第51話「総攻撃」
華僑院神社とアマテラスの里から夜の空に向かって光の柱が噴き出すようにして伸びる。
その光の柱にブラックジョーカーバーサーカーフォーム=グールド・グレモリーは、手を翳して全身へと取り込出いる。
「今日この日、ここ、この時、龍脈を伝った地球の記憶が出現することはわかっていた。この膨大な記憶を取り込めば、あと儀式の時を待つだけだ」
***
回想
日本国・エド城
回廊で中庭を眺める、幼き日の徳川イエミツと保科マサユキ(のちのグールド・グレモリー)。
傍らには侍女たちが控えている。
「これ」と、イエミツはマサユキに人工知能を搭載したお世話ロボット=セデスを手渡す。
お世話ロボットは、子供をあやす用に開発されて当時、世間で流行していた。
「マサユキにあげる」
「よろしいのですか? イエミツ様。大事になさっていたではありませんか」と、侍女が驚く。
「ワシにはマサユキがおるからいい」
「ありがとうございます。兄上」と、笑顔をこぼすマサユキ。
以降、殿中を歩く時も寝る時もマサユキと一緒にいるようになったセデス。
マサユキにとってセデスは、はじめてであり、唯一の友達であった。
***
スメラギ国・キサヒメ学園・地下秘密基地
アビリティマシンがビークルモードで並んでいる格納庫を小さな蜘蛛型ロボットが這っている。
蜘蛛型ロボットは、グランドザウラー(トラックモード)の車体の下に入って、射出した蜘蛛の糸を伝って、機体の中へと入っていく。
隣でジェットモードで待機するアームキャリバーは「ん?」と、違和感を覚える。
***
同・教室
フェリス・グレモリー、生活安全部一同(火条ツカサ、火条アルテ、直江尊、黒雛かなみ)、生徒たちが作戦会議を開いている。
「(フェリス)解体業者があと2時間ほどでやってきます」
「ギャングが来たときも私たちの力で追い払えたから今度もいけるよね」と、同級生のリサら意気揚々の生徒たち。
「もちろんだ」と、尊はバリケードの配置などを生徒たちに指示する。
フェリスは、「あなたたちはこれを使いなさい」と、アタッシュケースを開いて天影乃アカネと氷城冷菓に差し出す。
中には第3世代型ギアコマンダーが2つ入っている。
「(冷菓)これは⋯⋯」
「(頬を赤らめて)あなたたちのために用意してあったのよ」
「(アカネ)ふん、私たちにもついてきてほしかったのか?」
「うるさい」
ギアコマンダーを受け取るアカネと冷菓。
これで2人は、ファイターアーマーとブリザードアーマーに変身できる。
***
廊下に机を積み上げてバリケードを作る生徒たち。
そして、尊の指示通りあらゆる通路に罠の設置や扉が開かないように板で固定している。
フェリスと生活安全部一同、天影乃アカネ、氷城冷菓が残った教室。
「どうしてグレモリー家はこの学園の廃校を急ぐんだ?」と、尊はフェリスに尋ねる。
「お兄様がお決めになられたことだからよ⋯⋯」と、過去を振り返るフェリス。
***
回想
理事長室にて職務にあたるウルヴァの前にアール・グレモリーがやってくる。
「ウルヴァよ。お前は理事長をやめろ」
「藪から棒になんだ?」
「我が息子に託したい」
「フッ、お前に息子がいたとは、ただの親バカで私を追い出すのか」
「グールド・グレモリー、この学園の理事長にふさわしい男だよ。キサヒメの子だ」
「⁉︎ どういうッ!」
「ヒデタダ公がここまでお育てになられたのだ。立派な青年だ」
「ヒデタダ⋯⋯あの時の子か⋯⋯」
「かつてここには、孤児がアマテラス様の下に拾われる童神社が建っていたそうだな。お前はここに学園を建てた。
キサヒメ様が拾われたこの地でキサヒメの名をつけた学園を建てた意味。今もなお、あの時、離れるしかなかったキサヒメとあの子を待っていたのだろ。
その時が来たのだ、ウルヴァ」
ウルヴァは、キサヒメが病で亡くなったことは人づてに聞いていた。だが、その子供の行方までは分からず、いつか巡り会えることを願って、戦で焼け落ちた童神社をキサヒメ学園として建立していた。
「⋯⋯わかった⋯⋯」と、放心状態のウルヴァの頬に一筋の涙が伝う。
***
「だからこの学園をどうこうできる権利はお兄様にあるの」
「(尊)だけどここまでするのには何か目的があるはずだ」
「ここは旧高天原の地理関係と照らし合わせてみると特殊な位置関係にあると聞いたことがあるわ。おそらくお兄様はこの地で地球の記憶を行使しようと考えているの」
「(ツカサ)歴史の改変か」
「やっぱりご存知だっだの⋯⋯そうよ。すべての権力を手にしたお兄様が、地球の記憶を行使することで、この地球に住む民たちが誤った道へ進まないよう導く存在になろうとしているの。
過去を修正し、数多ある分岐点から最善の未来を選択し与える。悲劇のない平和な世界へと作り変えられるわ。そしてお兄様だけが、どの世界線の記憶を所持する絶対の存在。地球そのものになりますわ」
フェリスは学園を守りたい気持ちとその結果、兄を裏切る形になってしまったことに今も尚、葛藤している。
「(アルテ)理事長も私も、変えたい過去があっても今この時が過去よりも素敵だからここにいるんですよね?」
「アルテさん⋯⋯」
「(アルテ)私は生活安全部と過ごしている今が大好きなんです。それは理事長も同じでしょ? だから一緒に守りましょう」
フェリスは、両手を広げたアルテの胸に導かれるように飛び込んで泣き咽ぶ。
***
同・中庭
バリケードの設置をしている女子生徒たち。
どの生徒たちも学園祭の準備のようにワイワイと、楽しげに作業をしている。
遠くの方から飛行機のエンジン音のような轟音が聞こえてくると、突然、"ドーンッ!"との音ともに校舎の外壁砕け飛び散る。
飛び散った大小の瓦礫が女子生徒たちの頭上に落ちてくる。
そこから立て続けに4発の砲弾がキサヒメ学園の校舎に落ちる。
***
「なんだ⁉︎」と、窓外を見る生活安全部の一同たち。
校庭には大型の軍事トラックが何台も入ってくる。
トラックから次々と降りてくるアーマードギア部隊。
瞬くまに、ウラヌス騎士団の紋様が入った旗が翻る。
そしてトラックの荷台に大装備された大砲から第5射が発射される。
大砲が直撃した威力で揺れる校舎内。
生徒たちは悲鳴をあげてうずくまる。
生徒たちの顔から笑顔が消えて恐怖に包まれる。
***
「フェリス様⋯⋯」と、煙をあげる校舎を校庭から見つめる箔馬騎士。
***
瓦礫の下敷きになった女子生徒たちを救出しているファイターアーマー。
そこへブリザードアーマーが駆けつける。
「大丈夫か⁉︎」
「意識はある。命に別状は無さそうだ。だけどこれが業者のやり方なのか」
***
「(尊)こいつはまずい。一般の生徒を逃すぞ」
ツカサ、アルテ、かなみは頷いて、4人は教室を飛び出す。
***
「みんなこっちに逃げるんだ」と、ツカサを先頭に生徒たちは走る。
「(アルテ)地下秘密基地から逃げれば、安全に外へ脱出できます」
目の前に突然、廊下いっぱいの大きさの魔法陣が出現する。
魔法陣の中からタリウス、エレナ、レギル、そして天使たちが続々とあらわれる。
「見ぃ〜つけた。火条ツカサ!」
「(かなみ)こんなときに敵⁉︎」
***
ただ1人教室に残るフェリス。
スマホの着信が鳴ってフェリスは応答する。
相手は騎士から。
「フェリス様、お逃げください。もう間も無く総攻撃がはじまります」
「騎士⋯⋯」
「フェリス様、星帝は本気です。世間は完全に情報統制され、廃校になった学園の校舎にテロリストが立て籠っていると扱われています。急いでください」
「騎士、ごめんなさい。あなたを置いてきてしまって」
「これがフェリス様のご判断ならば致し方ありません。ただ、お側でお守りできないのが残念です」
「あなたをどうするの?」
「時間は僕が稼ぎます」
騎士は、スマホの通話を切ると、アーマードギアに変身して目の前にいるアーマードギア部隊に背後から斬りかかる。
そのことがすぐさま本部の陣にいる芽衣姫に伝えられる。
「騎士団長! 箔馬副長がご乱心! 見方を攻撃しております」
「まことですか⁉︎ 裏切り者は許しません。すぐに制圧してください」
「ハッ」と、敬礼して隊員はすぐさま向かう。
「陣形を立て直します。滞りなく総攻撃の準備をしてください」と、芽衣姫は、淡々と隊員たちに指示をする。
***
「火条ツカサ、あんたを倒してその身体いただくんだから」
「我らにはパワーアップが必要」
「お前たちゼロノイドか?」
身構える生活安全部の一同。
「へへ〜あたり〜」と、エレナはツカサに飛びかかる。
ツカサたちはギアコマンダーを翳してアーマードギアに変身する。
ファイヤーアーマーは取り出したリボルブレイカーでエレナの攻撃を受け止める。
「こりゃあ、本気にならないと倒せなさそうだね」
ファイヤーアーマーはバーニングフォームに変身。そしてエレナとエギルは髪を青白く逆立ててゼロノイドの力を解放させる。
「こっちの方から逃げるぞ!」と、ソードアーマーは生徒たちは別の通路に誘導する。
「タリウス様、我々に神罰執行のご命令を」
「待って」
タリウスは、怪我をした生徒を抱えながら逃げる生徒たちの姿を見つめる。
そしてヘリオスの杖を翳して、「ヒーリング!」と、怪我した生徒たちに光を浴びせる。
怪我が治って驚く生徒たち。
「だからあなたは甘いのです!」と、天使の男は堪えきれなかった怒りを絞り出すようにタリウスにぶつける。
ヘリオスの杖を握りしめ、涙を堪えるタリウス。
***
生徒たちが逃げる廊下の壁が突然、道を塞ぐように吹き飛ぶ。
そこからヴィダルファングがあらわれる。
「こいつはヤバイ、俺が相手する」と、ソードアーマーは無双ブレードを取り出して構える。
「お前たちは別のところから逃げろ! ここはなんとかする」
ローズファリテは、頷いて「わかった。ソードアーマー、生きて帰ってきて」
「もちろんだ」
***
激しい戦闘を繰り広げるファイヤーアーマーバーニングフォームとエレナ、レギル。
ファイヤーアーマーバーニングフォームはリボルブレイカーをバズーカーモードにして、エレナに近距離で発射する。
腕でガードして受け止めるエレナ。
だが、強大なエネルギーに耐えられず吹き飛んだエレナは壁を突き破って姿が見なくなる。
レギルが、攻撃し終わったファイヤーアーマーバーニングフォームの隙をついてサイドから攻撃を仕掛ける。
顔面を捉えたエギルのパンチによってファイヤーアーマーバーニングフォームは床を抉りながら壁に叩きつけられるまで飛ばされる。
空いた壁の穴の向こうからエレナが肩を抑えあらわれる。
自力で外れた肩を戻すと鬼の形相でファイヤーアーマーバーニングフォームを睨む。
「大丈夫か」と、レギル近寄る。
「まだ立てるのか⋯⋯」と、ファイヤーアーマーバーニングフォームは驚く。
「もちろんさ」
そのとき、鈍い音がレギルを襲う。
「うッ!」と、吐血しながら腹部を見やると槍の先端が突き出している。
槍は背後から壁ごとレギルの腹部を貫いている。
「あああ⋯⋯」
槍は真横に薙ぎ払われ、レギルの上半身は下半身から切り離され床に"ドサッ"と、音を立てて落ちる。
そして壁を吹き飛ばして、クイーンオブクイーンがあらわれる。
「キサヒメ学園の校舎が礼装になっているのを知って現れたのですね」と、クイーンオブクイーンはタリウスを見やる。
「火条ツカサ、星帝グールド・グレモリー様が外でお待ちだ」
「なんだと?」
***
「お兄様⁉︎」と、フェリスは校庭にグールドの姿を発見して驚く。
***
「ふざけるな。人の喧嘩横取りして命令してんじゃねぇ」
「ここにいる者は、我が両親の仇、ハバキリの娘タリウス。私が討たねばならないのです」と、クイーンオブクイーンはクイーンデスピアーで、タリウスを指しながら答える。
「⁉︎」と、驚くタリウス。
ファイヤーアーマーバーニングフォームの耳元に加賀ミヲの声が聞こえる。
「ここにいる者たちの過去が見えました。ここは当事者たちに収めてもらうのが最善です。行きましょう」
ファイヤーアーマーバーニングフォームは、「クソッ」と、痛みを堪えながらゆっくりと立ち上がる。
「ひとつ教えてくれ!」と、タリウスが問いかける。
「お前たちは非力なのになぜ戦う? お前たちは何者なのだ」
「俺たちは生活安全部。なんの変哲も無い退屈だけどかけがえのないこの日常を守るヒーローだ」
「日常⋯⋯ヒーロー」
この場を立ち去るファイヤーアーマーバーニングフォームにタリウスは「礼だ」と、ヒーリング魔法をかける。
***
逃げる生徒たちを追いかける天使たち。
ブリザードアーマーが「キンキンにしてあげる」と、氷を走らせて天使たちを氷漬けにする。
「(ファイターアーマー)生活安全部、生徒たちは私たちが守る。あなたたちは外の敵をなんとかして」
ローズファリテとドレスヴァイスブラッディは、「わかった」と、答えて校庭へと向かう。
***
刃と刃を激しくぶつけ合うソードアーマースクリームモードとヴィダルファング。
「やはりこの太刀筋、ガルド・ゲイザーだな⁉︎」
「へへ、だいぶ上達はしたようだな。いつかの礼だ。今のお前の実力を見せてみろ」
スクリームブレードで構えるソードアーマースクリームモード。
ヴィダルファングも「喰ってやる」と、剣を構える。
***
同・校庭
まるで戦場のごとく、アーマードギア部隊と天使たちが入り乱れて戦っている。
その中央を駆け抜けるファイヤーアーマーバーニングフォーム、ローズファリテ、ドレスヴァイスブラッディの3人。
ローズファリテは、倒れているアーマードギア隊員と天使たちの中に騎士を発見する。
「箔馬君!」と、駆け寄るローズファリテ。
「ぼ、僕に構うな。大丈夫だから行け⋯⋯」
頷く3人。騎士はそのまま意識を失う。
3人は、騎士をあとにグールドがいる本陣へ向かう。
そこへエネルギー弾が3人に落とされる。
地面に転がる3人。
目の前にブラックジョーカーバーサーカーフォームとシルバルドが現れる。
「グールドッ!」と、ファイヤーアーマーバーニングフォームはリボルブレイカーを取り出して斬りかかる。
リボルブレイカーを片手で受け止めたブラックジョーカーバーサーカーフォームは、握りつぶすようにリボルブレイカーを破壊する。
「何⁉︎」
ブラックジョーカーバーサーカーフォームは反撃にエネルギーを込めた拳で、ファイヤーアーマーバーニングフォームの腹部にめり込ませるほどの威力で殴り飛ばす。
「ぐはぁ」と、地面に転がるファイヤーアーマーはバーニングフォームが解除される。
「ク⋯⋯クソッ」と、痛みを堪えるように砂を握りしめブラックジョーカーバーサーカーフォームを見上げる。
そこへロボットモードのグランドザウラーが飛んできてブラックジョーカーバーサーカーフォームの背後に降り立つ。
「グ、グランドザウラー⁉︎」
***
クイーンオブクイーンのクイーンデスピアーで、床に叩きのめされるエレナ。
「チクショーッ! なんでゼロノイドの私が人間ごときにやられなきゃ! お前は何者なんだ⁉︎」
「私は生まれ持ってのゼロノイド。作りもののあなたが勝てるはずがない」
クイーンオブクイーンは、クイーンデスピアーの柄をエレナの手の甲に突き立てる。
「ぎゃあああッ!」と、痛みに悲鳴をあげるエレナ。
「そなた、私の母が仇とはいったいどういうことなのだ?」
夜の出来事、芽衣姫たちが暮らす家の前にパトカーや救急車が停まり、騒然としている。
リビングで斬殺され血を流して倒れている芽衣姫の父親と母親。
一部始終を目撃していた幼き芽衣姫は、警察官に包まれた毛布の中で震えている。
「私たち家族は平凡ながらも3人で幸せに暮らしていた⋯⋯」
震える幼き芽衣姫はフラッシュバックする。日本国にて普通のサラリーマンをしていた父親と専業主婦の母親と庭付きの小さな一戸建て暮らしていた。
芽衣姫は、休日は庭で楽しげに父親とボールで遊んでいたり、キッチンに立つ母と一緒にお皿を洗ったりといった楽しかった日常の光景を。
「悪魔のような所業、それは神の仕業だった。私の母は、2代目アマテラス神・カクヤ。あなたの母ハバキリによって殺された」
「ようやく見つけた。カクヤ〜」と、天使たちを従えたハバキリが刀を手に狂気の眼で玄関の前に立っている。
驚くタリウス。
「幼馴染であった2人は幼き頃より新たなアマテラス神の候補として育てられてきた。だが、母には、魔界との政略結婚だった祖父母の間に生まれたため、
悪魔の血が流れている。そのためハバキリは自分が2代目アマテラスだと疑わなかった。だが、社が選んだのは母であった」
カクヤとハバキリは同い年で、幼い頃からアマテラスの里の野山をよく駆け回っては仲良く過ごしていた。だが、カクヤとハバキリが17の時に社にて儀式が行われ、
最終的に華僑院玄徳の見立てでカクヤが2代目アマテラスに選出された。
まさかの結果に「(なぜカクヤが⋯⋯なぜ、私ではないのだ。私の方がカクヤより神力もなにもかも上のはずなのに)」と、気が強く、プライドが高かったハバキリは、このときカクヤに対して憎悪の念を強く抱いた。
カクヤは大人しく穏やかな性格で、いつも率先して行動するハバキリの後ろにくっついている印象で、象徴と導く存在たるアマテラス神にカクヤが選ばれたことにハバキリは納得いかなかった。
数年後事件は起きる。人間の男性と恋に落ちたカクヤはアマテラスの座を降りて人間界で暮らすことを選んだ。
旧来の保守的な考えの強いハバキリは、カクヤが人間と結婚する禁忌を犯したとして凶行に及んだ。
「ハバキリは、その後、自分の子供を新たなアマテラス神に据えようと、強い血統を求め、北欧の神一族の男とまで結婚してあなたたちを産んだ⋯⋯」
タリウスは、厳しかった母の教育を思い起こす。母ハバキリが辛く当たってきたのは、自分がカクヤの姿に重なって見えたのだということに気づかされる。
***
「準備は完了した」と、グランドザウラーがブラックジョーカーバーサーカーフォームに話しかける。
「しゃべった⁉︎」と、驚くファイヤーアーマー。
「私の友、セデスだ。儀式にはグレートセデスネスカイザーの力が必要でね。グランドザウラーは私の機体だ。返してもらうよ」
「ま、待て!」
「ところで、君はいつまで生きているつもりだ?」
「は?」
「オリジナル火条ツカサとの記憶と融合し完全体となったはずが、不完全だった。君の中には、音白リイサ、綾井律と過ごした学生時代の自分と生活安全部として過ごす
今の自分が同居して苛まれているのではないか? 音白リイサが生きやすい世界を求めて破壊に没頭した自分と今という日常を守るために戦う自分と。
君は特異な存在となってしまった。改変後の世界でも君は両方の記憶を維持するであろう。君は今、この時を高校生として存在してはいけない人間だ。
私はね、人間も悪魔も神もない世界を創ろうとしている。それは君と同じだ。改変後の世界で40を過ぎた君の側に音白リイサも生活安全部の仲間もいない。
そのような孤独の世界に生き続けるのならば死を選んだ方がいい⋯⋯」
「リイサ⋯⋯リツ⋯⋯尊⋯⋯ラルフ、かなみ、ロード、サヨちゃん、おっちゃん⋯⋯ア⋯⋯」
「(シルバルド)あなたもですよ! いつまで火条アルテを名乗っているのですか」
「そうね。すべてはあなたからはじまりましたわね。そう、私は⋯⋯火条アルテ! 生活安全部の部長です!」
「アルテ!」
「確かに私には、取り戻したい世界がありました。だけど今は、今ここにあるキサヒメ学園の日常が大好きなんです! 私は守る!」
「そ⋯⋯そうだったな⋯⋯」と、力を振り絞って立ち上がるファイヤーアーマー。
「俺は生活安全部の火条ツカサだーッ!俺は、俺として生きる!」
「ふん、やはり予測通りの未来か」
ブラックジョーカーバーサーカーフォームは、4機のアビィリティマシンと合体してセデスネスカイザーになる。
そして、「超魔獣合体」と、グランドザウラーとの合体シークエンスを経てグレートセデスネスカイザーとなる。
***
クイーンオブクイーンと対峙するタリウスは姉との最期の会話を思い出す。
***
回想
燃え盛るアマテラスの森の中で、セリウスはタリウスを大天使ミハエルに安全なところへ逃げるように託している。
「お姉さ様もお逃げください!」
「(首を横に振って)タリウス、あなたは生きなさい。そして神になるのです」
「できません! 私は、神様見習い。母上様がおっしゃるように私には神の才能は無い」
「タリウス、聞きなさい。母上様はアマテラス様という存在に気高さを求めていました。だけど私は、そのようなお方では無かったと思うのです。
アマテラス様はあなたのようにとてもお優しい心を持ったお方。でなけれな今も民に慕われたりしません。あなたの力はあなたのお役目が見つかったときに
発揮されるでしょう。いよいよというときはキサヒメ学園に行きなさい。あそこは校舎そのものがはじまりの男が作った巨大な礼装。きっとあなたの役に立ちます。行きなさい」
***
「お姉様、私はやっと自分のお役目を見つけることができました。人間の高校生が教えてくれたのです⋯⋯」
タリウスはゆっくりとクイーンオブクイーンの方へ歩み寄って行く。
「タリウスちゃん、私にヒーリングを、タリウスちゃん! はやく! タリウスちゃんッ!」
タリウスは、エレナの側に立って、ヘリオスの杖を振り上げる。
「きさまッ! タリウスッ!」
その瞬間、エレナの首筋にヘリオスの杖の柄が突き刺さる。
「ぐへぉあ⋯⋯」
「私は日常を守る神となる」
その瞬間、校舎の礼装が発動して力がタリウスの全身に注がれる。
そしてタリウスは、大人の体に成長し、金色の鎧を纏った姿へと変わる。
「(クイーンオブクイーン)おのれ⋯⋯」
***
ファイヤーアーマーは、「救援合体!」と、4機のアビィリティマシンと合体してファイヤーグリフォンとなる。
「行くぜ!」と、グリフォンソードを取り出して、グレートセデスネスカイザーに挑む。
「愚かな⋯⋯」
そのとき、ファイヤーグリフォンの背後からビームが襲う。
「ぐはぁ」
攻撃があった方向へ振り向くとそこにはアームキャリバーの姿がある。
「(ローズファリテ、ドレスヴァイスブラッディ)アームキャリバー⁉︎」
「(ドレスヴァイスブラッディ)どうして⋯⋯」
「よそ見している余裕はありませんよ」と、シルバルドがローズファリテに斬りかかる。
応戦するローズファリテ。
「ついでだ。この機体にも礎になってもらおうと思ってね」
ファイヤーグリフォンを攻撃するアームキャリバーに「やめて、アームキャリバー!」と、叫ぶしかないドレスヴァイスブラッディ。
「見せてみようか究極の姿を」
アームキャリバーが分離変形してグレートセデスネスカイザーと合体、「グレートセデスネスカイザーパーフェクトモード」と、名乗りをあげて完成する。
対峙するグレートセデスネスカイザーパーフェクトモードとファイヤーグリフォン。
圧倒的な戦力差の中、ファイヤーグリフォンはグリフォンソードを手に「行くぞッ!」と、挑み掛かる。
つづく
次回最終回




