016 異世界に拠点を作りました。
二人が姿を消したので早速拠点になる家を作ろうと思う。
拠点予定地を見ると、芝生のように刈り取った草の上を、スライムが左右に『ぷにぷに』と揺れながらゆっくり動き回っていた。
「おっ、もう刈り取った草は処理したみたいだな。」
同じスライムでも『でろでろ~』とか『どろどろ~』とかの擬音が似合うヤツとは全然違うな。
ちょっとした見た目の違いでやってる事は同じなんだけどな。
見た目で判断をしたらいけないと言うが……やっぱり見た目よね。
「ここからが本番だ『ローグーハウースー』」
本番と言ってもアイテムボックスに収納していたログハウスを出して芝生の上に置いたらほぼ完成だ。
『まるで手足の生えた雪だるま擬きの素敵なアイツ』の様なノリでログハウスを取り出す。
「いや、コレは自分でやっててアレだけど、オカシイやろ!」
とツッコミたくなる光景だ。
まぁ、異世界なんて有り得ない体験をしているのに今更だと、気持ちを切り替えてログハウスの点検だ。
先ずは正面に数段の階段がありテラスへと続く。
「ここに椅子とテーブルを置いて、泉や木々を眺めながらユックリ過ごすなんて最高だよな。」
一先ず、ログハウスを全て見回ってから家具類を揃えようと心に決めて、中に入る。
テラスの所に入り口があるので鍵を開けて中に入る。
中に入ると先ずは20畳程のダイニング&キッチンになっているようだ。
屋根の高い広々とした空間に、暖炉が正面の壁際中央にあり、かなり山小屋っぽい趣がある。
「やっぱり暖炉の前にはソファーを置くより絨毯を敷いて、犬とかペットと戯れるとか……ああっ、テンション上がる!」
今の所、ペットのポジションはスライムだが……。
入り口から入って右側にはキッチンがあり、キッチンの前にはカウンターになってるので、イスを並べてそこで食べてもいいし、もちろんテーブルとイスを用意して皆でワイワイ食べてもいいな。
キッチンの奥に扉があったので入る。
ここには石窯とタンク、壁際に薪なんかを置いておくような棚があった。
「本格的だな~、このタンクは水を貯めておくやつか? 雨水とかわ浄化して貯めるんだろうけど、水は魔法使って出せるし。」
もちろんタンクには給水用の口もあるし、そこから水を入れればいい。
配管が何本か通してあるのでトイレとか風呂場に続いてるんだろう。
タンクは見た目はそれほど大きくないが、地下にメインのタンクがあってコレはサブなんだろう。
ログハウスを出した時に建物の下にいくつかタンクが有ったのを確認しているから間違いない。
設置した時に地面に吸い込まれるようにタンクが消えたのには驚いた。
「ビバ、空間魔法!」
こう言うのもイージーモードで大助かりだ。
下水処理用のタンクは汲み取り式みたいなので、何匹かスライムを用意して入れておこうと思う。
「『ぷにぷに』のスライムは何か入れるのに抵抗があるから『ねばねば』な今のママのスライムを入れようかな……。」
もちろん上がって来ないように指示をしないといけないのでテイムするのは決定だ。
「おっ? 棚の横にも扉があるぞ、こちらも物置か?」
扉を開くとちょっと煙臭い。
「ここは燻煙室か……やっぱり金持ちの建てたログハウスだけに充実してるな。」
さて、他の所も見て回るか。
お風呂は結構デカイな、材質は檜じゃないか! この独特な木の薫りが何とも言えないな。
脱衣場兼洗面所もあるし、ログハウスと言っても、もうこれは建築工法が違うだけの立派な一軒家だよね。
さてさて、それでは建物の左側も見てみるか。
「ここはプライベートルームだよね。ベットとか置かないとな。」
8畳の個室が二部屋か……精霊達はどうするのかな? もし利用するなら部屋が足りないぞ。
まぁ、今考える事でもないかな、次、次!
「階段があるな。屋根が高いからどうかと思ってたけど、ロフト式で二階もちゃんとあるじゃん。」
左側の個室の上がロフトになっているので16畳程の広い空間になってる。 入り口の上に通路が通っていて風呂場とか倉庫とかの上もロフトになっている。
「このロフトでも全然OKじゃん。 解放感あるし、俺はここにベットとか置くかな。」
屋根の所も明かり取り用の窓側あるし、ちょっとしたベランダもあって、景色も抜群だ。
「さぁ、それでは家具類を買ってきて配置しないとな。」
ああっ、スライムも忘れずにテイムしないと。
……いかん、向こうの世界より住みやすそうだ。
向こうは街中にあるマンションだしな……。
なんて事を考えながら元の世界へ転移した。
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