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ミニヨンウォーズ 教室の皇女と高校生ヒーローの3人  作者: ドットオー
第4章廃校(ラグナロク)編
43/52

第43話「ゼロノイドの世界」

スメラギ国の都心部

倒壊したビル群が瓦礫の山と化している。

あたりには黒煙が立ち込め、遠くには緊急車両のサイレンの音が鳴り響き、瓦礫の下敷きになった人たちが手をのばして悲鳴をあげている。

空中に浮いているアルティメット・ツカサが高笑いをあげている。

手からエネルギー弾を次々に放って、隕石のように落下してきたエネルギー弾が下敷きになった人たちをのみ込む。

ブラッドレール=フェリス・グレモリーが上空のアルティメット・ツカサに向かってレールガンを放つ。

だが、強靭な身体のアルティメット・ツカサは強力なレールガンをもろともしない。

それどころか、レールガンを手で軽く払い、余裕の笑みを見せる。

ホワイトナイト=泊馬騎士が瓦礫を伝ってジャンプして、アルティメット・ツカサに斬りかかる。

かわしたアルティメット・ツカサは、手刀でホワイトナイトの剣をへし折ると、重たい拳をホワイトナイトの腹部にめり込ませる。

アーマードギアの強固な装甲が砕け、ホワイトナイトは「ぐはぁ!」と、吐き出す。

そのまま地上へと落下するホワイトナイト。

そこへ飛行形態のAGX-Ⅱダークソルシエールを先頭にスメラギ国軍に配備された量産型AGX-Ⅱの編隊がやってくる。

次々に人型形態に変形するAGX-Ⅱ。

バスターライフルの銃口を一斉にアルティメット・ツカサに向ける。

コックピットの月代サヨはモニターに映るアルティメット・ツカサに照準を合わせている。

「人間にこんな強力な武器を使うなんて」

「人間ではありませんわ。月代先生。覚悟を決めて」と、フェリスから無線が入る。

一斉射撃をはじめるAGX-Ⅱ部隊。

だが、反撃に飛んできたエネルギー弾に腹部を貫かれた量産型AGX-Ⅱは、爆発をともなって大破する。

AGX-Ⅱダークソルシエールも、被弾して墜落する。

地上に激しく叩きつけられ、コックピットのサヨは悲鳴をあげる。

コックピットのモニターには複数のエラーが表示され戦闘不能となる。


***

キサヒメ学園・地下秘密基地

所持しているアーマードギアが壊れ、出撃できない火条ツカサ、火条アルテ、直江尊、織田ラルフら生活安全部一同は

アーマードギアの修理に追われていた。

黒雛かなみは隅の方で腕を組み そっぽを向いている。

巨大モニターには、生活安全部の2軍部隊とスメラギ国軍が苦戦しているライブ映像映し出されている。

「(尊)クソッ、はやく修理しないと マズい。急がないと」

ツカサは、ヒーローとして何もできない自分にいらだち壁を叩く。

尊は席について、アルテと手元の工具でバチバチと火花をあげながら細かい作業を続ける。

「聞いてくれ」とラルフが機材を持って戻ってくる。

「ファイヤーアーマーのフェニックスフォームが破られた以上、今のままじゃ勝てない。だからファイヤーアーマーの強化アイテムが必要だと思う。見てくれ」

巨大モニターの映像が切り替わり、REVOLBREAKERと題された設計図が映し出される。

大剣のような格好をしてバズーカーのような砲身が組み合わさった形状をしている。

「シューティングアーマーとソードアーマーの武器を掛け合わせたリボルブレイカーだ。僕たちがいないことを想定して元々武器のないファイヤーアーマーにと

考えていたんだ」

スペック表が目にとまる尊。

「これだけの出力、発生させるエネルギーはどうするつもりだ? 生成する内燃機関を作るだけでもこの短期間じゃ難しいぞ」

「うっ」と、こめかみに手を当て、頭痛をこらえるツカサ。

一瞬、顔に返り血がついた音白リイサのヴィジョンがよぎる。

「これは⋯⋯」

ギアコマンダーを取り出すラルフ。

「ゴルドガレオンのギアコマンダーを使う」

「ゴルドガレオンの⋯⋯」

「あまらせていても仕方ない。使わない手はない」

複雑な表情をする尊とアルテ。

「ギアコマンダーからエネルギーが得られれば、このリボルブレイカーはアーマードギアと同等の出力が得られる」

「(アルテ)武器の形をしたアーマードギアというわけですね」

「急ごう。ギアコマンダーの修理は、ファイヤーアーマーとダメージの少ないドレスヴァイスブラッディを優先しよう。僕たちのはあとまわしだ。

尊とアルテは僕を手伝ってくれ」

「わかった」

「(アルテ)だけど、あの子はツカサの命を狙ったのよ。2人で出撃させるのは心配だわ」

ときおり殺意を持った目でツカサを見やるかなみ。

「(ラルフ)ドレスヴァイスブラッディ⋯⋯ローズファリテとゴルドガレオンと同じ第2世代だけど、どうしてウルヴァさんはアーマードギアに血塗られた純白のドレスなんて名前をつけたんだろう」

「(尊)さあな」


***

スメラギ国の都心部

「ホワイトナイト!」「騎士ッ!」と、ターボファイター=天影乃アカネ、ブリザードゾーン=氷城冷菓とブラッドレールが倒れているホワイトナイトに駆け寄る。

「お前たちが生活安全部の2軍か」と、アルティメット・ツカサが地上に降りてくる。


***

回想

黒塗りの車の中でロード・スクリームから調査資料と書かれた書類を手渡される橘ミナト (火条ツカサ)。

「クローンが所属する生活安全部という組織がこれまでどう活動してきたのか記録がまとめてある。人間関係から所持している戦力まで記載してある」

ロードが生活安全部に潜入捜査をしていたころにまとめあげた資料をミナトは興味津々にページをめくる。


***

「(ターボファイター)バカにしないで。私たちは2軍は1軍より強いんだから!」

「キンキンしてあげるわ」と、ブリザードゾーンが瓦礫を殴り、アルティメット・ツカサに向かって氷を走らせる。

「おっと」と、触れたものを氷漬けにするブリザードゾーンの氷をジャンプで避ける。

瞬間移動で、ブリザードゾーンの目の前に現れると「おもしろい力だ」と、ニヤリとして、頭部を回し蹴りして

10m先まで弾き飛ばす。

「(ターボファイター)冷菓!」

地面を抉るようにして着地したブリザードゾーンは変身解除されてしまう。

落ちたギアコマンダーを拾い上げるアルティメット・ツカサ。

「ほぉ、なるほど」と、ギアコマンダーを鼻先に垂らして、舐めまわすように観察するアルティメット・ツカサ。

ギアコマンダーを胸に当てるとアルティメット・ツカサの体内に取り込まれていく。

「よくも冷菓を!」と、ターボファイターはアルティメット・ツカサに殴りかかりにいく。

余裕の表情でターボファイターの拳を軽々とかわしていくアルティメット・ツカサ。

両腕に氷を纏って、ターボファイターの顔面や腹部にパンチを入れていく。

「きゃっ!」と、悲鳴を上げても「生活安全部が戻ってくるまで踏ん張らなくては」と、

アルティメット・ツカサの攻撃に耐えるターボファイター。


***

キサヒメ学園・地下秘密基地

ラルフ、尊、アルテは額に汗を掻き黙々とリボルブレイカーを開発している。


***

ターボファイターは数回殴られるうちにマスクが壊れ、アカネの顔が露わになる。

「(冷菓)ア、アカネ⋯⋯」

アルティメット・ツカサは片手でアカネの首を絞め上げながら頭上より高く持ち上げる。

「ツカサの顔してこんなこと、許さない」

「ハハハハッ!まだ分からないのか?俺が火条ツカサだ。これが俺の顔だ。そして溢れ出る破壊衝動がお前が恋焦がれる火条ツカサの本性だ」

アルティメット・ツカサは、アカネを引き寄せて無理矢理唇を奪う。

「!」

アカネを地面に叩きつける、アルティメット・ツカサ。

顔を伏せて涙を流すアカネ。

「今度は氷漬けにしてやらないとな」

「(冷菓)‼︎」

瓦礫を殴るアルティメット・ツカサ。

氷がアカネと冷菓に向かって伸びる。

その時、炎が伸びていく氷を一瞬で溶かす。

「待たせたな」と、ファイヤーアーマーとドレスヴァイスブラッディが現れる。

「(冷菓)火条⁉︎」

「(アカネ)ツカサ!」

泊馬を介抱するフェリスもファイヤーアーマーを見やる。

「火条ツカサ⋯⋯」

「ようやく来たかクローン」と、不敵な笑みを浮かべるアルティメット・ツカサ。

「よっしゃぶっ飛ばしてやるぜ」

「どけ、私がいく」と、ドレスヴァイスブラッディは飛び出す。

「おいッ!」

「火条ツカサは、私が倒す! その次はクローン、お前だ首洗っていながらそこで見てろ」

ドレスヴァイスブラッディは両腕、両脚の4本のブレード=ドレステーラーを展開して、フィギュアスケートのようにクルクル回りながら戦う。

そして新体操のように全身を使ってドレステーラーを振りさばく。

「テイヤッ!」

手で払いのけてかわしているアルティメット・ツカサの身体中に切り傷ができはじめる。

「なるほど。なかなか面倒だな」

ドレステーラーがついにアルティメット・ツカサの右掌を貫く。

「やった!」

アルティメット・ツカサはドレステーラーが刺さったままドレスヴァイスブラッディの拳を握り締める。

「やっと動きを止めた」

「!」と、なるドレスヴァイスブラッディ。

アルティメット・ツカサは、ドレスヴァイスブラッディの腹部に蹴りを入れて10m先まで飛ばす。

右掌の傷は再生し折れたドレステーラーを手にゆっくりとドレスヴァイスブラッディに歩み寄る。

ドレスヴァイスブラッディは痛みで動けない。

アルティメット・ツカサはニヤリとしてドレステーラーをドレスヴァイスブラッディに向かって振り下ろす。

目を背けるドレスヴァイスブラッディ。

ファイヤーアーマーが間に入って左肩から斬りつけられる。

「何?」

「クッ!」

「クローン⁉︎」

「おいおい、大事な身体を傷つけさせるなよ」

「クローン! なぜ私をかばうの⁉︎ 私はあんたを殺そうとしているのよ」

「あたりまえじゃないか⋯⋯かなみは同じ生活安全部の仲間だろ」

「仲間⋯⋯」

橘ミナトの姿がファイヤーアーマーに重なって見える。

"ハッ"とするドレスヴァイスブラッディ

アルティメット・ツカサは、ファイヤーアーマーの全身が青白いオーラに包まれていることに気づく。

「お前、その姿、そのマスクの下はゼロノイド態だな」

「お前だけ許さん絶対倒す」

「自分自身をか?」

「バーストアップ!」

フェニックスフォームに変身するファイヤーアーマー。

高速移動で激しく拳と拳をぶつけ合うファイヤーアーマーフェニックスフォームとアルティメット・ツカサ。

「いいぞ。いいぞ。だいぶついてこれるようになったな。俺たちはこれからひとつとなり完全たるゼロノイドになるのだ」

「その完全なゼロノイドを生み出すことで俺は何をしたいんだ? 破壊だけか?」

「俺よ。思い出せ。俺は、この地球の神、悪魔を滅ぼし、全人類をゼロノイドに変える。音白リイサのようなマイノリティを生み出さないために! これはそのために必要な破壊だ」

アルティメット・ツカサとファイヤーアーマーフェニックスフォームの拳がぶつかったときに「!」と、ツカサの脳裏にリイサの姿がよぎる。


***

小学校と思われる教室。

机が散乱し、1人の男性教諭と生徒たちが血を流して倒れている。

カーテンは引きちぎれ、窓ガラスは割れている。

生徒の何人かは割れた窓ガラスの桟に引っかかっている。

教室の真ん中でオーラに包まれ浮遊する小学生のリイサ。

顔に返り血を浴びてその瞳は曇っている。

机の下敷きになっていたツカサは、起き上がりリイサを見上げる。

ツカサは導かれるようにリイサに向かって手を伸ばす。


***

「なんだこの記憶は?」と、頭を抑えて困惑するファイヤーアーマーフェニックスフォーム。

「俺と俺が接触することで記憶が共有されたんだ。無神経な教師のせいでリイサの力は暴発してしまった。そのせいで半魔であるリイサは

人間社会で余計に生きづらくなってしまった。だから俺はこの日、リイサに誓ったリイサたちマイノリティが暮らしやすい世の中をつくると

例え悪魔と称されようが俺は科学者になって、人、神、悪魔の理を越えると」

「リイサ⋯⋯」

「そのためには俺と俺であるお前が1つになること、そして地球の記憶の力によってゼロノイドの世界が可能となる」

「だからレオノール国で研究していたのか⁉︎ 門番の制御装置もそのために、レオノール国への軍事提供はすべて儀式を完成させるための儀式だったのか?」

「正解。だいぶ記憶の共有が進んできたな。やっぱり俺であるお前の記憶を見ると、頭の方は失敗作だとわかる。平和な日常の守るため、ヒーローなどと。笑わせる。俺たちが愛したリイサが求めていたものはそんなんじゃない!

ゼロノイドの世界だ」

「壊すことなんて簡単だ! だけどここにいる生徒たちやこの国に暮らす人々の何気ない日常、あたりまえのようでどれも壊れやすい。だから守るために俺たちヒーローが必要だ。

リイサが求めていたのは、その何気ない日常だ! だから俺は戦うヒーローとして!」

「(ドレスヴァイスブラッディ)ヒーロー⋯⋯」

「お前は、余計なことを考えず黙ってその身体をよこせッ!」

アルティメット・ツカサの渾身のエネルギー弾がファイヤーアーマーフェニックスフォームを飲み込む。

「(ドレスヴァイスブラッディ)ツカサーッ!」

立ち込めた爆煙が晴れると、メカメカしい翼を広げて全身の装甲もトゲトゲしく変化して、ひとまわり大きくなったファイヤーアーマーが姿を現わす。

「ファイヤーアーマーバーニングフォーム」

「やったか! ハハハハッ"革新"ついに4人目の救世の巫女の力を手に入れたか!」


***

スメラギ国・首相官邸・総理執務室

執務机にタブレットを置いて、戦いの様子を見ているグールド・グレモリー。

傍らには林田誠一郎の姿もある。

「ついに揃ってしまったか⋯⋯」


***

ファイヤーアーマーバーニングフォームとアルティメット・ツカサが対峙していると遠くからエンジン音が聞こえてくる。

アルテが駆るローズライダーが瓦礫を飛び越えて現れる。

「ツカサ、お待たせ」と、ドリフトしながらファイヤーアーマーバーニングフォームの目の前で止まる。

「アルテ!」

「これを使って」と、アルテは、ローズライダーに縛り付けてあるリボルブレイカーの紐を解く。

「ありがとうアルテ。これで決めるぜ」

ファイヤーアーマーバーニングフォームは、リボルブレイカーを手に取り、ゴルドガレオンのギアコマンダーをセットする。

1mはあるリボルブレイカー。その重量から大剣モードの刀身の裏にも取手が付いている。

両腕でしっかりと構えたファイヤーアーマーバーニングフォームは、アルティメット・ツカサに挑む。

以前よりスピードが上がったファイヤーアーマーバーニングフォームにさっきまで余裕の表情で攻撃を受け止めたり、かわしていた

アルティメット・ツカサに焦りが見える。

ついにリボルブレイカーがアルティメット・ツカサの腕を斬りつけ、その傷は中々再生しない。

「何⁉︎」

「行くぜ!」と、ファイヤーアーマーバーニングフォームは攻撃を繰り返す。

胸や腹部を斬りつけられ苦痛に表情を歪ませるアルティメット・ツカサ。

「これで決めるぜ!」と、リボルブレイカーを柄の部分からくの字に曲げて砲身が伸びる。

リボルブレイカーバズーカモードに切り替えると、すかさずエネルギー弾を発射する。

強大なエネルギー弾に飲み込まれたアルティメット・ツカサは消滅する。

「やったー!」と、歓声をあげるアルテ。

変身を解除するファイヤーアーマーバーニングフォーム。

アルティメット・ツカサがいた辺りを見やるとそこにミナトが倒れている。

変身を解除して「ミナト君!」と、駆け寄るかなみ。

かなみは、ミナトの鼻に耳を近づける。

「まだ息がある。生きてる」と、安堵の表情を見せるかなみ。

アルテもホッと笑顔を溢す。

瓦礫を伝って進む銀色のスライム状の物体。

背後から現れたスライム状の物体は、ツカサを頭から飲み込む。

目を見開くアルテ。

「ツカサーッ!」と、アルテの叫び声が響く。


つづく














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