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神の力

『面白いね! 奇跡的だ!!』


 ブルーは、かなり驚いている。


救星特異点(きゅうせいとくいてん)って、そんなに珍しいのか?」


『タツヤ、キミはもっと自覚を持って欲しい。ひとつの星に特異点が2人もいるなんて、まさにミラクルだ!』


 ブルーは興奮を隠せない様子で続ける。


『歴史は本当に頑丈だ。それをねじ曲げられるっていうのは、キミ達に分かりやすく例えるなら〝神〟だ』


「私にも、そんなすごい力が……?」


 彩歌(あやか)も神妙な面持ちで聞いている。

 ブルーは落ち着いた口調で言う。


『アヤカ。キミの助けが必要だ。どうか、タツヤと共に、この星を救って欲しい』


 ブルーは彩歌に、星の終わりが近付いていること、15年後ではなく、至る所に分岐点があり、導き手の正しい選択によって星の破壊を回避できること、例の〝3つの注意点〟などを僕に伝えた時ように説明した。


「……これから私は、どうすればいいの?」


『アヤカ、キミは多分、私がタツヤを巻き戻さなければ、ここで絶命していたはずだ』


「……あ!」


 彩歌は、ハッとした表情をする。


『キミを救うことによって私の寿命が延びた。つまりキミが存在するだけで、良い方向に歴史は動いていくみたいなんだ。だから、何か問題が起こるまでは自由に過ごしていてくれればいい』


「……うん、わかった。もし、何かあったら?」


『そうだね。連絡手段を用意しよう。ちょっと待って』


 数秒の沈黙。僕と彩歌は顔を見合わせる。


『……よし。これでいい。タツヤ、ちょっと手のひらに力を込めて、アヤカを思い浮かべてみてくれないか。ああ、もちろん右手だよ?』


「力を込めるって……こうかな?」


 僕は言われた通り、彩歌の顔を思い浮かべ、右手のひらにグッと意識を集中した。


『そのまま喋ってみて』


「えっと、あー、あー、あいうえおー」


 僕が喋ると、彩歌が急に、胸のあたりを押さえた。


「きゃあ! なんで?!」


「どうした、彩歌さん!?」


「体の中から、達也さんの声が聞こえる!」


 すごいなブルー! これは便利だ。


『うまく通じたようだな。逆もやってみよう。アヤカ。タツヤを思い浮かべて、心臓に力を込めてから喋るんだ』


「ブルー。心臓に力を込めるって、難しくないか?」


『そう? ん~そこら辺は、適当でなんとかなると思うよ』


 相変わらずアバウトだな。


「えーっと……達也さん、聞こえますかー?」


 彩歌が喋ると、僕の右手のひら……ブルーから、彩歌の声が響いた。


「聞こえた! ナイス彩歌さん!」


『ちなみに、この会話は私が中継しているので普通の人間には認識することが出来ない』


 それはいい。ナイショ話も自由自在だ。あ、ブルーには聞かれてるのか……


『さて。タツヤはこのまま普通に生活を続けていくことになる』


 そうだった。小学生をもう一度やり直すのか。


「彩歌さんはどうするの?」


「私は、一度、魔界へ帰らなきゃ……」


『面白いね! アヤカ、私もお邪魔させて頂けないだろうか』


 ブルーの興味が尽きないようだが、とりあえずスルーしておく。

 というか……


「魔界?! 彩歌さん、魔界に住んでるの?!」


「魔界には、魔道士たちの町があるの……こちらの世界に悪魔が入ってこないように、魔界からの入り口に城塞都市を作って、大勢の魔道士が交代で見張っているのよ」


 ファンタジーが止まらないな。魔界の城塞都市……! 僕も行ってみたい!


「私はちょうど、非番でこちらに来ていたの。あの悪魔は見張りを上手くすり抜けて、私を追って来たみたいね」


 そして、襲われたのか……


「家族が心配していると思うから、帰って事情を説明しなきゃ」


『アヤカ。わかっていると思うけど……』


「ええ。秘密は絶対に守る。口はかたいのよ、私」


 彩歌は、ちょっと首を(かし)げてニッコリ笑う。


「さあ! それじゃ、魔法でこの部屋とオトナたちの記憶を、いい感じにイジっちゃいますか!」


 そう言うと、彩歌は両手を高く振り上げて、呪文を唱え始めた。

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