第50話「各々の継承の形」
廃校ーー
と、大きく書かれた貼り紙が、キサヒメ学園校内の廊下の掲示板に張り出されている。
生徒たちが群がって騒然としている。
「廃校って、どうして?」「しかも3日後って」「私たちどうなっちゃうの」
***
首都国ドルス・ドルス国際評議場5F・議員会館・徳川イエミツの執務室
国際政府官房長官渡辺ノブサダの話に頭を抑えて考え込む前星帝・徳川イエミツ。
「日本国、スメラギ国の復興予算確保の名目で天界、魔界、人間界で影響力を持つ名家に資産を手放せとのことです。
すでに、伊達家、上杉家が」
「はやいな。両家ともいまだ天界に我らありと示したいようだな」
「我が織田家も。当代にかわり私が判断いたしました」
「そうか⋯⋯」「かつてないほどの権力を国際政府に集中させようとしている。マサユキはいったい何を⋯⋯」
***
回想
スメラギ国・グレモリー家屋敷のリビング
フェリス・グレモリーが窓外の庭を思いつめた表情で見つめている。
そこへ父、アール・グレモリーが車イスでゆっくりとやってくる。
「グールドが決断したことだ。いたしかたあるまい」
「お父様⋯⋯」
「キサヒメ学園を閉じろ。資産を手放せば真っ先に経営が困難となるのがあの学園だ」
「ですが、お父様!」
「堪えろフェリス。お前は星帝の妹だということを忘れるな。我がグレモリー家が率先して世界に示しをつけなくてはならないのだ」
***
キサヒメ学園・理事長室
生徒会長の天影乃アカネや氷城冷菓ら生徒たちが理事長室前に集まって騒然としている。
執務机で耳抑えて堪えているフェリス。
罵声や怒号が混じる中、"ドンドン"と、外のアカネが扉を叩きながら「理事長、説明を!」と、訴えかけている。
「ぎゃあぎゃあうるさいのよ」
***
上空を航行する飛行型海賊船ハウンドシップからラルフの「ぎょえええええッ!」という叫び声が響いてくる。
艦内の機体整備ドックで、1機の人型機動兵器の開発が進められている。
「どうして僕が設計していた機体がここに」
「君の開発データをハッキングさせてもらったからね」と、ビリー・トーマンがやってくる。
「なんせ海賊だからね。お手のもんさ」
「あなたは?」
「僕はビリー・トーマン」
「え⁉︎ ビリー・トーマンってヘイムダルの名機デオドラスを作ったあの天才科学者の?」
「ハハハハハ。今は海賊だがね。君には悪いと思っていたが元生活安全部の彼がね。今このときこの機体が必要だと言うんだ」
「元⋯⋯ロードが?」
「だけど君は天才だ。あの桐川が気に入るだけある。まあ、細かい部分は多少修正させてもらったけどね」
ビリーはラルフにタブレットを手渡す。
「すごい! 関節部のこの機構は思いつかなかった。とくにこの部品なんて」
「(フフと笑って)だけど問題はエンジンだね。この機体をポテンシャルを発揮するには高出力のエンジンが必要だ」
「それなら僕に考えがあります」と、タブレットから資料を探すラルフ。
「これです」
「これは⁉︎ ⋯⋯大学時代、僕と桐川で考案して開発できなかった構造と同じだ⋯⋯これを1人で」
「はい!」
「気に入った。君となら今度こそ実現できそうだ」
***
華僑院神社(安守の屋敷) 広間の和室
アマテラスの民たちは、家主のいなくなったこの屋敷をアジトにしている。
不本意ながらに3代目アマテラス神を継承したタリウスは、側近の天使の男2人と軍議を開いている。
アーマードギアが配備されたウラヌス騎士団との戦いに苦戦を強いられ、戦況はおもはしくない。
「世界各地の神々の民に出陣を求めていますが、どこも応じる構えは無いようでございます」
「(タリウス)北欧までもか⋯⋯」
「どうやらイエミツ公が手を回しているようです」
「おのれ!徳川」
そこへ「ご報告申し上げます」と、もう1人側近の天使が入ってくる。
「例の傭兵供が天使100人を引き連れ、敵陣に攻め入ったとのこと」
「なんだと⁉︎」
「我が神の御下知がまだだと言うのに何をしておるか!」
「申し訳ございません。決起にはやる天使たちを止めることはどうしても」
「また、あの者共がッ!」
「それで、戦況は?」
「ハッ、お味方有利に進んでいるとのこと。ですが、すでに半数近くの戦死者が出ております」
「!」と、両目を見開くタリウス。
「(タリウス)(どうして⋯⋯どうして⋯⋯」
「アマテラス様、ロード・スクリームとかいう者、このまま信用してよろしいのですか?
ゼロノイドは化け物ですぞ!」
「ミハエル様がいてくださればこのようなこと」
「おい! アマテラス様に失礼だぞ!」
「す、すみませぬ」
***
壊滅地区・ウラヌス騎士団駐屯基地
仮設で設置されていた駐屯基地の建屋はゼロノイドと天使たちによって破壊され、ウラヌス騎士団の旗が燃えている。
「俺たちの勝ちだな」と、レギルは腕を組み、破壊した基地の建屋を見つめる。
レギルの隣で瓦礫の上に座って「あばれた、あばれた」と、上機嫌のエレナ。
そこへ天使の男がやってくる。
「お前たちは好かんが、正直感謝している。我らの今の神は優しすぎてな」
「ねぇ、どうしてタリウスちゃんなの?」
「あのお方しか残っていないからだ。タリウス様は本来、神になれぬお方。姉上様のセリウス様に比べて器量は劣る。
だが、我らの大義のためには担がざるおえない」
「へー、私は暴れればなんだっていいや」
***
回想
日本国・ツカサ機関の研究施設
カプセルに入ったエレナとレギルが保管されているラボ。
そこへロード・スクリームが入ってくる。
「(エレナ)まぁ、あのグラサンには感謝しているけどね⋯⋯」
***
大天使ミハエルと護衛の一行を襲撃するレギルとエレナ。
「(エレナ)私たちに暴れさせてくれる場所を提供してくれて」
その様子を建屋の屋上からニヤリと眺めているロード。
地面に仰向けに転がるミハエルに馬乗りになったエレナは
手刀でミハエルの喉元に突き刺す。
ミハエルは、吐血しながら、天に手を伸ばしタリウスの行く末を案じながら
「セリウス様⋯⋯」と、息絶える。
ミハエルは、慕っていたセリウスに「妹を頼みます」と、別れの日に託されていたがタリウスを支えることができないまま散った。
***
スメラギ国・首相官邸・ウラヌス騎士団本拠地
ウラヌス騎士団の紋様が入った旗が掲げれ、長い赤絨毯が伸びる王室の様な間の玉座に座るグールド・グレモリー。
グールドの前にひざまずく芽衣姫。
「ゼロノイド相手に撤退を余儀なくされ、申し訳ございません」
「ウラヌス騎士団は、国際軍に置きかわり星帝直轄部隊として世界を監視する存在になる。変革には抵抗勢力が必要だ。そのためにつくった駒だ」
燃え盛るアマテラスの里と炎の中、ブラックジョーカーバーサーカーフォームの攻撃から逃げ惑う民たちの姿がフラッシュバックされる。
「世界に監視者たるウラヌス騎士団の存在を示すにはある程度の苦戦と劇的な勝利が必要だ。アレを使え」
「ハッ!」
***
ギアコマンダーに拡張アイテムのパワードコネクトをセットする、アーマードギア部隊。
エレナ、レギル、天使たちのいるところに強大なビームが着弾する。
爆音とともに瓦礫が混じった爆炎が頭上よりもはるか高く上がるほどの威力。
そこから立て続けにビームが降り注がれる。
ファイヤーアーマーフェニックスフォーム相当にまでパワーアップしたアーマードギア部隊が隊列を成して押し寄せてくる。
***
華僑院神社(安守の屋敷) 広間の和室
タリウスを挟んで天使3人が、ゼロノイドたちによる独断行動によって狂った戦略を立て直す議論をしていたが、次第に怒鳴りあいの口論となっている。
いたたまれない状況の中、タリウスは口を開く。
「もう、よさぬか⋯⋯」
驚く3人の天使。
「何をおっしゃいますか、アマテラス様!」
そのころ転移の魔法陣を通ってエレナとレギル、生き残った天使たちが戻ってきた。
「アマテラス様、お考え直しを」と、タリウスを諌めようと必死になる天使たちの声が
襖の向こうから聞こえてきている。
「我らが戦わなければ、禁忌を侵し続ける人間どもに神罰を与えることができません!」
「これ以上、先代の神々からお預かりした命(天使)が散っていくのは見たくない」
「そのための命なら惜しくありません」
「そうです! 戦わなければアマテラスの里は取り戻せません!」
「神罰を!」と、迫る天使3人。
そこへ、襖を"バンッ!"と、開けてエレナが入ってくる。
「タリウスちゃん! 甘いんだよ。戦うと決めたら最後までやらないとさぁ」
「どうして⋯⋯」
「まだ、神様じゃないっていうのか?」
「はい、私は神様見習い、神様じゃありません」
***
回想
幼いタリウスを叱咤するタリウスの母=ハバキリ。
「タリウス! 姉上の手を煩わせるでない。いいか、セリウスは、やがてアマテラス様を継ぐ存在なのだ。お前のようなものがそばにおってはならぬのだ。
お前は、神の器ではない、私はお前に期待はしていないのだから」
臆病で、いつも姉、セリウスの側から離れらなかったタリウス。
母、ハバキリは、優秀な長女に比べて劣るタリウスを疎ましく思っていた。
***
アマテラスの里が燃え盛る炎に包まれた日、ハバキリは神殿で、燃え盛る炎の中、煙に巻かれて亡くなった。
***
「だから、私は神から預かった天使たちをこれ以上失いたくない。エレナさんも、もうこれ以上は⋯⋯」
「たく、私はまだ殺したりないんだよ! タリウスちゃんさぁ。ちゃんと神様やらないと殺されちゃうよ」
***
回想
壊滅地区・ウラヌス騎士団駐屯基地
エレナとレギルに語る天使の男。
「このままタリウス様が何もせなぬままならば、神殺しとなろうともこの手にかけ、やつらとの戦の大義とするのもありかもしれん」
***
エレナの殺気立った目に気おされるタリウス。
***
飛行型海賊船ハウンドシップの船内
「というわけです」と、地球の記憶=加賀ミヲは、キャプテン・バロック(冠庭トオル)が見守る中、
火条ツカサ、火条アルテ、直江尊、黒雛かなみ、月代サヨにここに至るまでの経緯を話していた。
そこへ「姐さん!」と、サスケが入ってくる。
「サ、サスケくん⋯⋯」
「高校生たちも聞いてくれ! キサヒメ学園の廃校が決まった」
「(一同)えッ⁉︎」
「しかも3日後だ」
「(アルテ)私たちは⋯⋯生徒たちはどうなってしまうのでしょうか?」
「(ツカサ)戻ろう」
「(尊)ツカサ⋯⋯」
「キサヒメ学園の生徒たちの日常を守るのが俺たち生活安全部の役目だ! 俺たちがいなきゃ誰があいつらを守るんだ」
「(キャプテン・バロック)ここは日本国上空だ。戻ればスメラギ国領空に張り巡らされた索敵レーダーにすぐにひっかかってただじゃすまないぞ」
「いや、それでも俺たちはいく! それがヒーローだ」
「やはりあなたたちはそう決断してしまうのですね。いいでしょう。本来はこの先の未来は教えてはならないのですが、黒崎京馬刑事へ恩を返すと
考えて話すことにします」
「(サヨ)ありがとう記憶ちゃん」
「スメラギ国領空に入れば、たくさんの人型機動兵器に包囲されます。それも空を黒く染めるほどの数です。それでも行きますか?」
「もちろんだ!」
「その答えも予測通りです。わかりましたご武運を」
「俺たちも戦う準備しろ」と、サスケに指示して管制室に向かうキャプテン・バロック。
サヨも意を決して、2人について行く。
「(尊)ラルフの新しい機体が切り札だな」
「(ミヲ)はい」
***
同・機体整備ドック
「ビリー博士、このパーツもう8mmくらい薄くしませんか?」
「なるほど。わかった。だとすればこっちの排気バルブの大きさを変えてみようか」
「はい」
***
3日後・飛行型海賊船ハウンドシップの管制室
「これより、スメラギ国領空に入る」と、キャプテン・バロックが指揮を執り、シェル・ルミナー、グランズ・ハルバン、サスケがオペレーターの任に当たっている。
さっそく警報音が鳴る。
「(シェル)レーダーに反応ありです。完全に待ち伏せです」
レーダーに敵機を表すマークが画面を塗りつぶすほど表示されてくる。
加賀ミヲの予測通り空を黒く染めるほどの数でやってくる、黒いボディカラーの人型機動兵器=AGX–Ⅰアサルト、AGX-Ⅱアサルト、AGX-Ⅲアサルトの群れと後方には飛行型駆逐艦5隻がやってきている。
ウラヌス騎士団の対人型機動兵器のAGX大隊だ。
***
射出カタパルトでスタンバイしているグレートファイヤーグリフォンパーフェクトモードとスーパーローズライナー。
「(シェル)ハッチ開きます! いつでも行っちゃって下さい」
「グレートファイヤーグリフォンパーフェクトモード、行くぜ!」
「スーパーローズライナー、行きます!」
ハウンドシップから射出されて、飛翔する2機。
「道をあけろ!」と、グレートファイヤーグリフォンパーフェクトモードは、さっそくグレートグラビティキャノンから
特大のエネルギービームを放つ。
回避しようとするAGXの塊。
数での力攻めが仇となり、味方同士で接触して海に墜落して行く機体が出ている。
敵機の陣形が乱れて混乱している隙をついて、グリフォンカリバーを展開して刀身を天高く伸ばして、
薙ぎ払うようにAGXたちを破壊していく。
そこへできた空間をすり抜けて行くようにグレートファイヤーグリフォンパーフェクトモードとスーパーローズライナーは飛び去って行く。
2機の後を追うAGXたちにビームによる攻撃が飛んでくる。
AGX–Ⅱダークソルシエール、海賊意匠を取り入れた姿に変わったゼノデオ・ハウンド仕様の3機(シェル、グランズ、サスケが操縦)、ZX-Oキャプテンロイバーが
ハウンドシップから飛び出して、AGX–Ⅱアサルトの大隊を相手に戦う。
「何をしている、落とせ!」と、桐川トウカの声と共にAGX–Ⅳペルフェクシオンの改良型後継機、AGXラストナンバーが現れる。
「いっせいに叩きつぶせ!」
AGX部隊、飛行型駆逐艦からミサイルなどによるいっせい攻撃がハウンドの機体に浴びせられる。
それをAGX–Ⅱダークソルシエールが防御魔法の魔法陣を展開して、辛くも防ぎきる。
「(サヨ)クッ!」
「(桐川)邪道が」
AGX大隊の攻撃が止んだ隙をついて、反撃に出るハウンド機たち。
軍人時代の操縦の腕を駆使したトリッキーな動作と攻撃でAGXたちを翻弄して同士討ちや味方同士の接触による墜落を誘発して確実に撃破していく。
AGXラストナンバーが、ドローンビットを射出して、上下左右にハウンド機を囲む、放たれたレーザービームがネットのよう囲い込んで4機は被弾。
片方の脚部と腕を失ったシェル機が戦闘不能になり撤退を余儀なくされる。
陣形が乱れはじめたハウンド機たち。
飛行駆逐艦が第2射、発射態勢に入る。
サヨの魔力も限界に近づいている。
そこへ一筋のビームが伸びてきて飛行駆逐艦を貫く。
爆散する飛行駆逐艦。
全員が振り向くと、見慣れない機体が飛んできている。
「(桐川)やっと来たか、ラルフ!」
その機体は、ラルフが作った機体=TX-Eセイバー・スナイパー。
上半身が赤、腰部が黄、脚部が青となったボディカラーとなっている。
射撃特化型の機体で右手には長距離ビームライフル、左手には中距離バスターライフルを装備し、バックパックの両脇と腰部の4門のレールガンバスターを展開、装備している。
合計6門からの一斉射撃でハウンド機を取り囲んでいたAGXたちを一掃する。
上半身の装甲に隠されているミサイルポットを展開して一斉射出で次々にAGXたちを撃破していくTX-Eセイバー・スナイパーの前に、AGXラストナンバーを中心に
ノーマル仕様のAGX–Ⅰ、AGX-Ⅱ、AGX-Ⅲ、AGX-Ⅳペルフェクシオンが立ちはだかる。
どれもラルフが搭乗してきた機体。しかもAGX–ⅢとAGX–Ⅳペルフェクシオンは、キサヒメ学園の地下秘密基地から押収されたラルフの機体。
「(桐川)さあ、ラルフ! お前の機体を見せてみろ!」
「自分を乗り越えて来いということか。桐川博士!」
TX-Eセイバー・スナイパーは4つの部位に分離をして、4機のジェット機セイバー・ガンマ(赤)、セイバー・デルタ(黄)、セイバー・シグマ(青)、メインコックピットのあるセイバーコアに変形する。
セイバーコアを挟むように上半身が黄、腰部が青、脚部が赤の順に合体。TX-Eセイバー・パワードとなる。
重機をモチーフとした大型の腕で、左右からはさみ打ちしてきたAGX–ⅠとAGX–Ⅲの頭部を鷲掴みにして粉砕する。
今度は上半身が青、腰部が赤、脚部が黄の順に合体。TX-Eセイバー・ソードとなる。
2本の大剣を武器にAGX–Ⅱと戦う。
「また特化型か、ラルフ! 確かに戦況に応じて有利に戦える。だが、つく弱点もより目立つ!」
AGX–Ⅱを上下に真っ二つにしたTX-Eセイバー・ソード。
「わかってますよ。だからッ!」と、TX-Eセイバー・ソードの全身の装甲が展開して碧いクリスタルのパーツが露出。背中にドローンビットを装備した翼が開く。
「TX-Eセイバー・オール!」
桐川が操縦するAGXラストナンバーを守るように、AGX–ⅣペルフェクシオンがTX-Eセイバー・オールの前に立ちはだかる。
全身のクリスタルパーツを青く光らせるTX-Eセイバー・オール。
「このエネルギーの放出量⋯⋯まさかッ!」
「そうだよ」と、無線でビリーの声が聞こえてくる。
「かつて僕たちが提唱したネオジェネレーターコアエンジン。あの子が完成させたんだ」
TX-Eセイバー・オールのライフル、レールガンバスター、ドローンビット装備されいる全ての武器からビームを放ってAGX–Ⅳペルフェクシオンはおろか飛行駆逐艦までも一斉に破壊。
「桐川博士、遊びはそこまでにして数で押し切って下さい。そのための大隊なのですから」と、芽衣姫から無線で指示が飛んでくる。
「(桐川)無粋な」
AGX–ⅡアサルトがTX-Eセイバー・オールを取り囲むようにして攻撃してくる。
バスターライフルのビームが被弾してTX-Eセイバー・オールの脚部に被弾、吹き飛んでしまう。
好機と、捉えたパイロットたちは、ビームソードを取り出して一斉に襲いかかる。
そこへ新たなセイバー・デルタが飛んできて合体。
戦闘可能になったTX-Eセイバー・オールは返り討ちにしてAGX–Ⅱアサルトを撃破。
ハウンドシップから何機ものセイバー・ガンマ、セイバー・デルタ、、セイバー・シグマが射出される。
TX-Eセイバー・オールは、大破するほどのダメージを受けても合体を繰り返し、敵機の撃破、再生をしていく。
「何度でもよみがえる機体か。おもしろいぞラルフ! 」
ラルフとの戦闘を楽しむように操縦する桐川。
「そのしぶとさ気に入った! だがその機体はコアとなる部位を破壊されれば終わりだ」と、ドローンビットを合体させた、アルティメットソードを手に
TX-Eセイバー・オールに挑む、AGXラストナンバー。
目の前でAGX–Ⅱアサルトの集中攻撃によってTX-Eセイバー・オールが爆散する。
あたりを黒い煙が包む。
「コックピットを破壊すれば終わり⋯⋯そんなのどの機体も同じだ。だけど、僕の機体のコックピットは悪あがきする!」
黒い煙の中からセイバーコアが飛び出してきて、人型に変形する。
「アビリティマシンか⁉︎」
「違う!これが僕が作った人型機動兵器だッ!」
セイバーコアは、キック技で、AGXラストナンバーの腹部を貫く。
爆散するAGXラストナンバーを背に、セイバーコアは再び合体してTX-Eセイバー・オールになる。
右手の拳を開くと桐川がいる。
「見事だ。ラルフ」
憧れの桐川に認められて、コックピットの中で「ヨッシャー!」と、喜ぶラルフ。
そこへ、メッセージが送られてきて表示される。
それはノブサダから、グールドの政策によって財産を手放したことが書かれている。
沈む夕日に「ぎょえええええッ!」と、叫び声が響く。
***
夜、燃え上がる華僑院神社を背に敗走を余儀なくされたタリウスたち。
「アマテラス様、これからどちらに向かいましょうか?」
「キサヒメ学園⋯⋯キサヒメ学園だ!」
エレナは、キサヒメ学園に行けばツカサに接触できる、ツカサを倒して取り込むことでパワーアップして再起をかけようと考えた。
タリウスはキサヒメ学園の名を聞いて、姉との最期の会話がフラッシュバックされる。
「(タリウス)参ろうか⋯⋯」
***
次の日
キサヒメ学園
正門に廃校と書かれた看板が設置されている。
昇降口に立って誰も来ない正門を見つめるフェリス。
そろそろ中へと戻ろうとした時、堂々と正門をくぐってくる人影が現れる。
やって来たのはツカサ、アルテ、尊、かなみの4人。
「何しに来たの?」
「見ればわかるだろ。登校だ」
「キサヒメ学園は廃校したのよ。さっさと帰りなさい」
「終わってねーよ」
「は?」
「俺たち生徒がいる限り、学園は終わらねーよ」
すると、続々と生徒たちが登校してくる。
正門前はいつもと変わらぬ日常の登校風景になっていく。
「あなたたち⋯⋯」
***
首相官邸・ウラヌス騎士団本拠地
「最近、妹君が姿を見せません」と、グールドに報告する芽衣姫。
「分かっている。予測通りだ」
***
昇降口前に集まる生徒たち。
「みんな、俺たちが学園を守るぞー!」掛け声で生徒たちは「オーッ!」と、拳をあげる。
フェリスと生徒たちは、キサヒメ学園を守ろうとする気持ちを1つにする。
つづく




