第44話「ヒーローたちの結末」
首都国ドルス・ドルス国際評議場1F
ドルス署入口前の広いエントランスは各省庁の職員たちが行き交いごった返している。
「グールド・グレモリー長官が国際警察機構を国際警察省にする案を閣議に出したらしい」
「ついにか。だけど、国際軍に統廃合する案も根強い。本当に実現できるのか?」
と、階級章をつけた制服に身を包んだ警察幹部官僚が深刻な表情で話をしながら歩いている。
「おい、キョーマ!、柊! 」と、ドルス省捜査一課の刑事課長の堂島剛造が辺りをキョロキョロしながら
行き交う職員の中から2人を探している。
「たく、どこへ行きやがった」
***
日本国・東京都・ツカサ機関地下施設
瓦礫が散乱する通路を歩いていくドルス署捜査一課の黒崎京馬 (キョーマ)、柊紫月。
不規則な感覚で点滅するとはいえ、通路の蛍光灯が付いている状況に疑問を抱くキョーマ。
「まだインフラが生きている。捨てられて間も無いようだな」
「じゃあ、この破損状態は大規模テロ災害によっててことでしょうか? だとすれば2週間程ってとこですね」
しばらく進んで灯りが漏れている扉を発見した2人。
わずかに開いた扉の覗き込むと、白衣を着た1人の男性がパソコンを食い入るようにしていじっている。
見覚えのある顔にキョーマは「あなたはッ⁉︎」と、大きな声を出してしまう。
「誰だ⁉︎」
「アイン博士、お久しぶりです。一度だけ一緒にクトゥルーの対応にあたった国際警察機構の黒崎です」
「ああ、確かに見知った顔だ。そうだラドルフ大佐にケンカ売っていたあの機動隊員だ」
「この部屋は⋯⋯」と、周囲を見回す紫月。
あちこち破損はしているが指令室のようで、正面に巨大モニターが設置され、オペレーターと司令官のと思われる席がありとても広い部屋となっている。
「どうしてこんなところに来た?」
「アイン博士こそ」
「私は、3週間前に国際軍からの出向でここに派遣されて来た。お前たちはなんだ?」
「捜査です」と、3枚の男の写真をアイン博士の目の前に突き出す紫月。
一枚目はサングラスをかけ、顎髭をたくわえた30代後半の男性、2枚目は白髪の50代前半の男性、3枚目はメガネをかけた20代の青年の写真。
「この方たちをご存知ないですか?」
「ああ、司令官の南川雲水に、科学者の菊糸公和とその助手、又白麟太郎だな」
「ご存知なんですね」
「こいつらがどうした?」
「(キョーマ)ドルスで遺体で発見されました。3人はいずれも拳銃のようなもので殺害されていました」
血のついた銃弾が入った透明なビニール袋を取り出す紫月。
「今回の事件に使われた銃弾です。捜査本部が解散になって、鑑識で鑑定されないままになっていたんです。見ていただけますか?」
ビニール袋に入ったまま、蛍光灯の光に翳して銃弾を眺めるアイン博士。
「君たち警察は内部で何をやっているんだ?」
「は?」
「これはサクラだ」
「サクラ⁉︎」
「警察機構の拳銃が使われているってことですか⁉︎」
「ああ」
***
スメラギ国・キサヒメ学園近くの総合病院
アルティメット・ツカサの破壊行為によって負傷した人々に運び込まれ、病室に入りきらず、廊下やエントラスで救命処置を受けている。
病室の個室には、意識不明のままベッドの上で酸素マスクと心電図を取り付けらた状態で眠る橘ミナト。
そして、ミナトの手を握って寄り添う黒雛かなみと、その隣に立つ火条アルテ。
「ミナト君⋯⋯」
「かなみさん⋯⋯そろそろ2人に何があったか教えていただけませんか?」
顔を上げるかなみ。
「僕たちヒーロー部は君の力が必要だ」と、ミナトが手を差し伸べる光景を思い起こす。
ミナトの後ろには5人の若い男女が立っている。
「僕とヒーローになろう」と笑顔を溢すミナト。
***
日本国・東京都・ツカサ機関地下施設
「(キョーマ)ここで何が行われていたんですか?ツカサ機関とはいったい」
「(紫月)ツカサという名称に胸騒ぎを覚えます」
「私にもよくわからん。だからこうして残って調べている。ここで何が起きたか知りたければここにある記録映像を見ればいい」と、
アイン博士は、デスクトップのアイコンをクリックすると
巨大モニターに映像が映し出される。
***
回想
採掘場を走る1台のトラック。
幌付きの荷台には、小型サポートAIロボット"ブレイン"を抱きしめたかなみとミナト、そして5人の男女が載っている。
かなみ以外のメンバーはヘッドギアと全身にプロテクターを装着している。
「ヒーロー部諸君、全員対ゼロノイド装備は装着したか?」と、司令官の南川から無線が入る。
「OK。万全だ」と応答する赤いプロテクターを装着した炎崎グレンは年長でチームのリーダー。
黒いプロテクターを装着した青年霧宮タツミは、入念に拳銃型の武器を確認している。
口数は少ない。
「これからゼロノイドモンスターの巣に入る。蜂型だから女王を倒すまでは帰れない。心していこう」
「おっしゃー、腕がなるぜ」と、軽くストレッチをする緑のプロテクターを装着した林堂リクト。
「あまりはしゃぐんじゃないよ」と、青のプロテクターを装着した女性、涼夏リンが諌める。
「リクくんまた、リンちゃんに怒られた」と、ピンクのプロテクターを装着した重音いろは。
「相変わらず緊張感のない人たちですね」と、笑う銀のプロテクターを装着したミナト。
「今回は、私も一緒に戦いたい⋯⋯」と、溢すかなみ。
「(ミナト)かなみちゃん?」
「(グレン)どうしたんだかなみ?」
「みんなの戦いをただ見ているだけなのはつらい 。だから私も変身して一緒に戦いたい」
「(リクト)かなみはいつも僕たちに戦う力を与えてくれているじゃないか」
「(いろは)そうだよかなみちゃんは、いろはたちと一緒に戦ってくれていますよ」
頷くタツミ。
かなみは、ギアコマンダーを取り出す。
「(リン)かなみ、それって⋯⋯」
「(グレン)かなみにってスメラギ国から送られてきたやつだな」
「(リクト)たしかそれを作った人は死んじゃったんだよね」
***
回想
日本国・太平洋側の港
海賊ハウンドの船から巨大なコンテナが降ろされる。
司令官の南川にギアコマンダーを手渡すキャプテン・バロック。
***
「これと一緒に手紙が添えられていたの。スメラギ国にも部活でヒーローをしている高校生たちがいるって、いつかは私たちと引き合わせたい。
海を隔てて戦うもう1人のスメラギ国のヒーローに力を託したいって書いてあった。ウルヴァって人から」
「(リン)何者なんだろうね。その人」
「(いろは)私たちの他にもヒーローがいるのかぁ。はやく会ってみたいね。女の子いるのかな」
「(グレン)俺は正直、今の戦闘スタイルを変えたくない。だけどもし、俺たちがゼロノイドモンスターにやられて戦えなくなったとき、はじめてその力を使ってくれ」
「(リクト)それじゃあ使えるとき来ないじゃん。俺たち強いし」
「(リン)リクト、あんたは!」
「(いろは)また怒られたぁ」
笑い合うヒーロー部の一同。
***
採掘場にある巣に到着したヒーロー部の一同。
そこにはうじゃうじゃと蜂型ゼロノイドモンスターたちがうごめいている。
見まわすとショベルカーといった重機が無人で転がり、長靴や人の衣服が落ちている。
「(リン)ここで働いていた人たちはみんなこいつらの餌になったようね」
「(グレン)みんな行くぞ! かなみ、俺たちに力を!」
かなみが祈りのポーズをするとグレンたちはオーラに包まれ、ヘッドギアがフルフェイスのマスクに変化し、プロテクターも強化する。
彼らは共通の武器を使う。各々戦闘スタイルに合わせ武器の形状変化させて使っている。
グレンは剣型モードで刀身に炎を纏わせて蜂型ゼロノイドモンスターたちを切り裂く。
「こんなに繁殖させやがって!」
タツミは2丁の拳銃型モードで戦う。彼の射撃能力は高い。
「くらえッ! ドラゴンスピアー」と、槍モードを武器にして戦うリクトは、槍の先端からエネルギーで生成したドラゴンを出現させて、ゼロノイドモンスターを飲み込みながら
ガンガンと敵陣の中央へと進んで行く。
「ブリザードアロー」と、リンが弓形モードの武器から放つ矢は、刺さると氷が発生して、ゼロノイドモンスターたちを氷漬けにする。
「来ないで!」と、いろはは、武器をムチ型の剣にして、取り囲んでくる蜂型ゼロノイドモンスターをなぎ払う。
かなみは思い起こしながらアルテに語る。
「ヒーロー部が戦う理由はツカサ機関の所長、結城博士が開発した100体のゼロノイドモンスターを進化させるための殺戮実験として、東京都内に解放したことだった。
結城博士の恐ろしい実験に反抗した南川博士たちは、放たれたゼロノイドモンスターを殲滅させるために対ゼロノイド装備に適合者する青年たちを集めてヒーロー部を作ったの。
ほどなくして、結城博士は首を吊った状態で見つかり、はじめは順調だったヒーロー部も人を捕食して進化するゼロノイドモンスターの強さに苦戦を強いられることが多くなった。
殉職者も出て、人数も結成当初の3分の1になったころ、ミナト君が加入して、パワーアップのために求められて革新の力をつかさどる私が加入した」
蜂型ゼロノイドモンスターが、羽を羽ばたかせ、ヒーロー部たちに猛威を振るう。
「(グレン)クッ! なんて強さだ」
「(リクト)ここに来るまでに体力をだいぶ削られた」
「(リン)あんたの場合は飛ばしすぎ!」
「(グレン)無駄口を叩いている余裕はないぞ!」
女王の針攻撃がヒーロー部を襲う。
「みんなッ!」と、涙目で叫ぶかなみ。
「戦わなきゃ、戦わなきゃ」と、かなみの手が震える。
「戦わなきゃ。みんなが戦えなくなってからじゃ遅い!」
ギアコマンダーを翳すかなみ。
「誰ひとり欠けさせない⋯⋯変身!!」
かなみはドレスをモチーフとした白きアーマードギアへと姿が変わる。
全身に入った青いラインをアクセントに両腕はブレード状になっていて、腰元にはドレスのスカートをイメージした装甲が付いている。
潔き純白のドレスを意味したドレスヴァイスとなる。
「(グレン)あれがかなみに託された力⋯⋯」
ドレスヴァイスは、ドレステーラーを展開して女王に挑む。
フィギュアスケートのように舞いながら女王を翻弄させていく。
「俺たちまだ戦えるのに⋯⋯はやいよ、かなみちゃん⋯⋯」と、起き上がれないリクトは、ドレスヴァイスの戦いを見守る。
ドレステーラーが羽、手脚を切り落とし女王を地に堕とす。
「(グレン)す、すごい⋯⋯」
「(タツミ)たった一人であれを⋯⋯」
ツカサ機関地下施設の司令室から見ている南川、菊糸、又白の3人もアーマードギアの性能に驚く。
「(南川)はじまりの男がつくったアイテムがこれほどのものとは⋯⋯」
グレンたち6人も力を振り絞って立ち上がる。
「(グレン)かなみ、俺たちと一緒に戦うぞ」
「はい!」
7人は女王を囲んで各々の武器で必殺技を繰り出す。
「(グレン)トドメだッ!」
一同は「うぉおおお!」と、唸り声をあげながら女王にエネルギーを打ち込む。
そしてヒーロー部が女王に背を向けて決めポーズをとると、女王はうめき声を上ながら爆散して消滅する。
「私たちがヒーローの真実を知るのはこのあとのことだった⋯⋯」
***
数ヶ月後・ハイオネスク地域の動乱がおさまった直後の日本国
ツカサ機関地下施設を訪れたアイン博士を南川、菊糸、又白の3人が出迎える。
「国際軍から派遣されてきたアインです」
「お待ちしておりましたアイン博士」と、菊糸がアイン博士の手を握って挨拶をする。
「どうぞこちらです」と、アイン博士が菊糸と又白に案内されて連れてこられた場所はハンガーデッキ。
そこにはアームキャリバーが格納されている。
「これは⋯⋯」
「こちらは、スメラギ国から送られてきた人型機動兵器でして"アビリティマシン"というらしいです。
この機体のプログラムがロックされていてこちらに来て一度も起動したことがないんです。
機体を開発した人物はすでに亡くなっていて、アイン博士にはぜひ、この機体を起動させるお手伝いをして頂きたいです」
助手の又白が機材を運んで来る。
「どうぞこちらをお使い下さい」
アイン博士は、用意された機材でさっそく解析をはじめる。
「こいつは、何か特定のエネルギー周波を検出したとき、解除されるプログラムになっているな」
***
ヒーロー部は最後の一体となるミノタウロス型のゼロノイドモンスターと戦っている。
「(ミナト)グレンさん、今です。トドメを!」
「任せろ!」
グレンは、大きくジャンプして炎纏った剣をミノタウロスの頭上に振り下ろす。
ミノタウロスは真っ二つに割れ、グレンが背を向けて決めポーズをとると同時に爆発する。
歓声をあげるヒーロー部のメンバーたち。
「これで100体目、ついにやった、ついにやったぞ」と、メンバーたちをハグして喜びを爆発させるグレン。
南川からも無線が入る。
「みんなよくやった。よくぞここまでやってくれた感謝する」
「ありがとうございます。南川司令」
「感激した。では実験の第2段階に入る」
「え?」
「又白」と、南川は、隣の又白に指示をする。
パソコンを操作して「対ゼロノイド装備、セーフティ解除。ゼロノイドモード起動」と、又白がエンターキーを押すと
ミナト以外の対ゼロノイド装備を装着したメンバーが頭を押さえ苦しみだす。
「(かなみ)みんなどうしたの⁉︎」
「これからが実験の本番なんだ。我々、ツカサ機関の目的は最強のゼロノイドを作り出すこと。そのために導き出された実験というのは、ゼロノイド細胞から作られた
パワードスーツを着た人間が100体のゼロノイドモンスターと戦い生き残ること。お次に生き残った人間同士を戦わせ、最後に生き残った者が最強のゼロノイドとなる計算だ。
セーフティモードが解除された今の君たちの体にはゼロノイド細胞が流れ込んで本能があらわになるはずだ。さぁ戦うんだ、ヒーローたち」
「(グレン)目障りなんだよ」と、グレンが剣でいろはやミナトに斬りかかる。
「俺一人が活躍すれば充分なのにチラチラと」
「お前、いろはちゃんに何を!」と、リクトは、槍をグレン腹部に突き刺す。
「ぐはぁ」と、吐血するグレン。
リクトの側面から襲いかかるリン。
「あんた、グレンに何すんだよ!」
リクトの左腕が地面に転がる。
「ぎゃぁあああ!」
「私は目立ちたがるあんたが大っ嫌いだったんだよ。このちょうどいい実験で殺してやるよ」
「このババァ」
「私はお前より年下だよ。いいこと教えてやるよ。お前の大好きないろはね、グレンとも寝るアバズれだよ」
「⁉︎」と、なるいろは。
「なんだグレンに振り向いてもらえない妬みか。ババァ」
「みんなやめて」
「いろは。私はお前のその妹系アピールが目障りなんだよ! 裏でタバコも吸ってるくせによ」
「チッ、黙ってればこれかよ。グレンのストーカー女のクセによ。グレンウザがってたよあんたのこと」
「いろはちゃん、どうしちゃったの?」
「さっさと殺し合いなさいよ。じゃないと私がやらなくちゃいけなくてめんどくさいじゃないかよ!」
いろはは、ムチ型の剣を展開して2人に襲いかかる。
その時、いろはの頭部が銃声とともに吹き飛ぶ。
いろはのうしろで拳銃型の武器を構えてケタケタと笑うタツミ。
「みんな、ぶっ殺してやるよ。へへへへッ」
「(かなみ)みんなやめて」
「(ミナト)やめて下さい!」
「(タツミ)コロス、コロス、コロス、ハハハハァ」と、リンとリクトに向かって乱射するタツミ。
「(かなみ)や、やめて⋯⋯」
かなみは涙を零しながら唇を噛み締めて、ギアコマンダーを取り出す。
「変身」
ドレスヴァイスに変身したかなみは「もうやめて」と、3人の間に割って入る。
「何よ、やるのあんた?」
3人は一斉にドレスヴァイスに攻撃をする。
素早い動きでかわしたドレスヴァイスは、リンの背後に回り、そのままリンの首をドレステーラーで切り落とす。
返り血を浴びるドレスヴァイス。
「この女!」、襲いかかるリクト。
リクトが「!」と、気づいたときは上半身が下半身から切り離され地面に転がる。
「よくも俺のリクトを!」と、乱射するタツミ。
だが、ドレスヴァイスは銃弾をもろともしない。
司令室からモニターで見ている南川たちが頭を抱える。
「やめろぉ。装着者じゃない君が倒してしまったら実験は失敗だ」
ドレスヴァイスの体は返り血が広がり次第に黒くなっていく。青いアクセントのラインも赤くなってゆく。
タツミを4本のドレステーラーでバラバラにしたドレスヴァイスの全身は革新の力で完全に黒くなり
ドレスヴァイスブラッディへと変貌を遂げる。
「かなみちゃん⋯⋯」と、ミナトがドレスヴァイスの変わり果てた姿を見つめていると
突然、ドレスヴァイスブラッディのうしろにグレンが現れる。
グレンの剣がドレスヴァイスブラッディに襲いかかる。
「かなみちゃん、危ない!」と、髪を白く、瞳を赤く変化したミナトは剣をグレンの胸部に突き刺す。
「私はこのとき彼らを醜いモンスターではなく、ヒーローとして死なせてあげたかった⋯⋯」と、追走するかなみ。
「かなみちゃん、ごめん。僕はこの実験のことを知っていた。それに超越者だ、ゼロノイド細胞の影響も受けにくい。
南川博士は、反対する父を裏切りプロジェクトゼロノイドを実行した」
司令室で焦燥する南川。
「あの青年、結城博士の息子だったのか」
「どこだ火条ツカサ! お前の野望は終えた、これでお前は究極のゼロノイドになれないッ!」
「おめでとう、おめでとう」と、小型サポートAIロボット"ブレイン"がテクテクとやってくる。
「(ドレスヴァイスブラッディ)ブレイン⋯⋯」
「ミナト、おめでとう。ミナト、おめでとう」
「何が、おめでとうなんだブレイン!」
そのときブレインの目からビームが放たれ、ミナトの胸部を貫く。
「君は生き残った。この実験に」
ミナトは頭を押さえ苦しみだす。
「ハハハ、ついにやったぞ。最強の体を手に入れた。しかも超越者とは好都合。これであとはクローンを取り込めば完成する」
***
アイン博士が、パソコンをいじってプログラムと格闘していると、突然ロックが解除されアームキャリバーの両目に灯りがともる。
「なんだ⁉︎ 特定エネルギーを検出したのか⁉︎」
「オリジナル火条ツカサの生体エネルギーを確認しました。これより救世の巫女黒雛かなみを救助します。
バックパックのエンジンブースターが起動する。
「(アイン博士)おい、待てッ!」
アームキャリバーはバスターライフルでハンガーデッキの天井を破壊して飛び立つ。
***
わずかに自我が残るミナトはドレスヴァイスブラッディにメッセージを託す。
「かなみちゃん、スメラギ国に行くんだ。火条ツカサが完全体になるのを阻止しないといけない。そのためには、スメラギ国にいる火条ツカサのクローンを殺す必要がある。
行くんだかなみちゃん!」
「み、ミナト君」
「(南川)どうなっているんだ。火条博士が生きていた⋯⋯いったい」
拳を握る南川。
「おのれ、間宮ヒト⋯⋯」と、モニターを睨みつける南川。
「もう出てくるんじゃねぇ! これでもうこの男は死んだ。おれの自由だ。よし手始めにかなみ、お前から殺してみるよ。厄介なもん装備しているからな」
「いや⋯⋯やめて⋯⋯」
ミナトに向かってレーザービームが数発打ち込まれる。
「なんだ⁉︎ なんだこれは」
ミナトが上空を見上げるとアームキャリバーが舞い降りてくる。
「黒雛かなみ、私が連れて行きます」
アームキャリバーはドレスヴァイスブラッディを掴んでそのまま飛び立つ。
「待って、ミナト君、ミナト君、ミナト君!」
***
スメラギ国・キサヒメ学園近くの総合病院
「この直後、ミナト君の体を手に入れた火条ツカサは、はしゃぐようにして私たちの基地や、東京を破壊したんです」
「それが東京で起きた大規模テロ災害⋯⋯」
***
日本国・東京都・ツカサ機関地下施設
記録映像を見終わった3人。
「わかっているのは、ツカサ機関は悪魔と称された天才科学者火条ツカサを崇拝する組織だということ、
プロジェクトゼロノイドというゼロノイドの研究がここで行われていたということだけだ。何か事件の手がかりになることはあったか?
南川たちは、この施設が破壊された直後に行方をくらませた。あとのことは知らない」
「(紫月)そうですか⋯⋯」
「あッ! そうだ。火条ツカサが体を手に入れた日。見知った顔がもう1人ここを訪れていたな」
「(キョーマ)え⁉︎ どんなやつでしたか?」
***
スメラギ国・都心部
高層ビルの屋上から都心部を眺める火条ツカサ完全体。
「さぁ、パーティーを始めよう。世界の破滅の」
つづく




