第42話「復讐者(ヒーロー)はドレスを着て踊る」
首都国ドルス・ドルス国際評議場2F・捜査会議室表
会議室の中からぞろぞろと出てくる国際警察機構の刑事たちとやるせない表情のドルス署捜査一課の黒崎京馬 (キョーマ)、柊紫月と刑事課長の堂島剛造。
「帳場は解散。あとはスメラギ国でやるってことは、メンツを潰されたグールド・グレモリー長官もやっきになっているな」と、ボヤく堂島。
「(紫月)スメラギ国政府が単独でことにあたると言っているということはそのようですね」
「なんせ国際警察機構(俺たち)の失態で凶悪な逃亡犯を長官の国に逃がしちまったからな」
「⋯⋯あとは高校生に任せるってわけか」
「(堂島)は?」
「彼らですね⋯⋯」
***
スメラギ国・キサヒメ学園・理事長室
「黒雛かなみ、君の転入を認める」
火条ツカサ、火条アルテ、直江尊、月代サヨ、フェリス・グレモリーが立ち会う中、
突如現れた黒い人型ロボットに搭乗していた少女は長い黒髪をなびかせて、グールド・グレモリーから
証書を手渡される。
「ありがとうございます。総理」
「(ツカサ)グールドはこいつが誰か知っているのか?」
「もちろんだ」
「その節はお世話になりました。林田さんにもお礼を」
「(アルテ)では、グールドさんは彼女が救世の巫女だということもご存知だったのですか?」
「ああ。彼女は元々キサヒメ学園の生徒だよ。華僑院玄徳の魔の手から逃がすため、日本に預けていたんだ」
「1年生の時に日本に渡り、2年ぶりの祖国の地です。キサヒメ学園も懐かしい⋯⋯」
「(フェリス)東京の大規模テロ災害からよく無事に戻ってきましたわね」
「⋯⋯」と、表情を曇らせるかなみ。
「彼女も日本でヒーローサークルに所属して、ヒーローとして活躍していたんだ」
驚く生活安全部の一同。
***
同・地下秘密基地
かなみが乗ってきたロボットを調べる織田ラルフ。
「やっぱりそうだ。この機体、ウルヴァさんが作ったアビリティマシンだ」
パソコンのモニター画面に隠しコマンドから見つかった機体の情報が表示される。
機体名に"アームキャリバー"とある。
「これは⋯⋯武器を運ぶ者と名付けられたこの機体はグラビティキャノンをベースにファイヤーグリフォンの武装強化合体用に設計されているのか。
だけど、得られる出力にファイヤーグリフォンが耐えられず、ファイヤーグリフォンの強化が構想されている。
それがグレートファイヤーグリフォンだったのか。ウルヴァさんからこの構想を渡された桐川博士は、それでグランドザウラーが作ったんだな。
だけど、なぜこの機体が日本に⋯⋯」
***
ツカサたちは、生活安全部への入部が決まったかなみを繁華街や廃工場などレッドワイズや魔法少女、クトゥルーたちと
戦ってきた場所を案内して、これまでの生活安全部の活動を話してあげた。
だが、聞いているかなみはどこか冷めた表情をしている。
キサヒメ学園・中庭
「(ツカサ)キサヒメ学園の平和と生徒たちの日常を守るのが俺たち生活安全部だ。どうだ?」
「たいしたことないわ」
「(アルテ)は?」
「 ギャングに魔法少女、クトゥルー、そしてレオノールのお姫様の護衛⋯⋯所詮あなたたちは遊びの延長ね」
「(アルテ)なんですって⁉︎ だったらあなたのいたヒーローサークルはどうなのよ!」
「私たちは命がけだった」
「それだったら私たちだって⁉︎」
「全員死んだわ」
「え?」
「あなたたちのようにヘラヘラなんかしていなかった。私たちはいつも死と隣り合わせで戦ってきた。絶望の中。それでも東京は救えなかった」
「(アルテ)⋯⋯」
「(尊)お前たちはいったい何と戦っていたんだ?」
「ゼロノイド」
「⁉︎」と、なる尊とアルテ。
「火条ツカサ。そろそろ救世の巫女の力を授ける儀式をしましょう」
「お、おう⋯⋯今まで儀式なんてあったか?」
「アルテさん、直江君。儀式には集中力を必要とします。彼と2人きりにしてください」
「(尊)⋯⋯わかった」
尊とアルテはその場を離れる。
「桐川なんか背中に一発、パンッだったぞ」
「だったら後ろを向いて」
「おう」と、ツカサは、かなみに背中を向ける。
かなみはギアコマンダーを取り出して「変身」と、アーマードギアへと変身をはじめる。
「なんか後ろ騒々しいな。まだか?」
かなみはドレスをモチーフとした黒きアーマードギアへと姿へと変わる。
両腕はブレード状になっていて、腰元にはドレスのスカートをイメージした装甲が付いている。
「ドレスヴァイスブラッディ」
それは血塗られた純白のドレスを意味するアーマードギア。
「クローン! 貴様をここで殺す」と、右腕のブレード=ドレステーラーをツカサに向かって振り下ろす。
だが、振り下ろしたドレステーラーをソードアーマーの無双ブレードが受け止める。
「くッ、お前は?」
「変身を解除しなさい!」と、銃口を向けるローズファリテ。
「何やっているんだお前ら⁉︎」と、振り向いたツカサは驚く。
「怪しいと思って隠れて見ていたら案の定これだ」
「あなたの目的は何? どうしてツカサを襲ったの?」
「オリジナルの火条ツカサを完全体にさせないためよ!」
「オリジナル⁉︎ まさか火条博士は⋯⋯」
3人に襲いかかるドレスヴァイスブラッディ。
ツカサもファイヤーアーマーに変身して応戦する。
ドレスヴァイスブラッディは両脚からもブレードを展開、フィギュアスケートのようにクルクル回りながら戦う。
踊るように戦うドレスヴァイスブラッディに翻弄される3人。
射出されてきたアーマーを装着したソードアーマーはアックスソードを構えてアックスモードになる。
アックスソードの重たい一太刀がドレスヴァイスブラッディの動き止める。
挟み撃ちを仕掛けるローズファリテ。
だが、ドレスヴァイスブラッディは軽やかに交わして反撃にでる。
4人が戦っているところに、上空から気弾が落ちてきて4人を直撃する。
「うあぁあ!」
「さっさと我が半身に力を与えてくれないと困るぞ。救世の巫女!」
上空を見上げると浮遊する全身銀色の橘ミナトの姿がある。
「ミナト君!」
「(アルテ、尊、ツカサ)ミナト⋯⋯君?」
***
同・地下秘密基地
アームキャリバーのコックピット内を調べるラルフ。
「人型形態のアビリティマシンにコックピットが存在するなんて⋯⋯」
ラルフはふと、一枚の写真が貼られていることに気づく。
写真にはかなみとヒーローサークルのメンバーと思われる人物たちが写っている。
そしてかなみのとなりにはミナトの姿がある。
「これは⋯⋯」
「そうだ」と、どこからか声が聞こえる。
「誰だ⁉︎」
「彼らたちがかなみの仲間たちだ」
「アビリティマシンが喋った⋯⋯」
***
同・中庭
「おいおい、まだわからないのか。俺はもう橘ミナトではない。奴はもう死んだ」
「オリジナル⋯⋯」と、フェイスマスクの下で歯をくいしばるドレスヴァイスブラッディ。
「(ソードアーマー)まさか⁉︎」
「俺がオリジナルの火条ツカサだ⋯⋯同級生諸君」
「(ソードアーマー)どういうことだ生きていたのか?」
「フフ」と不敵な笑いを溢す橘ミナト。
「なんだ? 綾井から聞いていないのか?」
痛みを堪えて立ち上がるファイヤーアーマー。
「俺が完全なるゼロノイドだ。我が半身であるクローン。お前を取り込んで俺は完全体となる。世界はこの至高なる最高の発明品であるこの俺を畏怖をもって讃える、そして俺はこの力を示すことで世界に応える。
俺は世界に滅びというなの祝福をあたえるのだ!」
「お前が⋯⋯俺であって俺ではない俺か?」
「おもしろい言い方をするな。そうだ。だが、お前は俺だ」
「俺は、キサヒメ学園の平和と日常を壊す奴は許さない⋯⋯」
「それが自分自身であってもか?」
「もちろんだ」
「イカれてイヤがる。ハハハハッ」
「生活安全部はキサヒメ学園の平和と生徒たちの日常を守るためにある、だから俺は生活安全部だ! お前じゃない!」
「(アルテ)ツカサ⋯⋯」
ファイヤーアーマーは、フェニックスのレリーフをギアコマンダーにセットしてフェニックスフォームとなる。
「みんなー!」と、シューティングアーマーイノセントフォームも駆けつけて、生活安全部の4人は横並びに構える。
「行くぞ!」
ミナトに向かって一斉に攻撃を仕掛ける4人。
ドレスヴァイスブラッディも立ち上がり攻撃に加わる。
だが、ミナトの一撃のパンチで弾き飛ばされ壁に叩きつけられたソードアーマーアックスモードとローズファリテは
フェイスマスクが割れて素顔が半分露出した状態になる。
「う、うう⋯⋯」
「アーマードギアが壊れた⁉︎」
シューティングアーマーイノセントフォームが銃撃しながらミナトに迫っていく。
ミナトは瞬間移動のような動きで、シューティングアーマーイノセントフォームの頭上に現れ
後頭部に蹴りを入れて壁に叩きつける。
「いいぞ。お前たちのおかげで戦闘データがこの身体にも蓄積できた」
そういうと全身を変化させ、顔も火条ツカサと瓜二つとなり、火条ツカサはアルティメット形態になる。
「より傑作に近づいた」
「そんな⋯⋯」
ドレスヴァイスブラッディは、戦意が喪失してその場にしゃがみ込んでしまう。
そこへ拳に炎を纏ったファイヤーアーマーフェニックスフォームが渾身のパンチをくらわす。
だが、片手で止めたアルティメット火条ツカサは、涼しい表情のまま、放り投げ壁に叩きつける。
フェニックスフォームが解除されたファイヤーアーマー。
「(シューティングアーマーイノセントフォーム)フェニックスフォームが敗れるなんて⁉︎」
アルティメット火条ツカサは、戦意が喪失したドレスヴァイスブラッディを首から掴んで持ち上げる。
「あとはお前がクローンに救世の巫女の力を与えれば完成する」
「かなみを放せ!」と、再び立ち上がったファイヤーアーマーが攻撃を仕掛ける。
「まだ戦えるかクローン」
「かなみ! 力を貸してくれ」
「え?」
「創造!」と、ファイヤーアーマーがドレスヴァイスブラッディの背中に手をあてると大型の拳型の武器"ドレスナックル"に変形させる。
「それは別の救世の巫女の力だな?」
「ちょ、ちょっと何⁉︎」
「くらえッ! ファイヤーフルバーストアタック!」
ドレスナックルは炎を纏いジェットブースターで加速することでその威力を高める。
ファイヤーアーマーは、アルティメット火条ツカサの顔面を捉える。
アルティメット火条ツカサの頭部は歪みながら消失する。
「やるなクローン。お前を取り込むのが益々楽しみになった」
アルティメット火条ツカサは頭部を再生させて、細胞の一部を瓦礫に取り込ませて巨大化させる。
細胞は近くに駐車している車も取り込んでいき、恐竜型のゼロノイドモンスターティラノになる。
「させるか!」と、アームキャリバーが飛んできてバズーカキャノン=キャリバーグラビティキャノンで攻撃をする。
そしてフルチャージした一発を放つ。
だが、ゼロノイドモンスターティラノは、体を変化させてビームを避ける。
「ニノ轍は踏まんさ」
「俺もニノ轍は踏まない!」と、グレートファイヤーグリフォンが飛んでくる。
「チッ、いつの間に」
「ドローンビット!」
ドローンビットのビーム攻撃がゼロノイドモンスターティラノの四方八方から襲う。
「こっちもだ」
ゼロノイドモンスターティラノは背びれからトゲ状のミサイルを発射する。グレートファイヤーグリフォンは、グリフォンソードとグランドランサーで、アームキャリバーも
キャリバーソードで向かってくるトゲを破壊する。
「一緒に決めるぞ」
「了解」
「ブレストバーニングバーンッ!!」
「キャリバーグラビティキャノン!!」
2体から放たれた強力な必殺ビームがゼロノイドモンスターティラノを飲み込み消失させる。
「今日はここまでか」と、アルティメット火条ツカサは姿を消す。
かなみに駆け寄るアルテと尊。
「あなたはいったい何者なの?」
「ゼロノイドと戦ってきたお前たちはなんなんだ?」
「ツカサ機関⋯⋯」
「え?」
「火条ツカサを崇拝する組織にして、私たちヒーローが所属していた悪の組織よ」
***
首都国ドルス・ドルス国際評議場・入口
出ていくキョーマを追いかけてくる紫月。
「どこへ行くんですかキョーマさん⁉︎」
「ツカサ機関を調べる」
「え?」
「なぜヘリを破壊できるほどの能力がありながら、はじめの3人は拳銃で殺害されたんだ? 何かあるはずだ」
「もしかして日本へ?」
「ああ」
***
グレートファイヤーグリフォンとアームキャリバーを見上げるかなみ。
「私たちヒーローが東京を壊滅させたのよ」
つづく




