、レベルっと。
「よし! コレで終了だ。改めて良く来たな! ダスティ辺境伯、最果ての街『エント』へ!」
ようやく俺達は街に入る事が出来た。
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