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第31話「魔女と海賊と腹ペコの少年」

グルドラシル国との国境付近にあるレオノール国の砂漠地帯。

そこに土壁で出来た家々が立ち並ぶ村がある。

村の郊外には大きなテントが張られキャンプ地が出来ている。

腕や顔、背中にタトゥーを入れた屈強な男たちが騒々しく資材を運んでいる。

テントの天辺にはドクロマークが刺繍された黒い旗がはためいている。

ハンモックに寝そべる銀色のフェイスマスクを付けた男はラジオを聴きながら、複数の新聞を読み漁っている。

「(ラジオニュース)発表された徳川イエミツ星帝内閣の支持率は92%と高い支持率を依然保っており国際政府による保たれた平和が世界全域で高く評価されています。

続いてのニュースです。先日、国際評議場前で自国の政権交代を訴えるレオノール国民の一部が暴徒化し国際軍と衝突した事件で、中心にいたとされるレイラ・レオノール容疑者が

直後に行方が分からなくなっていることがわかりました。レイラ容疑者はドルスへの入国直後、反抗勢力との衝突もあったことから、何かしらの戦争行為に関わっていると見て

国際軍は指名手配をかけてその行方を追っています」

フェイスマスクの男は口もとをニヤリとさせ起き上がる。

そこへ「キャプテン!」と、黒き魔法少女となった月代サヨと子分のサスケを伴ってあらわれる。

「物資を調達してきたわ」

「ご苦労だった。だいぶ海賊が板についてきたじゃないか先生」

男はサヨの肩に手を置く。

サヨは冷たい目線を返して男の手を払いのける。

「見くびらないで。今の私なら人を手にかけることだって造作もないことよ。依頼ないの?」

「おお怖ッ。教え子たちが今の先生を見たらどう思うかな。やさしかったサヨ先生⋯⋯これも魔法少女になったことによる影響か」

「少女?」と、サスケがポロリと口を滑らす。

サヨは殺意を持った目でサスケを見やる。

「ひッ!」

「サヨ先生に最初に殺されるのはお前になりそうだな。サスケ」

「勘弁して下さい」

「ところで俺のお宝はどうなっている?」

「バッチリですよ。ちゃんとキャプテン仕様に改造してあります」

「充分にやってくれ。俺はこれから王宮に行ってくる」

「了解。あまり無茶はしないで」



***

国際評議場 4F 国際軍幹部会議室

国際防衛大臣レオス・アルベルト、国際外務大臣ランザ・ハーキン、国際官房長官渡辺ノブサダ、国際警察機構長官グールド・グレモリー、国際軍大佐直江カネツグらが

円卓のテーブルに着いて国際軍の官僚からの報告を受けている。

「レオノール国でのハバード隊活動調査の任ですが、シェル隊を派遣致しました。同隊は本日中にもグルドラシル国に到着する予定です」

「(レオス)分かった」

「(カネツグ)同隊は明日にも経済団体保有の軍隊とともにレオノール入りしてハバード隊の活動調査に当たらせて頂きます」

「(グールド)ハバード・ロイジャーがなぜ今回のようなテロ行為に至ったのか徹底的に調査を頼む」

「(レオス)我々はレイラ・レオノールがハバードをたらし込みあの様な愚かな行為をさせたと考えてます。見つけますよレイラ・レオノールが戦争を指導した証拠を」

「大臣、オートマトンについては?」

「分かった」

レオスと官僚の会話に「?」となるグールド。

「(レオス)此度の任務でヘイムダル社が開発した最新型オートマトンの導入実験を行いたい」

「(カネツグ)オートマトン?」

「(レオス)そうだ。オートマトンの導入が決まれば我々国際軍は一滴の血を流すことなく平和維持活動ができる」

「(グールド)武力による制圧が平和維持だと?」

「(レオス)世界の平和はこの場にいる我々の対話と決断によって成り立っている。そこに武力は存在しない。オートマトンも未だに残る悪意から人命を守るためだ。官房長官取りまとめを」

「(ノブサダ)⋯⋯」


***

グルドラシル国 経済団体保有軍 駐屯地 ハンガーデッキ

数十体の人型機動兵器デオドラスが立ち並んでいる。

シェル・ルミナー、冠庭トオル、巻咲ミツハ、グラップ・ロッズナの4人は見慣れない機体に目を奪われながら通路を進む。

「デオドラスは量産機でありながら可変機構と高い運動性能を兼ね備えたヘイムダル社の傑作機なんですよ」

「(トオル)詳しいんですね。隊長」

向こう側からパイロットスーツに身を包んだ男たちがやってくる。

「お待たせしました。隊長のグランズ・ハルバンです」

ハルバンとシェルの握手を皮切りに、トオルらもハルバンたちと挨拶を交わす。

「ここにはヘイムダル社の機体がたくさん置いてあるのですね」

「我々は、国ではなく企業に所属する軍人です。なのでヘイムダル社のテストパイロットもやっているのですよ。あなた方もあまり見かけない機体にお乗りのようで」

「スメラギ国の企業、桐川コーポレーション製の機体です。まだ国際軍に導入するかも決まっていない評価中の機体です」

「桐川コーポレーション。聞いたことがあります。確か低コストを売りにしてそれでありながら高性能と謳って頭角をあらわしてきた企業ですね」

「そ、そうなんですよ。多分、おそらく」

「(知らないんだ)⋯⋯」と、シェルを白けた目で見やるトオル。

「私は機体の性能は価格ではないと思っている。いくら軍にとってコストパフォーマンスがよくても我々兵士の命は値段ではないからね。ヘイムダル社もデオドラスだけ作っていればいいものを

桐川コーポレーションの風潮に乗っかってゼノデオなどというものを作った。いくらデオドラスより優れていると言われても気にいることはできないな」

「おいおい、それはあんまりだな」と、白衣を着た男がやってくる。

「どうも。ビリー・トーマンです。ヘイムダル社で人型機動兵器の開発をしています。どれも私が開発しました。どうぞよろしく」

「どうも」と、挨拶をするトオルたち。

「そうだ。ハルバン、ヴァナディスがロールアウトできたぞ」

「見せてもらおうか」


***

格納庫に通される一同。

そこには一機にの人型機動兵器が保管されている。

「ヴァナディス・アーミーズエディション。ハルバン専用の特注品だ」

「カッコイイ〜」とはしゃぐミツハ。


***

レオノール国 砂漠地帯 海賊ハウンドのキャンプ地

男たちが炊き出しを行なっている。

村の人々は待ち遠しそうに大行列を作っている。

「ちゃんと並べよ。ほれ、これ一人一個までだからな」

サヨとサスケは影から笑顔をこぼす村の人々の様子を見ている。

「姐さん、みんな喜んでいますよ」

「ありがたく受け取るがいい。民ども」

「ええ⋯⋯」

「きゃあああ!」と、行列の中から女性の悲鳴があがる。

「(サヨ)何だ⁉︎」

「おい!ガキッ、ちゃんと並べと言っただろ」と、パンを配給していた男が横入りした10歳くらいの少年を叱る。

「おっとごめんよ。腹ペコ何だ。我慢できないよ。おっとこれも貰うよ」

「おい!一人一個までだぞ」

「いいじゃないか。こんなにいっぱいあるんだしケチケチするなよ」

と、よそ見して歩いた少年は人にぶつかりその場に倒れる。

「イテテ⋯⋯」

ぶつかった相手はサヨ。

「パンが無ければケーキを食べればいい」

「はぁ?」

「貴様、こんなにあるからいいと言ったな」

「そうだよ。悪い?」

「なら分かった。そのようなことをのたまわる奴に与える食糧はない」と、サヨは少年からパンを取り上げる。

「ああ、何すんだよ。返してよ」

「私たちは貴様ら弱者に物を与えて悦に浸る偽善者ではない。どれも命をかけて手に入れて来ている義賊だ」

「ああ、もう悪かったよ。だけどね僕は子供なんだ。食べ盛りなんだ。お姉さんもたくさん食べないと大きくならないよ」

サヨの胸をタッチして走り去る少年。


***

「何なんだあのガキは」と、テントに入ってくるサヨ。

テントの中は野戦病院のごとく、うめき声をあげベッドに横になる人々で一杯になっている。

「どうしたんだい。機嫌悪そうじゃないか」と、看護をしている女海賊ジェシーが来る。

「ここへ運ばれて来るものが増えて来たな」

「感染症の流行が止まらないね。みんな苦しんでる。あと2日も持てばいい方だ」

「即効性の高い新薬を搬送している。辛抱だ」


***

砂漠を走るトラック


***

「明日には到着するはずだ」

「ならまだ間に合うな。ここにいる連中も希望が持てる」

"ガチャン"とテントの外から物が崩れ落ちる音が聞こえて来る。

「?」と、表を覗いたサヨとジェシーの目の前を包帯を抱えた少年が走り去っていく。

「待ちなさい!」と、村の女性が追いかけて行く。

「たくさんあるんだから少し分けて貰ったっていいだろ」

「またあのガキ」

「あの子はたしか、ロロっていってああやって盗みを繰り返しちゃ、村の大人たちに迷惑をかけている鼻つまみ者だな。私たちにとっちゃ将来有望ってところだけどね」


***

ロロの家

ベッドに横たわる男にパンを与えるロロ。

男はケガを負っていて全身包帯に巻かれている。

「ほら、パンだぞ。がんばって働いて貰って来たんだぞ」

「う、あああ」と、反応する男。

男は声帯を負傷していてうめき声しかあげられない。

「兄ちゃん、水だ。包帯も新しいのに交換してあげるからな」

「あああ⋯⋯」と、何かを訴えかけるように声を出す男。

「どうしたんだい兄ちゃん? そうだ! 明日薬が手に入るんだ。きっと兄ちゃんのケガもそれで良くなるよ」

「あああ⋯⋯」


***

壁に寄りかかって、窓からロロたちの様子を覗くサヨ。


***

レオノール国 王宮

ハイオネスク地域はレオノール、グルドラシル、ムルタル、クンレイン、ラシームド、ロクサルの6カ国からなる地域だ。

600年以上前、一つだったハイオネスクに6人の猛将たちが頭角をあらわし互いに勢力広げて争ってそのまま膠着。当時の勢力図がそのまま国となった。

銀色のフェイスマスクの男、キャプテン・バロックはレオノール国の実権を握る摂政ハザルド・ハンキと、ムルタル国、クンレイン国、ラシームド国の代表、国王らを前に

壮大な夢を語っている。

「経済団体の連中を倒すには、あなた方4カ国の同盟が必要だ」

「しかし我々のような貧しい国が束になったところでグルドラシルのような大国に勝てる見込みがあるのか?」と、御歳80を迎えたムルタル国国王が口を開く。

「勝てるさ。そのためにあなたたちが過去を乗り越えてひとつになるんだ」

「しかし経済団体を敵に回せばどの道我らは滅ぶ」

「じっとしてたっていずれ、奴らに飲み込まれる。グルドラシルを見てみろ。今の首相は経済団体出身者だ。乗っ取られる。奴らが提案して来ている合併もつまりそういうことだ。

平和なんて存在しない。支配だけが残る」

まだ20歳と若いクンレインの皇子が問う。

「海賊ハウンドの長よ。経済団体を退けたとして、その先をどうする」

「俺たちハウンドがいるじゃないか。俺たちの経済ネットワークは舐めないで頂きたい。あなたたちの国をグルドラシルくらいにすることは造作もない」

「なぁ」と、バロックの後ろに控える顔をストールで隠し、日本刀を帯刀した女性に投げかける。

「こいつは強いぜ。なんならあんたたちに貸し出すぜ」

「女?」

ストールを外して顔を見せる女性。その正体は柊紫月。

「バロック殿、レオノール国の心配はいらない。ここにおわす方々と手を組まなくともアレがある限りグルドラシルは恐るるに足らん」と、ハザルドは強気を見せる。

「あんたは、アレを過信しすぎだよ。国は守れても民は守れないだろ? まぁだけど俺も今回の戦、アレをあてにしてんだけどな」


***

海賊ハウンドのドクロマークが入った重機たちが、王宮近くの山を掘り起こしている。


***

ロロの家

「また仕事もらいに首領のところにいって来るね」と、家を飛び出すロロ。

ベッドに横たわる男の前にサヨが現れる。

「貴様はいつになったら死ぬのだ?」

「⁉︎」

「いつまでくたばらずにそうやって無様に生き続けるつもりだ!」

「(何かを訴えるように)うううう⋯⋯」

「貴様の弟がどおやってその食糧を手に入れているか知らないわけではないだろ」

「あ、あああ」

「決して働いて手に入れた物ではない。貴様がしぶとく生きながらえ続ければ、弟はこれからも人からものを奪い続ける」

「ううう」

「海賊もじゃないかって? 我らには大義がある。お前の弟にはない。私は自らの足で歩くこともできず他人に背負われているだけの人間に生きる価値がないと思っている。

口も開けず、目も見えず、息をしているだけの存在。それがどれだけ重荷になるのか。あいにく私にはヒーリング魔法はない。

だが、黒き魔法を持つ私ならば死を与えることは容易い⋯⋯だが、貴様が生きていることで弟が生きる支えになるのならそれはそれで価値がある」

「うあ、あ、ああ!」

「わーわー喚くんじゃないッ!」


***

露店が並ぶ通り。

果物屋に積まれたリンゴを手に取り走り去るロロ。

「コラッ!待ちなッ!」と、女性店主が追いかける。


***

海賊の男に檻に入れられるロロ。

「貴様はここで反省していろッ!」


***

回想

サヨとジェシーのところにサスケが現れる。

「調べましたぜ。あのガキはロロって奴で一年くらい前にロクサルからの移民としてこの村にやって来たようで、その時からすでに両親がいなくて、年の離れた兄貴と二人きりだったようです。

その兄貴も食べるためか半年前、武装勢力に加入して村を離れたようです。その武装勢力ってのもレオノールの首都でテロを起こすような過激派で先月の爆破テロ以降、消息が分からなくなっているらしいです。

村にもそんな組織に兄貴が入ったと知れ渡って、ガキも村の連中と距離を取っていたようです」

タバコを吹かせるジェシー。

「なるほど。そんな厄介者の兄貴を抱えて入れば。正直に兄貴の分の食糧が欲しいと言えないわけだ」

「(サヨ)⋯⋯」


***

国際評議場 4F 国際軍幹部会議室

国際軍の官僚がレオスの元にかけて来る。

「偵察中の無人機がグルドラシルとレオノールの国境を移動する不審なトラックを発見しました」

巨大モニターに映し出されるトラックの映像。

「(ランザ)何を積んでいるんだ?」

「(官僚)武器の可能性が高いと見ています」

「(グールド)部隊の派遣は?」

「(官僚)現在、シェル隊と経済団体保有軍のハルバン隊に追尾させています」

「(レオス)そのまま泳がせて巣穴まで運ばせろ」


***

檻の中で膝を抱えているロロ。

外で男たちが騒いでいる。

「薬を積んだトラックが経済団体の軍に追われているらしいぞ」

「! みんなの薬が」

ロロは、「持って2日」、「明日なら間に合う」と話していたジェシーとサヨの会話を思い出す。


***

海賊ハウンドのテント

急いで入って来るサスケとサヨ。

モニターに映るトラック。レーダーにはトラックを追う機影が確認できる。

「(サスケ)まずいな。完全につけられている。このままじゃ俺たちの居場所まで分かっちまう」

「今すぐ迂回しなさい」


***

ヴァナディス・アーミーエディションのコックピット

操縦しているハルバン。

「さぁ、巣穴までの案内よろしく」

突然、方向を変えるトラック。

「気づかれたか」


***

「サスケ。とにかく急ぐよ」

「はいよ。姐さん」

上空から黒い戦闘機型のマシンが飛来して来る。

ホバリングした状態でハッチが開いてコックピットの座席が降りて来る。

サヨが座ってコックピットに収納されるとコックピットの機材が起動する。

「出るよ!」の声で飛び立つ機体。


***

ヴァナディス・アーミーエディション、デオドラスの後方を飛行する飛行形態のAGX-Ⅱ4機。

シェルが操縦する隊長機に通信が入る。

「(レオス)今だ、オートマトンを投下しろ」

「了解しました」と、ボタンを押すシェリ。

AGX-Ⅱからコンテナが投下される。

砂漠の上に落ちると中から、蜘蛛のような形をしたロボットたちが出て来る。

今度は、ハルバンに通信が入る。

「隊長、こちらに迫る機影あり!アレは?」

ハルバンがモニターを確認すると黒い戦闘機と黒いゼノデオ合わせて6機の機体が映し出される。

黒いゼノデオの肩には海賊ハウンドのマークがある。


***

国際評議場 4F 国際軍幹部会議室

「海賊だとッー!」と、巨大モニターに映し出された映像に立ち上がるレオス。


***

サヨが操縦する黒い戦闘機が変形する。

その姿に冠庭は驚く。

「黒いAGX-Ⅱだと?」

機首部をランサー型の武器にして右手にショットガンを左手に構えた黒いAGX-Ⅱは、ヴァナディスたちに襲いかかる。

「AGX-Ⅱダークソルシエール。狩の時間だ」


***

国際評議場 4F 国際軍幹部会議室

「(グールド)レオス大臣、計らずも導入試験に掛けられるヴァナディスとAGX-Ⅱの戦いが実現しましたな」

「ググぐ⋯⋯」


***

デオドラスに囲まれるゼノデオ。

「我らは軍人だ。訓練された連携を見せてやる」

「(サスケ)そうかよ。だったら俺たちの野蛮な戦いを見せてやるよ」

サスケの操るゼノデオが一機のデオドラスに突進。

デオドラスの陣形が崩れる。

「しまった!」

「よそ見していると狩られるよ」と、ジェシーが操るゼノデオはムチ状の武器で3機のデオドラスを破壊して撃墜させる。

奏功しているうちにトラックにオートマトンが群がる。

運転手の男が悲鳴をあげて飛び出すと、オートマトンに装備されたバルカンで撃ち殺される。

「よくも!」と、AGX-Ⅱダークソルシエールは取り囲んで来るデオドラスをランサーで払い除けてショットガンで鮮やかに撃ち込み、撃墜させる。

「(ミツハ)行かせるかー!」と、AGX-Ⅱツヴァイキャノンが襲いかかる。

それも鮮やかにかわして、ブースターエンジンに弾を撃ち込む。

「きゃあああ」と、悲鳴をあげながら墜落するAGX-Ⅱツヴァイキャノン。

「次は私が相手だ」と、ヴァナディス・アーミーエディションが立ちはだかる。

「邪魔だー!」

ヴァナディスの剣を左腕のシールドで受け止めるAGX-Ⅱダークソルシエール。

鍔迫り合う2機。

AGX-Ⅱダークソルシエールのコックピットに警報音が鳴り響く。

「なんだ?」

モニターにトラックに向かって走っていくロロの姿。

「あのガキ⁉︎ どうしてここに」

通信が入る。

「俺だよ。生きのいいのが捕まってたからね。連れて来た」

「キャプテン!」

ロロはオートマトンを掻い潜ってトラックのコンテナ上を駆ける。

オートマトンの銃撃をうずくまってかわして背後にいたオートマトンが破壊される。

間一髪逃げると別のオートマトンの銃口がロロの鼻先に突きつけられる。

「!」

ロロがグッと目をつぶった時に、次々にオートマトンが爆発していく。

「え?」と、ロロが見上げると上空のAGX-Ⅱダークソルシエールのショットガンの銃口を向けている。

「戦いの最中によそ見とは無礼だな」と、ヴァナディスの剣撃がAGX-Ⅱダークソルシエールに襲いかかる。

「目障りだ」と、シールドから剣飛び出させ、ヴァナディスの右腕を切り落とす。


***

「ヴァナディスッ!」と、叫ぶレオス。


***

AGX-Ⅱダークソルシエールの背中からキャノン砲が展開。脇の下から飛び出させショットガンとドッキングして完成する。

銃口から魔法陣を発生させて幾重にも重ねる。

「ダークネスキャノン!」と放たれたエネルギー弾にダメージを追うヴァナディス、AGX-Ⅱシェリ、冠庭、グラップ機。


***

破壊されたオートマトンが再び起動する。

「なんなんだ!」と、腰を抜かすロロ。

するとオートマトンが発生した魔法陣に次々に押し潰される。

上空には左手を翳して魔力を放つAGX-Ⅱダークソルシエール。

「魔力が効く⋯⋯」

再びコックピットに警報音。

数十機のデオドラスの救援部隊がやって来る。

「しつこいな」

「ここからは俺の番だな」と、岩かげから飛び出して来るZX-O(ゼクス-オー)。

「(サヨ、サスケ、ジェシー)キャプテン!」

黒く染め上げられキャプテンハット、アイパッチ、ドクロ、海賊を意識した意匠に仕上げられた特殊機。

「行くぜ、ZX-Oキャプテンロイバー!」

背中に装備された10個のドローンビットを射出。

「ZX-Oの予測システムを応用したビット攻撃。10手先まで読むぜ!」

デオドラスたちは攻撃態勢に入る間も無く、ドローンビットの光線に撃ち抜かれて行く。


***

「撤退だーッ!」と叫ぶレオス。


***

ロロの目の前に舞い降りるAGX-Ⅱダークソルシエール。

コックピットのハッチが開いて中からサヨが出て来る。

「お姉さん?」

「どうだ?命をかけてみんなのためにお宝を手にした気分は?」

「生きてるって感じがするよ」

「そうか」

飛び降りるサヨ。

ロロをグッと抱きしめる。

「よく生きていた」と、頬から涙が伝うサヨ。


***

海賊の男たちによって家から運び出されるロロの兄。

キャンプ地のテントにてジェシーから治療を受ける。

「あんたが守った薬のおかげであんたの兄貴も1週間くらいで元気になるよ」

「本当かい?」

「ああ」

ロロは海賊たちと村の人たちに感謝され宴が始まる。

「あんたの弟、すっかり英雄だね」

包帯の下から涙を流すロロの兄。


***

遠くからロロたちを見ているサヨ。

「せいぜい生きるがいい」と、言い残しその場を立ち去る。


つづく




















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