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ミニヨンウォーズ 教室の皇女と高校生ヒーローの3人  作者: ドットオー
第1章生活安全部編
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第6話「表裏比興後編」

キサヒメ学園エントランスホール

アーマードギアの姿となったフェリス・グレモリーの姿に驚く。

生活安全部の一同。

「ブラッドレール。もっとも私にふさわしいアーマードギアですわ」

「何でお前がアーマードギアを⁉︎」

「どこかの誰かさんが技術提供してくれたおかげで、我が社もアーマードギアの量産に漕ぎ着けましたわ」

後方の男たちが次々に白いアーマードギア=プロトギアに変身する。

「みんなすまない。アルテ君をこの学園で匿う交換条件として致し方無く」

「懺悔は済んだかしら、ウルヴァ。さぁゲームと行きましょうか?

そうですわね。いいルールを思いつきましたわ。あなた方は、我々が掲げる本陣のフラッグを倒せば勝ち。

私たちは、あなた方全員を倒せば勝ち。フラッグは360°どこからでも狙えます。全くもってあなた方に有利です。いかがですか?」

「よっしゃやってやろうじゃないか!」

「そうだ。あなた方が勝てば私は、生徒会長を諦めます。生活安全部の支援も約束しましょう。

もちろん生徒たちの退学処分は致しません。ですが私が勝てば、私の思う存分好きにやらせて頂きますわ。

では、20分後校庭でお待ちしておりますわ」


***

キサヒメ学園校庭

校庭のほぼ中央にキサヒメ学園の校章が入った旗が10mはある高さに掲げられている。

旗の元にはフェリスが椅子に腰を掛け、優雅に紅茶を飲んでいる。

両サイドと後方には量産型アーマードギアであるプロトギアが10体づつ。そして前方には

プロトギア10体と箔馬騎士と氷城冷菓が立ちはだかる。

対して、生活安全部はツカサと尊、アカネの3人とサポーターとしてウルヴァが控える。

「何が俺たちに有利だ!大群で俺たちを囲んでんじゃねぇか」

「オーホホホ、そうですわね。気づきませんでした」

「ルールも結局、自分たちが有利に運ぶように設定されている。嵌められたな」

「さぁ、どこからでも掛って来なさい」

「行け!ツカサ。構わず正面突破だ!」

「よっしゃ!行くぜ変身!」

ファイヤーアーマーに変身したツカサは、両腕に炎を纏い敵陣に突っ込んで行く。

向かって来るプロトギアを次々になぎ倒し、フェリスを射程に収める。

「やりますわね」

だが、冷菓がファイヤーアーマーの前に立ちはだかる。

「何だお前は?」

冷菓は、メガネを外し、その黒い髪と瞳が青く染まる。

右手から氷の剣を作り出し、左手からは氷の鞭を作り出し装備する。

「さぁ、キンキンにしてあげるわ」

生身の相手に躊躇するツカサ。

「安心しなさい。彼女は我が社が開発したコネクトシールを付けているの。

アーマードギアに勝るとも劣らない人体強化アイテムよ」

尊は、ハッと炎を纏う襲撃者と植物のような触手を操っていた御影マコトのことを

思い出しす。

「まさか、あの時も・・・」

「来ないならこっちから」

冷菓は剣を地面に突き立てると、そのままファイヤーアーマーに向かって

地面が凍って行く。

避けるファイヤーアーマーだが、冷菓の素早い鞭捌きに、右腕を掴まれてしまう。

次第に凍っていくファイヤーアーマーの右腕。

「氷なんて俺の炎で溶かしてやるぜ!」

だが、炎を作り出すタービンが凍ってしまい動かない。

「クソ!動け!」

そうこうしているうちに、地面の氷に捉えられ

両足が凍ってしまう。

冷菓は、右手の剣も鞭に変化させ、ファイヤーアーマーの左腕も締め上げ凍りつけにする。

「トドメだ」動けなくなくなったファイヤーアーマーに、冷菓は再び氷の剣を作り出して襲いかかる。

間に入ったアカネの拳が冷菓の顔面を捉える。

2,3m弾き飛ばされる冷菓。

アカネはすかさず、飛び掛かり冷菓と殴り合う。

「生身で私とやり合えるなんて驚きだわ」

「多少、武術は心得ているんでね」

「これじゃ、キリがない」と、冷菓は、制服の胸ポケから変身ブレスレットを取り出す。

アカネは咄嗟に上段蹴りで、冷菓が手に持った変身ブレスレットを蹴り飛ばす。

「これで私もツカサと一緒だ」

地面に落ちた変身ブレスレットを拾い上げたアカネは、プロトギアをベースに

カスタマイズした高速近接格闘型アーマードギア=ターボファイターに変身する。

「あらあらせっかく、冷菓用にカスタマイズしてあげたのに」

余裕の笑みを浮かべるフェリスは、ティーカップを手に取り紅茶を啜る。

『パンッ!』と、乾いた銃声の音と共にフェリスのティーカップが砕け飛び散る。

悲鳴を上げるフェリスは椅子から転げ落ちる。

音がした方を見やると、フェリスの陣の後方から馬に乗ったローズファリテ=アルテが突進して来るのが見える。

馬による攻撃に陣形を乱す、プロトギア部隊。

「さすが元皇女様、馬の扱いはお手の物だな」

「そうでしたわ、この学園には乗馬部がありました。

奇襲だなんて、あちらには軍師殿がいらっしゃるようですわね」

怒りに震えるフェリスはローズファリテに指示を出す尊を睨みつける。

馬上のローズファリテは、冷菓、そして氷漬けで動けなくなったファイヤーアーマーを庇う姿勢の

ターボファイター=アカネを視界に捉えると、反転して3人に向かって馬を走らせる。

馬はそのまま一気にターボファイターを突き飛ばして、倒れ込んだターボファイターに、ローズファリテは矢継ぎ早に

ハンドガンで銃撃を喰らわせる。

「何をしている⁉︎ 私は味方だ!」

「黙りなさい!ツカサと一緒に戦うのはこの私の役目よ!とっととクタバレ前生徒会長!」

「何やってんだ色ボケ姫!」

冷菓と周りをそっちのけで、バトルをはじめるローズファリテとターボファイター。

「例え理事長だろうが生徒会長だろうが、邪魔になるもの全てこの学園ごとぶっ壊してやる、この生活安全部で!」

「何、こんな時に闇落ちしてんだ!バカ姫!」

・・・その間に陣形を立て直すプロトギア部隊、そして「私を無視するな!」と、冷菓の氷が二人を襲う。

ローズファリテは、ターボファイターを盾に攻撃をかわす。

「何をするこの愚か者!」と下半身が氷漬けとなっていくターボファイター。

「ツカサ君、アルテ君、合体フォーメーションで彼女を仕留めるんだ!」

「が、合体!」と、モジモジよからぬ妄想にマスクの下で頬を赤らめるアルテ。

「不純だ!せ、生徒会長として合体なんて許さない」

「アルテ!俺に身を任せろ!」

「(モジモジと)ちょっと強引です。ツカサ」

「うぉおおおお!」と、ファイヤーアーマーは、氷漬けのタービンを回そうと全身にパワー込める。

そして、タービンが火花を上げ回転し始める。

全身に炎を纏い身動きが取れるようになったファイヤーアーマーは、ローズファリテの背中を掴むと

ひっくり返すようにして、ローズファリテを巨大な剣=ローズカリバーに変形させる。

「え、え?合体ってこういうことなの⁉︎」

「よっしゃ!反撃して行くぜ」

ローズカリバーをグングンと振り回してプロトギア部隊をなぎ倒して行く。

「目、目がー!やめてー」

「これで終わりだ!氷女!」

高くジャンプしたファイヤーアーマーは、振りかぶったローズカリバーを冷菓目掛け勢いよく振り下ろす。

冷菓は氷の壁を作って、ローズカリバーの一太刀受け止めるが、その力に簡単に打ち破られ吹き飛ばされる。

激しく地面に打ち付けられた冷菓は、髪の色が黒に戻り意識を失う。

ファイヤーアーマーも全身から黒い煙が吹き出し、機能を停止する。

変身を解いたアルテもその場で、嘔吐して動けなくなってしまう。

「もうダメ・・・」

「無理がたったか・・・」と、頭をおさえるウルヴァ。

「ヒーロー様に、元皇女様、無様ですわね。あとはあなたでけですわね。軍師殿」

「では、直江尊君。この僕が相手をしよう」

カスタマイズプロトギア=ホワイトナイトに変身した箔場騎士が現れる。

「腰に付けたその刀、どうやら君も剣士のようだね。どうだい?お互い剣の道を極める者として

互いの剣でやり合わないか?」

尊は、言葉を交わさず、ソードアーマーに変身して、ホワイトナイトに斬りかかる。

「そうこなくては、ではこの剣で決着を付けよう!直江君」

『カキン、カキン』と、凄まじいスピードで剣先をぶつけ合う二人。

もはや、二人の剣は肉眼で捉えることができない。

「なかなかやるね。直江君、僕の剣についてこれるなんて驚きだ!」

「何を言っている。俺がお嬢様の頬をひっぱたいてから、剣に手をかけるようなのろまの分際で」

「言ってくれるね。僕は、大切なお嬢様を傷つけた君を許さない。君のその荒削りな太刀筋。

残念だが、僕の洗練された剣の敵ではなかったようだね」

ホワイトナイトの剣先がソードアーマーに迫る。

突然、『パンッ』と乾いた音がする。

その場に、ドサッと倒れるホワイトナイト。

「え?」となるフェリス。

静まり返る、校庭。

ソードアーマーの左手にはピストルが握られている。

「ひ、卑怯よ!」

「卑怯ではない!俺は勝つために手段を選ばない男だ!」

そう言い放ち、ホワイトナイトにさらに銃弾を撃ち込む。

「学園の命運が掛かっているんだ!そう簡単にこいつの優位になる条件を飲むわけないだろ!」

ぐぬぬっとなるフェリス。

「おっさん今だ!」

「あいよ」

ウルヴァがスマホに表示されたスイッチを押すと、地下室にある

1、2、3、4と書かれた格納庫の2番から武器とアーマーが射出される。

ソードアーマーの上半身にアーマーが装着されマッシブな体型になる。

そして射出された斧型の武器アックスソードを手に取り、アックスモードへと変化する。

アックスソードで残りのプロトギア部隊を倒すと、今度は1番の格納庫から武器が射出される。

ソードアーマーに新たなアーマーが装着され鎧武者のような姿になる。

標準装備の日本刀型武器"無双ブレード"が、もう一本追加されて、柄同士を連結して

ナギナタモードに変化する。

起き上がったホワイトナイトは「許さない、許さないぞ!直江尊!」と、ソードアーマーの背後から斬りかかるがソードアーマーは、一太刀で、ホワイトナイトを倒す。

「もう許しませんわ!この腐れ外道が!」と、激昂したフェリスはブラッドレールに変身して、所構わず、生活安全部たちに向かってレールガンを放つ!

「今だ!ラルフ!」とソードアーマーが上空に向かって叫ぶと、大きな爆発が起こる。

吹き飛ばされるブラッドレール。

「な、何事ですの⁉︎」

変身が解けたフェリスは、上空を見上げるとフライトモードのAGX-Ⅱの姿がある。

そして、AGX-Ⅱは、フェリスに向かって容赦なく激しい空爆をする。

大きな爆発の中を泣きながら必死に逃げるフェリス。

「泣かせてやるってこいうことなの・・・」と、アルテは尊の策にドン引きする。

そして旗は、AGX-Ⅱの爆撃が命中して、大きな音を立てて倒れる・・・。


***

スメラギ国国会議事堂

委員会室では臨時予算委員会が行われている。

グールド・グレモリー他、閣僚たちが顔を連ねる中、華僑院総理の姿はなく、

外務大臣のグールドは建設中のフリーゲートブリッジに関して野党の追及を受けている。

「ある機関の調査では、フリーゲートブリッジの運営の維持管理費における、年間の赤字が90億円にも昇ると

試算されていますが、これについてはどのようにお考えなんでしょうか?」

マイクの前に立つグールドの手元に官僚から原稿が置かれる。

グールドは、原稿を確認するとそのまま沈黙してしまう。

30秒弱だろうか、長い沈黙に、周囲がざわつき出す。

内閣官房長官に就任した安守は、見兼ねて、グールドに助け舟を出そうと手を挙げる。

「安守官房長官」と、議長の呼び出しで前に出ようと安守が立ち上がった瞬間、グールドは質問に

答えはじめる。

「フリーゲートブリッジについては、政府として赤字が出るとはいっさい考えていません」

「その根拠は⁉︎」と、野党議員たちの野次が飛び交う。

「ご存知の通り、フリーゲートブリッジは世界の中心とも言うべき、ドルスと結びます。

そして併設される、国際エアポートは、スメラギ国側に建設している。スメラギ国は

これから世界の中心の玄関となるんです。

ドルスへの各国への企業進出が増え溢れんばかりの今、ドルスへの交通の便を理由に

スメラギ国側への企業進出が増えるのも必定!

税収をかみして総合的な見地から考えれば、赤字になるとはあり得ない。

常識を捨てて下さい。現状のスメラギ国のでは、考えられない変化が起こるのです。

常識を捨てられない者が居ては進歩の妨げになります。

スメラギ国は、国際政治、経済、観光、どの面を取っても飛躍的に

成長する。そのための必要なインフラ整備は行っていきます

そしてスメラギ国が世界政府の中核を成すのはそう遠くない未来と私は考えます」


***

スメラギ国首相官邸 閣議室

普段、閣僚が一堂に会するこの部屋に、グールドと安守の二人だけ。

グールドへ、委員会での質疑内容に忠告をする安守。

「先ほどは、出過ぎた真似をしてしまい申し訳ございませんでした」

「大規模インフラ整備も、そしてスメラギ国が世界政府の中核をなそうだなと、

政府としてそんな政策は打ち出していない。

お前は、華僑院内閣の一員になったんだ。個人の政策を発言するのは控えろ!」

「は、申し訳ございません」

「今は、華僑院政権が1日も長く続くようにどうしていけばいいかだけを考えるんだ」

「ご指摘ありがとうございます。ところで総理の体調の方は如何なんでしょうか?」

「国際議会への招集が続いて、お疲れになられただけだ。貴様が気にすることではない」

「失礼致しました」

部屋を後にする安守。

閣議室には2枚の歴代総理大臣の写真が飾られている。

初代内閣総理大臣と書かれた写真を見つめるグールド。

そこに写し出されている人物は壮年期のウルヴァである。

「はじまりの男が、動き出したんだ。もうこの政権は長くない」


***

次の日 キサヒメ学園生活安全部部室

祝勝会で盛り上がる、アカネと生活安全部一同。

その中に、なぜかポツリといるフェリス。

「なんで理事長がいるんだ?」

「う、うるさい、直江尊!私は理事長です。私はあなた方の部活動サポートする身として

普段のあなた方を見守る必要があります」

「おーい、生徒会長が盛り上がっている輪の中に混ぜて欲しいんだって」

「ち、違います!もう」

頬を膨らませプイっとそっぽを向くも、横目でチラッと尊の顔を見る。

「私の受けた頬の痛み忘れませんわ・・・気持ち良かった、じゃなくてこの屈辱絶対晴らしてやりますわ」

「お菓子、早く来ないと理事長の分なくなっちゃいますよ」

「あ〜ん待って、取っといて下さぁい」と、半ベソで輪の中に入っていくフェリス。













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