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潜入せよ! ドラム缶工場跡地

 いつもご愛読頂きまして、有難うございます!

 不要かもしれませんが、久々の変身なので念のためにご説明を……

 変身すると、各キャラクターは口調が変わります。

 栗っちは、グリーンに変身すると、


「えへへ、僕はね、○○だよ?」 口調から、「ふふ。私は、○○です」


 となります。

 それでは本編スタートです。ごゆっくりどうぞ!

 〝実験体〟は、マラソン大会が行われた日から、ダーク・ソサイエティのアジトに居るようだ。

 大ちゃんを誘拐するために、実戦テストも兼ねて連れて来られたみたいなんだけど……


「……結局、調整が間に合わなくて、作戦には参加させなかったの。あれはとても危険よ」


 それは、動物がベースで、様々な改造が施された、殺戮兵器。

 命令は聞かないし、とにかく、すごい暴れん坊で、地下にある鋼鉄のケージに入れられてるけど、その気になれば、こじ開けて外に出ちゃうかもだって。


「アジトは、ここからすぐ近くの廃ビルよ。わかるかしら。元ドラム缶工場の……」


「うん……そこなら知ってるよ」


 なるほど。あそこなら、敷地も広いし、人通りも少ない。アジトにはピッタリの場所だよね。

 ずっと前に一度、たっちゃんと大ちゃんと僕で、あの中を探検した事があったけど、大人の人が出てきて追い出されちゃったんだ。


「あれ? そういえばあの人、黒いスーツを着てたような……」


「あそこには、いつも戦闘員が2体居るわ」


 うわわわ。怖い! きっと、その時の大人って……よく追い出されるだけで済んだなぁ……


「実験体は、力が強い上に素早いし、カメレオンのように、姿を消すことが出来るの。気をつけて」


 見えなくなるのは、すごく厄介だよ……

 急ごう。あの日からもう随分と経ってるし、きっとお腹を空かせてるから、外に出て、暴れ出しちゃう。

 たっちゃんの話だと、戦闘員は毒ガスで攻撃して来るみたいだから、変身しなきゃだね!


「よーし、へんし……あ!」


 よく考えたら、僕が変身した姿は、アースやピンクにそっくりで、コロンビーナを怖がらせちゃうかもしれない。先に天界に送ってあげなくちゃ。


「あなたを、天界に送ります。あとのことは僕に任せて、安心して行ってね」


「はい、ありがとう、あなたは神様……?」


「えへへ。僕はね、まだ神様じゃないんだよ」


 ブルーさんの話では、救世主は、いずれ神様にもなれるらしい。もちろんその時は、るりちゃんも一緒に。


「それじゃ、いくよ!」


 僕は、両手を天にかざした。


「神の名に於いて。この者に安らぎを与え給え」


 地下室なのに、頭上に青空が現れて、光が差し込む。


「ありがとう、ありがとう」


 コロンビーナは、笑顔でこの世を去っていった。


「……よし、じゃ、行こうかな」


 僕は腕時計のボタンを押す。


「変身!」


 まばゆい光に包まれて、変身が完了した。そういえば久しぶりだよね!


「さあ、急がねばなりません」


 僕は地下室を出て、ダーク・ソサイエティのアジトを目指した。






 >>>






 道中、誰にも会わなかったのは〝確率操作〟の効果かな? 

 敷地をぐるっと高いブロック塀に囲まれた、ここが、元ドラム缶工場の入り口だよ。

 黄色や赤の〝立入禁止〟と大きく書かれた看板が、いろんな所に貼り付けられている。

 かなり昔に廃業したようで、壁の向こうに見える建物は、かなりボロボロ。オバケとか出てきそうだよ……!


(おさな)かったとはいえ、よくここに入ろうと思いましたね……」


 いや……あの時、入ろうと言い出したのは、たっちゃんだ。僕と大ちゃんは一応、止めたんだよ?

 鉄の扉を開し開けると、ギィと、気味の悪い音が響く。


「お邪魔しますね」


 正面に建物の入り口がある。


「人の気配は無いようですが……」


 僕の〝精神感応〟では、まだ動物の心の声を聞くことは出来ない。ここに居るのは、動物ベースの実験体と、機械人形。いつもみたいに気配を探っても、何も感じないのは当たり前なんだよね……


「まあ、千里眼を使えば、全部お見通しなのですが」


 僕が〝千里眼〟の構えを取ろうとした、その時。


「ピピピ……シンニュウシャ・カクニン」


 突然、背後から声が聞こえた。

 ……と同時に、右腕を掴まれた! 戦闘員だ!


「うわああああっ!」


 僕は驚きのあまり、ありったけの〝念動力〟で戦闘員を弾き飛ばした。数メーターすっ飛んで、転がる。


「ピピピ……セントウモード・カイシ」


 不思議な動作で起き上がって、走ってくる戦闘員。イヤだ! 動きが怖い!

 えっと、確か弱点は……


「腹部の丸い機関!」


 丁度〝千里眼〟を使おうとしていたので、たっちゃんに聞いていた急所が透けて見えている。

 僕は、いつも地下室で練習している〝念動力での射撃〟を使って、戦闘員の〝お腹〟を撃ち抜いた。

 戦闘員は再び吹っ飛んで、今度は動かない。うまく急所を破壊できたみたい。


「良かった。やはり日々の練習は欠かせないですね」


 念の為に、転がっている戦闘員に少し近いて、お腹の中を〝念動力〟で念入りに壊しておく。これで大丈夫だよね。

 僕はもう一度、千里眼の構えを取った。

 建物の3階に、もう1体の戦闘員が居る。そして、地下に、大きな鉄製の〝ケージ〟を見つけた。

 ……しかし、ケージはズタズタに引き裂かれて、中には何も居ない。


「もう、逃げ出していますね……」


 部屋を隅々まで調べたけど、何も見当たらない。もう、外に出ちゃったんだろうか。


「でも確か、実験体は姿を消せるとおっしゃってましたね」


 〝千里眼〟で、ひと通り見回したけど、扉や窓、壁にも破壊の跡がない。きっとまだ、この建物の中にいるんだ。

 建物に近づいて、ドアノブをひねった……けど回らない。どうやら施錠されているみたいだね。

 ……前に来た時は開いていたんだけど、そう都合良くはいかないなぁ。

 僕は〝念動力〟で、内側から鍵を開けようとした。感触が無いから、手探りよりちょっと難しいけど……あ、開いた。


「お邪魔します」


 扉をそっと開けて、中に入る。

 建物の中は薄暗く、静まり返っている。確か、ヘルメットにライトがあったような……

 確かこのボタンで……

 ピッという音が響き、ヘルメットに内蔵されたライトが点灯した。ここは受付のカウンターらしきもの以外、何もないみたい。左に2つのドアと右に3つのドア、右奥に上へと続く階段がある。


「先に、上にいる戦闘員を倒しておきましょう」


 もし、実験体と同時に襲われたら面倒だし、今後、万が一、子どもが迷い込んだら危ないもんね。

 僕は2階に移動した。周囲には、よく解らない機材などが乱雑に置かれている。

 僕は音を立てないようにそっと、戦闘員の真下まで移動した。

 〝千里眼〟で確認しながら、腹部の急所を狙う。床は傷つけず、正確に、戦闘員だけを狙って……えい!

 戦闘員は倒れた。顔がこっち向いてるから怖いんだけど、一応、念の為に止めをさしておこうっと。


「あとは、実験体だけですね……」


 相手は姿を消してる殺戮マシーン。

 ……やっぱりちょっと怖いよね。

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