011 拠点を作る準備をしよう
転移間際に二人から加護を貰ったようだ。
ステータスを確認すると、精霊の加護で木と水となってる。
それに合わさるように、精霊魔法で木と水を覚えたようだ。
普通の魔法と精霊魔法って違うのかな?
特に水は、両方取得したみたいなので、出来る事が同じなら余り必要性が無いような……まぁ向こうに戻ったら詳しく聞いてみよう。
まずは拠点作りの手配だ。
野営用のテントは準備していたけど、拠点となる場所がハッキリとしているなら、ちゃんとした物にしたい。
毎度お馴染みのネット通販でミニログハウスでも頼むかな? でも注文してから届くまで時間が掛かるだろうな~なんて考えていたら、ログハウスで思い出した。
作家仲間による情報交換の集まり……ぶっちゃけ飲み会と言う名の、愚痴り暴露大会なんだけどね。
その内の一人が知り合いが持ってる別荘で、結構頻繁に建て替えしてて勿体無いって言っていた。
「年数経ってないから壊す位なら売れば良いのに、金持ちの考える事は分からん。」
まぁ売りに出すにも購入者を探す手間と、移設に掛かる費用を考えたら売れないだろうし、解体費用の方が安いんだろう。
そいつが知らないだけで、業者に建物の下取りをさせてるかもしれないしさ。
そのログハウスがもしまだ在るのなら、安く手に入るんじゃないかと思った訳だ。
「早速連絡っと……もしもーし、先日振り! 相変わらず無茶振りな生活を送ってるかね? お前さ~、この前ログハウスの事を言ってたじゃん……」
何時ものように軽いノリで話を進める。
同じ作家仲間、ジャンルや売れてる売れないはあるけど、そんな事で優劣やら上下関係を作る積もりはない。
そんなの息が詰まるし、本当に仲間なんて言えないだろ。
まぁ冗談で大先生とか大御所様とか言うけどね。
「いやお前程、無茶振りな人生じゃねぇーよ! 何よ、あちこちに失踪の前振りしてんだって? 『旅に出ます 探さないで下さい。』ネタ探しじゃなくてネタだよな! ログハウスってあれか……マジで失踪の……」
「失踪なんてするか!」
全く人聞きが悪い……って言うか本気でソッチの方面に取られて無いよな? 無いよね?
「まだ大丈夫じゃね? 今なら新しい建物のデザインとか考えてるハズだし、何もしてないだろ。 何よ、優雅に別荘で執筆活動ってか? 羨ましいねぇ~。」
「そんな金も暇もねぇよ! お前と違って何本も連載抱える大先生じゃ無いからな。 何よ、また新しい小説発表したんだって?」
金は無いけど、極力余暇は多目にする予定だけどな。
「あーっ、マジで死にそう……この前の打ち合わせの時にノリと冗談で言ったら通っちゃってさ……無理だっつうの……断るのは怖いしな……」
ああっ……何となく分かるかな……怖いよねぇ~。
「まぁアレだ、俺のようにネットで発表して、何処かの出版社に拾って貰えるのを待つだけの身分より良いだろ。」
「……良し悪しだな……珠にはハッチャけたい。 とりあえず、先方に連絡してみるわ、移設費はお前待ちで良いんだよな?」
「勿論、そんなに厚かましくねぇよ、俺は!……建物は出来るだけ安く頼む。」
「十分厚かましいって! 折り返し連絡するわ。」
そんなこんなで、手に入りました。
「ローグーハーウスー」
しかも移設費用だけで、建物本体はタダ!
やっぱり金持ちの考える事は分からん。
「でも持つべき物は、そう言う人脈を沢山持つ下僕だな。」
なんてゲスい冗談を言いつつやって来ました別荘地!
別荘地と言っても建っているのは山の中腹。
そこに一軒だけログハウスが建てられている。
建物の外観を見た後、鍵を貰ってるので開けて中も確認する。
壊すだけって言ってたので中には何も置いてない。
「全然キレイじゃん、傷みとか全く無いし新築物件って言われても信じるレベルよ、コレ。」
えっ、コレを壊すの? マジで!
無いわー。
それに、山自体がその人の持ち物って……どんだけよ。
コレでタダなら文句は無いね! 寧ろ移設費用のみでいいなんて太っ腹だね!
移設費用と言っても俺には某未来形?お猫様のポケットよろしく必殺の……。
「『収納~。』」
おおっ、ちょっと大きすぎてダメかもって思ってたけど、丸っと入ったよ!
アイテムボックスの中を確認したけど、ちゃんとログハウスが収納されてる。
「今度持ち主さんには、御礼に高級どら焼きを贈らねば!」
あいつにはスーパーで売ってるお徳用どら焼きでも贈っとこう。
それでは早速向こうに行くか!
『転移!』
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