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姉ちゃんに報告しよう!

※視点変更

栗栖和也 → 大波友里


※舞台変更

廃工場 → 某病院

「心配していたのよ? どうしてすぐに来てくれなかったの?」


 姉ちゃんが怒るのも無理はない。この前の戦いから3日、私はここに来るのを躊躇(ためら)っていた。

 あ、いっけねー! 名乗らなくちゃ!

 ごめんごめん、私だよ、ユーリちゃんだよ!

 今日は、姉ちゃんが入院してる、病院に来てるんだ。


「電話で〝勝った〟ってだけ言って、そのままって、一体どういう事なの?」


 ……ここに来づらかった理由は、いくつかあるんだよ。まず一つが、


「とにかく、よくやったわ! さあ、ガジェットを出して。メンテナンスしなきゃ」


 これだよー。どうしよう……


「何してるの? 早く出して」


「……壊れちゃった」


「……え?」


「…………」


「ごめん、ユーリ、よく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれる?」


「……ガジェット、壊れちゃった」


 姉ちゃんは、目を見開いて、口をパクパクしている。


「壊れたって……壊れたってユーリ! あなたそれ、どういうことか分かってるの?!」


 そりゃあ、こうなるよねー。

 で……

 こうなると、たぶん、もう一つ、聞かれるよなー……


「それで、どう壊れたの?! ガジェットはどこ?!」


 ……ほらぁ。


「ここには無いの。でも、大丈夫だから!」


「なにが大丈夫なの? 意味がわからない! ガジェットが無いと、もう地球はおしまいなのよ?!」


「う、うん……」


「ガジェットはどこなの! 言いなさい!」


 ……言うと、絶対に怒られるよなぁ。でも、ちゃんと説明しなきゃ。


「大ちゃんに、預けたんだよー」


「……はい?」


「直せるって言ってくれたからさー、預けたの」


「……!?」


 ね……姉ちゃん、まず、瞬きと呼吸をして。死んじゃう。


「ユーリ? お姉ちゃん、ちょっとあなたが何を言ってるのかわからないの。もう一度、言ってくれる?」


「だから、大ちゃんにね、預けてね、直してもらってるんだー」


 あ、姉ちゃんに瞬きが戻った……てか、いつもの10倍ぐらい瞬いてるよ。


「だいちゃんって……誰?」


「やー! クラスメイトでさー! すっごい、頭が良くてさー!」


 あ、あれ? 姉ちゃんが小刻みに震えてる?


「ちょっと、そこに座りなさい……そうじゃなくて、正座……で、ちょっと頭を出しなさい」


 ……おもいっきり引っ叩かれた。あいたた! 何すんだよ、姉ちゃん!


「何すんだよじゃない! あなたの方こそ何してるのよ! 大切なガジェットを、あろう事か、地球人に預けたですってぇぇぇ?!」


「だって、大ちゃんが直してくれるんだよ? 預けなきゃだめじゃんかー!」


「ユーリ、あなた正気なの?! ガジェットを直せる人間なんて、銀河中を探しても、そうそう居ないのよ?! それを、地球人の? しかも小学生が?!」


 姉ちゃんは大きく息を吸い込んだ。


「直せるわけないじゃない! 馬鹿なの?! あなた馬鹿なの?!」


 2回も馬鹿って言われた……


「はぁ……はぁ……」


 良かった。呼吸も戻ったみたいだよ。


「今すぐに、取り返してきなさい」


「……え?」


「え? じゃない。 早く!」


「いや、姉ちゃん、なんで? 大ちゃんは絶対、ちゃんとガジェットを直してくれるんだよ? あ、そうだ、パワーアップもしてくれるって! だから任せようよ!」


「……ユーリ、あなた本気で言ってるの? ガジェットを修理? パワーアップですって?!」


「姉ちゃん、落ち着いて。大ちゃんはすごいんだよ。ガジェットは絶対に直してくれるからさー」


 と言った瞬間、姉ちゃんが涙をこぼした。ええ?! なんで?


「ユーリ……あなた、本当にどうしたの? どうして……どうして……」


 ポロポロと涙を流し続けている姉ちゃん。

 ぜんぜん心配ないのに、なんで泣くかなー!


「泣かないで。大丈夫だから。大ちゃんに任せれば大丈夫だから!」


「この子は、まだ言うの?!」


 姉ちゃんは腕を大きく振りかぶって、私の頬を叩こうとした。

 次の瞬間、その手を、赤いラインのスーツを身に(まと)ったヒーローが受け止めた。

 ……やけにカッコいいエフェクトとともに、変身が解ける。


「ユーリ、お前は本当に説明が下手だなー!」


 大ちゃんだー!


「誰?!」


 それだけ言って、なんとも言えない表情で固まっている姉ちゃん。

 そりゃー驚くよー。目の前に突然、ヒーローが現れたら。


「はじめまして! 俺は、九条大作。大ちゃんって呼んでほしいぜー!」


「あなたが……大ちゃん?」


「病室の扉、開けっ放しだったぞー? 大声でやっちゃ駄目な内容の会話だろー」


 あれ? 閉め忘れてたかー! またやっちった!


「お姉さんには、俺から説明するぜー……ユーリ、これ」


 大ちゃんが渡してくれたのは、ガジェット。え? もう直ったの?


「ちょっと材料を揃えるのに手間取ったけどなー! ひと晩あれば、十分だぜー!」


 やー! やっぱ大ちゃんカッコイイ! 好きすぎる!


「直ったって……あなた、一体」


「俺は、たぶん地球で一番頭がいい小学生だぜー!」


 それ、自分で言っちゃうんだ! さすが大ちゃん! 愛してる!


「そのガジェットは、武装用の回路が傷んでたから、修理がてら、ちょっとパワーアップさせておいた。試してみてくれるかなー?」


「えっと、その……大ちゃん? それを扱える技術者なんて、地球には居ないのよ? 直すどころかパワーアップなんて……」


「あー。普通は、そうだよなー」


 でも、俺は普通じゃないからなー! と言って、ニヤッと笑う大ちゃん。もうダメ! 抱きしめて!


「やー! とにかく、動かしてみるよ! 姉ちゃん、ガジェットに触れて」


「まあ、時間を止めるとかの回路は、あんまりイジってないけど、エネルギー効率は、30%ほど、良くなってると思うぜ」


 姉ちゃんは(いぶか)しげに、ガジェットに触れた。早速、戦場(ボード)を作成する。

 ……病室の時計の秒針が止まり、周囲の音が全くしなくなった。良かった。ちゃんと動いてるよ。


「壊れてはいないようね。良かったわ」


 ほっとした様子の姉ちゃん。


「よし、じゃあ、武装を試してくれよー!」


「えええええっ?! なぜ動けるの?! あなたガジェットに触っていないのに!」


 ギョッとした様子の姉ちゃん。


「んー。まあ、こういう所が、ちょっと普通じゃないんだよなー」


「姉ちゃん。実は、この前の戦い、大ちゃんが助けてくれたんだ」


「ああ。あれはヤバかったなー!」


「……あなた、何者なの?」


「まあ、それについては あとでゆっくり説明するぜー! ユーリ、武装してみてくれよ」


「りょーかい! 武装!」


 まばゆい光が辺りを包み、いつものように、戦闘装束に……うわぁ! すっごい!


「ユーリ、その姿は……?!」


 姉ちゃんが驚くのも無理はない。

 病室の洗面台の鏡には、今までの重厚な武装ではなく、大ちゃんや、たっちゃんと同じような姿の、ヒーローが映っていた。


「ラインは黄色だ。お前、ミカン好きだからなー」


 さっすが大ちゃん! 愛を感じちゃうなぁ!!

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