021 街の中に入りたいのですが……。
本日最初の更新です。
街はしっかりとした壁に囲まれていた。
「高い壁だな~、15メートル位か? 魔物はあんまり来ないんだろ? ここまで高く頑丈にする必要があるのか?」
街の入り口の門の所に近付いて見ると壁の高さは15メートル位で壁の厚さも5メートル位ある。
「そりゃ、あまり出なくても魔物は来るからな。 それに盗賊なんかの流れ者や傭兵崩れが襲って来ないとも限らないしな。」
俺の呟きを聞いて誰かが返事をする、声の方を見ると門を守っている兵士みたいだ。
みんな皮鎧の格好に剣を腰に付けて、手に槍を持っている。
話かけて来た人は同じ格好だけど、籠手の色が他の兵士と違ってるな。
「普通の外壁を見てそんな事を言うなんて、どんな田舎から来たんだ?」
やっぱり田舎の村っぽい所はこんな壁は無いだろうからそう思われたのか?
「おいおい、ここ程の田舎街の人間に言われたらお仕舞いだぜ!」
「バカ野郎! 田舎者は兵隊になったら都会者と勘違いするんだよぉ。」
違う兵隊達がさっきの兵隊の言葉を茶化す。
「お前ら……覚悟は出来てるのか……」
「「いえ、兵長は立派な人物であります!」」
おう……見事な手の平返し、ってか最初に話し掛けてくれた人が兵長でこの門の責任者か。
見た目は40台後半から50歳位で、金髪のベリーショートに青い瞳、少し無精髭があって頬に引っ掻かれたような傷がある。
この傷は魔物にやられたのか? 見た感じ新しくないので随分昔につけられたんだろう。
顔も体つきもゴッツいので向こうの世界で出会ったら間違い無く避けてお近づきになりたくないような容姿だ。
「つったくよ……で、本当に何処から来たんだお前達? 普通なら農民でももうちょっとマシな装備をしてるぞ。」
農民でももう少ししっかりした防具とか着けているらしい。
「まぁ~、田舎から来たのは否定しませんが、この二人がいたもんで。(魔物はすべて逃げました)」
俺は二人が護衛していたから問題無かったと言った。
「お嬢ちゃん達はお前の子供かと思ってたが、小人族だったのか。 でも二人共、同じように防具は着けて無いよな。」
「私らにはこの獣魔が居たしな!(ザコはすべて皆殺し)」
「ああっ、二人は魔獣使いで直接は戦わないんだな。 しかし油断は禁物だぜ? キチンと装備は着けた方がいい。」
それとなく心配してくれているようだ……いい人そうだな。
「それと獣魔だが……見た事ねぇ魔獣だな……」
「何処にでも居るぅ~、ありふれたぁ~、スライムですぅ。」
「いやいや、そんな姿のスライムは見た事ねぇよ? 確かにスライムはありふれてるけどよ。 新種なのか?」
「私らの所ではありふれてるぞ!(ゼンが何匹も作ってるからな)」
「……まぁいい街中で暴れさせたら、お嬢ちゃん達の責任になるから気をつけろよ。」
これも一般的な話だね。
「後は、入場税が一人大銅貨5枚と獣魔は一匹大銅貨1枚だ、あと身分証明書を出せ。 確認するからな。」
大銅貨は10円玉位の大きさで、感覚としては100円だ。
5枚だから500円だね。
銅貨は1円玉位の大きさで、こちらは10円ね。
金貨は貴族とか大商会とかじゃないと使わないんじゃないか?
と思う位に高額だ。
因みに、この世界で流通している貨幣を日本円に置き換えるとこんな感じだ。
石貨 1円 青色の平べったい石、1円玉の大きさ。
銅貨 10円 銅で出来た硬貨、1円玉の大きさ。
大銅貨 100円 銅で出来た硬貨、見た目10円玉。
小銀貨 千円 銀で出来た硬貨、1円玉の大きさ。
銀貨 1万円 銀で出来た硬貨、見た目100円玉。
大銀貨 10万円 銀で出来た硬貨、500円玉の大きさ。
小金貨 100万円 金で出来た硬貨、100円玉の大きさ。
金貨 1千万円 金で出来た硬貨、500円玉の大きさ。
大金貨 1億円 金で出来た硬貨、直径10センチメダル
王国金貨 10億円 白金で出来た硬貨、直径10センチメダル
貨幣に使われて素材は極秘で、その素材の配合で劣化防止の特殊錬成になっているので偽造不可らしい。
劣化が無いから見た目で分かるし、勿論お金用の鑑定道具もお金を扱う店には普及しているので、贋金を作る人は居ない。
大きさ的には持ち運ぶのに余り嵩張らない程度の大きさになってるし、大金貨や王国金貨なんて持ってるヤツ自体限られてるだろう。
1億円とか10億円を持ち運んでるヤツを見てみたいわ!
俺の書いている小説の一冊当たりの印税は銅貨……止めよう悲しくなる。
買ってくれるなら、石貨も宝ですっ!
(いつかは印税で大金貨長者…………遠い目。)
一般的にで流通してるのも銀貨までって言うし、金貨はあまり考えなくてもいいだろう。
感覚的にも1円から1万円だからな、問題は全く無いな。
と言いつつ、ドラゴンやらクリスタルゴーレムのカードを換金したら……うん、このカードは死蔵決定だな。
「おう兄ちゃん! なんか死んだ魚の目みたいな面してるけど大丈夫か?」
思わず、この世の無情が顔に出ていたようだ、危ない、危ない。
「お金を持ち合わせて無いのでこれではダメですか?」
俺はイモ虫の魔石のカードを出す。
田舎の村とかでは物々交換か主で、お金を使わない所も多いらしいので問題は無いハズだ。
「ん、解体スキルは持ってるのか……ブルーキャタピラーの魔石……ってその格好で森に入ったのか⁉ お前馬鹿だろう⁉」
おう怒られちゃったよ……。
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