未知の敵、襲来! 南海の秘密基地
※視点変更
内海達也 → ????←new!
※舞台変更
鬼門操作室 → 太平洋上の孤島
ここは、地図にも載っていない南の孤島。
そして〝ダーク・ソサイエティ〟の秘密基地。
この島は、衛星からの撮影にも写らないし、飛行機や、近くを通る船からも目視できないよーに、細工してあるんだ。
……まあ、近付き過ぎると見えちゃうんで、その時は、ちょーっと可哀想な事になるんだけどね?
「侵入者、止まりません!」
ちょっとだけさ。すぐに僕たちの戦闘員になる。
痛いのは最初の注射だけ。チクーってね?
……あ、うるさくってごめんね? ちょっとだけ、待っててくれるかな。
今日は、そんな僕ちゃんたちの基地に、お客さんが来ちゃってるんだよねぇ。
いやいやへーきへーき。悪いね、気ぃ使わせちゃって。
いわゆる〝招かれざる〟ってヤツだからさ。
ぜーんぜん丁寧に扱わなくてもいーんだ。
「なーにやってるの! こういう時は通信妨害からでしょーよ?」
「はっ……はい!」
あーあ。訓練しとこーよ? 〝備えあれば憂いなし〟って言うじゃない。
普段から色んなパターンを想定しとかなきゃ駄目だって、あーれほど言っておいたのに。困ったもんだねぇ。
「妨害に成功しました。外部との通信、完全に阻止できています!」
はぁ。〝外部〟ねえ。
まーったく、どこから来たんだか……あの白いバケモノは。
おっと、自己紹介したら〝お前もだろ?〟って言われちゃうだろーけどさ。
今、ちょーっと忙しいから、名前だけ言っとこうかな。
僕は〝アルレッキーノ〟さ。
〝アル〟って呼んでくれればいーよ。
「で、通信の内容は? あーあー、波形でいいからさー、こっちに送ってよ」
言わなくても送ってくれるでしょー、ふつー?
……えーっと? あー、なーるほど。〝単一の信号〟を送り続けてるだけっぽいねー?
つーまり、遠隔で命令を受けて動いてるんじゃーないってこと? うん、そうだね。
「オッケーオッケー。ビーコン飛ばしてるだけ。あちらさんには〝破壊された〟風に見ーえてるかもね?」
「そ、それでは、さらに〝増援〟が来る可能性も?!」
「んー、どうだろーね。出現からビーコン消失まで数分ってとこじゃない。僕ならそんな〝危険〟な場所に、貴重な兵器をポンポン送ったりしないよ?」
あの白いヤツが〝貴重〟じゃないなら、話は別だけどね。
っていうか、そーなったら、もうお手上げ&降参。
……だーってさ! あれ、すーごいんだから。
いくら攻撃しても元に戻っちゃうし。
単独で動いてるっぽいけど判断力とか、人間並みだからね。どんなAI積んでんでしょーって話。
……そーんなすっごい兵器を、何体も送ってこれる相手とは戦いたかぁないね、正直さ。
「第3隔壁まで突破されました! 対人用セキュリティでは足止め出来ません!」
ここの防衛ってさ、なーんで〝人間〟が攻めてくる事しか想定してないの? 〝自分たち〟が人間じゃないってぇのに、バカなんじゃなーい?
「じゃーね〝怪人〟を向かわせちゃって?」
「え? ……は、はい、しかしそれは!」
「攻め落とされちゃったら終わりでしょーよ? 早くしないと基地ごと消されちゃうからさ」
「は、はい。では一番近い〝コング〟様を……」
コングちゃんね。まあ、体力あるし、そーこそこのデータが取れるかな。
「あー、あとさ、戦闘員は付けなくていいから。どうせ役に立たないし」
ウチの組織のセオリーじゃあ、怪人を出す時は、ぜーったいにサポート役の〝戦闘員〟を同行させるんだけどさ。あの敵にはムダでしょーよ。
「了解しました。〝コング〟様、出動です」
さーて。お手並み拝見って感じ?
「アルレッキーノかぁ? コングだぁ! オラを呼び出すほどの侵入者ってのは、何者だ?」
ちょいとコングちゃーん。せめてさー? アルレッキーノ〝様〟でしょーよ? 僕ちゃん一応、最高幹部なんだけーどね。
「おはようコングちゃん。悪いねー、面倒な仕事押し付けちゃって。敵の正体はわかんない。武装も未確認なーのよね。今のところ、素手による物理攻撃だけ。ダメージは自動で直しちゃうし、熱線とかは、無効にしちゃってるよ。一応気をつけてね?」
「おぅおぅ! そんな力押しのバカ相手にオラを出すってのは納得行かねぇけんどよ!」
ヤッバイねー! わざと言ってるのかもしれないけど、一応さー? ツッコんどかなきゃなーのかな?
力押しのバカは、おー前だろー? 笑っちゃうじゃなーい?
「まぁ、朝メシ前の運動には丁度いい。ちょっと行ってくらぁ!」
「無理しなくていいからね? 安全第一で行っちゃってー?」
「いくらお前でも聞き捨てならねぇど、アルレッキーノ! オラが負けるわけねぇだろ! お前は先にメシでも食っとけ!」
あーもー! 〝お前〟って言っちゃダーメだって。あと、どーんだけ朝メシ意識してんのよ。
「コング様、あと2分で敵性個体と接触します……大丈夫でしょうか、アルレッキーノ様?」
……もちろん、止めらんないだろーね。
「さーてねー? まあ、自信満々っぽかったし、大丈夫なーんじゃない? あー僕を呼ぶ時は〝アル〟でイイよ……おっと。〝様〟は付けてね?」
いいんだよ。データ取りたいだけだからさ。
むしろここはアイツに2~3体ほど怪人を潰しといてもらうのがベスト。そうすれば、より〝緊急事態〟感が増してさ……僕がちょっと不自然な動きしちゃってもバレないって寸法だ。
「あと20秒で接触」
「わーかってると思うけどさ。センサーは全部アイツに向けといてよね。あと、念のために〝芋虫〟と〝大鷲〟も起こしといてよ」
「り、了解しました」
「あー、他のヤツを準備してる事は、コングちゃんに言っちゃダーメだからね? 怒られちゃうよ?」
「はい!」
さて、何とか対処法を考えなーいとねぇ。
「〝コング〟様、敵性個体と接触」
「オラオラオラーッ!」
目の前のモニターに、リアルタイムの戦闘が映し出されている。
すーごい威力のパンチが敵に叩き込まれたね。ボコボコとヘコんじゃう白い敵。
しかし……うーるさいよねぇ。もうちょーっとだけ、スマートに戦えないもんかなぁ。
「あーはっはっは! 見ろ見ろ! もう虫の息だぁ!
敵はアルミ缶を潰したみたいに拉げていく。
コングちゃん、なかなかやるじゃーないの?
……でも、こんなんで勝てるとは思わないほうがいーよ?
「あの部屋、耐爆隔壁にしちゃってくれるー?」
「あ、あの……それは?」
「ウチの戦闘員とか怪人も、そーでしょーに? アイツだって、倒したら大爆発! とかあるかもよー? さあさあ、急いで」
うっそだよーん! 爆発するのはコングちゃんだね。僕ちゃんのカンだけど?
「了解致しました! 壁、床、天井を耐爆仕様に! 急げ!」
そうそう、急いで? そろそろ反撃が来るよ……ほーら見なさいな!
「な、なんだこいつぁ?!」
ベコベコになったボディが、一瞬にして元通り。すごいなあ!
やっぱ欲しいなぁ。よし、頂いちゃいましょーか。
「うがあああぁ?! 腕が! オラの腕があああぁぁ!」
コングちゃんが、自慢のゴッツイ腕を握りつぶされたねー。こりゃ、保ってあと2分ってとこじゃない?
「か、回収してくで! 助けっ!」
あー、ダーメなんだよなあ。耐爆部屋にしちゃったからさ。そこをオープンするには15分は掛かるんだ。悪いけど死んじゃってー?
「コングちゃんは救出不可能。次の部屋に〝芋虫〟と〝大鷲〟も待機させてね。ふたり掛かりならいけるっしょ?」
ははは。いけないいけない。あんなのに敵う子は、ウチの組織には居ーないねぇ。
さて、と。それじゃ僕はちょっと、デスクワークをしましょーか。
「ぎゃああああ!!!」
断末魔のあとに、凄まじい爆発が巻き起こる。
コングちゃん、アンタの死は、無ー駄にしないからね?
「今でしょーよ! 可能な限りの攻撃! せーっかくの〝耐爆〟なんだから、撃てるヤツみーんな撃ち込んじゃってね?」
まー、効かないよねぇ! 次のふたりが命懸けで止めてくれている間に……っと。
通信が一方通行なのは分かったけど、あの性能だし、きっと〝受信〟もするよねぇ。可能な周波数をぜーんぶ試してっと。あーあ、ここの機械、反応が悪いんだ。
「見ぃーつけた!」
意外とオーソドックスな信号に反応しちゃうんだねー? じゃあ、ここからは僕ちゃんの腕の見せどころってーわけかな。
ログインっと。あれー? おっかしーねー? パスワードも聞かれないんだ?
「んー、こいつのプログラム、原始的っていうより、なーんか妙にキレイな組み立て方してるねー」
まるで、敵にイジられる心配を全くしていないような作りだ。暗号じゃーないね。言語からオリジナルで作ったみたい。
そこまで凝っているならさー? 普通は、外部からの介入を許すはずが無いんだけど。
「素通りかぁ。罠っぽくもないし、ざーんねん。僕のスゴさを伝えらんないよ」
本当にメインフレームまでたどり着いちゃった。
操作系ってこの辺りだねぇ。僕ちゃんのPCに直結しちゃおう。
……よーし、面白そうな〝ラジコン〟ゲーット!
「ダメです! 全く攻撃が効きません!」
「もー! ヤッバイねえ! 対処の仕様が無いねぇ!」
嘘だけど。
さぁて? 意外と早く僕の物になっちゃったし、ちょっとテスト運転しちゃおうかな?
「〝芋虫〟と〝大鷲〟の部屋に通しちゃて! 仕留めるよ!」
僕が直々にふたりをね?
……なーんだ、飛び道具もあるっぽいじゃーない! 出ーし惜しみしちゃって可愛いんだから。
ちょーっと撃ってみよーか。そーれそーれ。
「ぶっ! あーははは、大鷲ちゃんは踊るねぇ!」
「アルさま?! どうされました?」
「んーん。なーんでもない」
そうだねぇ。そんで、なんか上手く誤魔化しちゃって、僕の秘密の研究室まで連れて行こう。ここの子たち、うっかり屋さんばっかりだーからねぇ。記録さえイジれば絶対バレないよ。
「九条博士の時みたいにねー?」




