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ミニヨンウォーズ 教室の皇女と高校生ヒーローの3人  作者: ドットオー
第1章生活安全部編
3/52

第3話「教室の皇女後編」

キサヒメ学園エントランスホール

鳴り響いた銃声に悲鳴をあげ逃げ惑う生徒達。

エントランスホールは

一気にパニックに包まれる。

駆け付ける生活安全部の3人。

逃げ惑う生徒達の間から、両手に銃を構えたピンクの

アーマードギア=ローズファリテが出て来る。

「ローズファリテ⁉︎なぜここに」と、目を疑う尊。

「ツカサ、私と一緒にグリティシア王国に来て」

「その声、アルテミアか?」

再び銃を乱射するローズファリテ。

銃弾を交わしながら、3人は右腕のブレスを展開。

アーマードギアに変身する。

ファイヤーアーマー「よせ、アルテミア」と、腰から

ナイフ状の武器を取り出し、ローズファリテに飛び掛る。

ソードアーマーもすかさず、刀を抜き、切りかかる。

ローズファリテも両手の銃を剣に持ち替えて、

二人の攻撃を受け止める。

「尊、私は考えました」と、受け止めた剣でファイヤーアーマーと

ソードアーマーを弾き飛ばす。

「この力があれば、国を取り戻すことができます。私と生活安全部のみなさんの4人で

戦えば必ず。だから一緒にグリティシアに参りましょう」

「それは違う!姫様」

強い口調でアルテミアの考えを否定する尊。

「国民は、騙されているのです。戦争が目的の宗教団体によって」

「そのやり方は利口じゃない!」

「父は財政危機にある国を立て直すため隣国であるイルミテ公国との合併を

模索しました。ですが、グリティシア内で勢力を広げている宗教団体イシュタルト

は、父を売国奴と批判し、自分達の力で国を守るべきだと聞こえのいい言葉を並べ立て

国民を先導しクーデターへと駆り立てのです。イシュタルトは、武装蜂起した国民や信者達に

イルミテ公国との戦争を煽っています。父は困難を抱える両国を平和的にひとつにまとめて、

国民が安心して暮らせる国を作ろうとしたのです。

あろうことか世界は父を戦争の首謀者としたのです!父は決して戦争の火種ではありません」


イシュタルトは宗教団体と謳っているが、その実、武器を売りさばく死の商人たちである。


「俺も、アルテミアが間違っていると思う」

ファイヤーアーマーに攻めかかるローズファリテ、

それを受け止めるファイヤーアーマー。

「なぜです!ツカサなら付いて来てくれると思いました」

「それは正義じゃない!ヒーローじゃないんだ!」

「何を言っているのです・・・ツカサ」

「そうですぞ。姫様」

ウルヴァが現れる。

「生活安全部は生徒達の日々の安全と日常を守るためにあるのです。

決して戦争のための道具ではありませんぞ!」

その場に崩れ落ちるローズファリテ。

変身が解けアルテミアの姿に戻る。

「姫様、私からひとつ提案があります。ソラトリア国大使館に行かれては如何かな?

お従姉妹様が両国の友好のために嫁がれていたはず。その方を頼ってみては?」

「確かに私より2つ上の従姉妹がソラトリアの第3皇子の元に」

「そのお従姉妹様は、大使としてスメラギに駐在しております。それにソラトリアの国王は国際政府でも

星帝の側近としてお働きになっております。さすれば、星帝にお会いできる機会も得られるはず」

「亡命し、皇女の立場を捨てろということですね」

「国と民を救うためです」

「それで私が火種とならず星帝にお会いすることができる・・・」

ウルヴァは胸元の内ポケットから折りたたまれた書類を取り出す。

「これは、スメラギのとある政治家に書いて頂いた書簡です。ソラトリアの大使の信頼も厚い。

これを持って大使館を訪れれば、決して悪いようにはしないはず」

「まさか書簡まで用意するなんて本当に何者だ?」

ウルヴァに大使館行きを提案したのは尊だったが、政治家の書簡を用意したウルヴァ

に驚いた。

アルテミアは書簡を受け取り「ありがとう・・・ございます・・・」と

涙で全身を震わせる。

「我ら生活安全部が姫様を大使館までお届け致します」

一同から笑顔が溢れる。


***

スメラギ国防衞省屋上

立上マイは不敵な笑みを浮かべ、

彼女を周囲に配置された一千機のドローンが飛び立つ。


***

スメラギ国都市部

大通りにライドファイヤー(スポーツカー形態)とソードライダー(バイク形態)に股がる尊の姿。

キサヒメ学園からソラトリア国大使館までは直線距離でおよそ3kmの道のり。

だが渋滞に嵌まり、身動きが取れないでいる。

「なんだよ!ちっとも進まねぇ。もう30分だぞ」ハンドルを握るツカサが苛立ちを露わにしている。

助席でスマホを弄るラルフ。

後部座席のアルテミアは落ち着かない様子で、前方を見ている。


***

渋滞に嵌る白いトラック

荷台部分の中は、司令室になっていて

マイと上官と隊員達の10名が乗っている。

「ようやくキャッチできた皇女様のGPS反応が近くにあるというのにどうして?」

マイたちが見つめるモニターには、マップが映し出され、自分達の位置を示すマーク

とアルテミアの位置を示す赤マークが表示されていた。

その距離は400m程である。

苛立ちを募らせるマイ。

上官が別モニターを確認する。

「昨日暴れた巨大ロボットが原因でこの先復旧工事しているようだな」


***

ライドファイヤー車中

ハッと気付いた様子のラルフ。

「僕たちのせいだね」

バイクの尊は、助席側をノックしてラルフを呼ぶ。

気付いたラルフは、ウィンドウを開け顔を出す。

「そろそろだ」

「了解!」スマホにスイッチのような画面を表示してタップする。


***

モニターに映し出されるマップ。

赤マークが突然3つになる。

「皇女様の反応が3つだと⁉︎どうなっているんだ!」

「ドローン向かわせます!」と、機材を操作している隊員が伝達する。

「ドローンからの映像表示します」

モニター画像が切り替わる。

映し出されたのはドローンの姿。

「あれは消息を絶ったドローンです!」


***

ビルとビルの間にできた細い路地。

一機のドローンを数百機のドローンが取り囲む。

囲まれたドローンはガトリングガンを展開させ銃弾を放つ。

次々に破壊されていくドローンたち。


***

「こちら側の探索ドローン壊滅」

「何やっているの!反撃しなさい」

「ダメです!操作不能です」


***

攻撃するドローンから妨害電波を放たれ、動きが止まる

ドローンたちに容赦なく銃弾を浴びせる。


***

「別の方は、どうなっているの?」

「同じです。他の2点も消息を絶っていた我々のドローンの攻撃を受けています」


***

一機のドローンが、追って来る数百機のドローンを狭い空間へと誘い込む。

ドローンは、眩い光に包まれ爆発する。


***

「探索ドローン全滅です」

「厳重にブロックされているはずのドローンのプログラムを僅かな時間

で改造したというのか何者なんだ⁉︎」


***

スマホの画面を見やる尊とラルフ。

「ここまでは尊の策が的中したね」

「本番はこれからだ。本丸を炙り出す」

スマホに表示されたスイッチを押す。


***

モニターに再び赤いマークが表示される。

「私でます!」と、トラックから飛び降りるマイ。

「よせ、立上!」

「敵に渡ったドローンは3機。それももう尽きました。現れたのはおそらく銀仮面。

決着を付けます」

小銃を手に走り出す。


***

廃工場で待機するソードアーマー、シューティングアーマー。

「敵も4つ目の反応が本丸と思うはず。おそらく次、現れる敵が本体」

「銀仮面・・・」


***

大通りを走るマイ。

髪が次第に赤くなり、逆立ち始める。

「絶対に仕留める」と、フェイスマスクを装着する。


***

廃工場

警戒しながら、待機するソードアーマーとシューティングアーマー。

そこに、メラメラと全身に炎を纏ったマイが現れる。

「銀仮面じゃない⁉︎」と、ラルフが驚く。

炎マイは人間とは思えないほど、空高くジャンプし、ソードアーマーに

遅い掛かる。

マイの素早い動きに翻弄されるソードアーマーとシューティングアーマー。

「これが生身の人間の動き?」と呟くシューティングアーマーに

マイの蹴りがアゴにキマり飛ばされる。

炎マイの背後から、ソードアーマーの上段の一太刀が迫るが、

それを躱して、炎を纏った拳をソードアーマーの顔面にぶつける。

動けなくなる、ソードアーマーとシューティングアーマー。

マイは、ソードアーマーが落としたスマホを拾い上げる。


***

渋滞に嵌るライドファイヤー(スポーツカー形態)

車中のツカサとアルテミアの元に尊からの通信が入る。

「すまない。敵がそっちに向かった」

「どうしたんだ尊!」

想定外の事態に当惑する2人に

ドン!っと大きな音がする。

前を見ると、フロントガラスに炎マイが張り付いている。

「目標発見」

ファイヤーアーマーに変身して、アルテミアとライドファイヤーを

飛び降りる、ツカサ。

素早い動きでファイヤーアーマーに襲い掛かる炎マイ。

炎を纏ったマイの拳を、ファイヤーアーマーの拳が受け止める。

「悪いが、炎は俺の専売特許だ!」

ファイヤーアーマーの腕のアーマーが展開し内部のタービンが

フル回転して炎が巻き上げる。

ファイヤーアーマーその勢いで一気に炎マイを後方へと突き飛ばす。

「トドメだ!」と、右脚を前に出しキックの態勢をとる。

そこに「みーつけた」と、大型ロボット"プロトフ"が現れる。

コックピットのルークは「林田さんの言う通りだぁー」と、嬉々とした表情を浮かべる。

プロトフの胸のハッチが開き、地面に叩きつけられた炎マイを飲み込む。

プロトフは、全身を炎で纏った赤い機体へと姿を変える。

「いいねぇ。お前の名前はゴウカだ。よろしく」

ソードライダーに乗ったソードアーマーとシューティングアーマーが現れる。

「すまなかったツカサ」

「ああ、それより」

ゴウカを見上げる3人。

ゴウカの姿に、驚いたドライバーたちが、車を乗り捨て、次々に飛びしてきて

辺りはパニックに包まれる。

ファイヤーアーマーとソードアーマーは、ライドファイヤーとソードライダーに

それぞれ合体して人型形態に姿を変える。

ゴウカの全身から噴き出す炎に、2体のロボと街が炎に包まれる。

逃げ惑う通行人やドライバーたちは炎から出た煙を吸いその場に倒れ始める。

身動きの取れない2体のロボ、このままではマズいとなったとき、突然日が陰る。

空を見上げると、大型のジェット機が。

そして大きなサイレンの音を上げ、消防車型と救急車型のビークルが来る。

生活安全部の3人にウルヴァから通信が入る。

「災害救助用のアビリティマシンだ。火の方はなんとかする」

消火と救助活動を始める3機。

「これで戦える」とライドファイヤーが態勢を整えると、全身が光に包まれる。


***

キサヒメ学園生活安全部部室

ウルヴァは驚く。

モニターには次々にプログラムが構築されていく画面が映し出されている。

「どういうことだ。まだ完成していない合体プログラムが次々と」

現場の映像に目をやるウルヴァ。

そこには、ビルの陰から手を合わせ祈りを捧げるアルテミアの姿が。

彼女の全身も同じ光に包まれている。


***

災害救助用の3機のアビリティマシンも同じ光に包まれ

合体シークエンスと入る。

ライドファイヤーが天高く舞い上がり、大型ジェット機=ライドアビィオンが

両足から胴体に掛けての形になってライドファイヤーとドッキングする。

消防車=ライドラダーと救急車=ライドエイドは腕の形になり

ライドファイヤーにドッキング。胸のエンブレムが輝き、20mを超す大型ロボット

ファイヤーグリフォンへと姿を変える。


***

悠然と降り立つファイヤーグリフォン。

その姿に興奮を隠しきれないルーク。

「合体したよぉ。本当に楽しませてくれるなぁ」

ウルヴァも「これが救世の巫女の力・・・」と、驚きを隠せない。


***

「楽しませてもらうよ!」と、炎の玉を雨のようにファイヤーグリフォンにぶつける。

ファイヤーグリフォンは、煙に包まれその姿が確認できなくなる。

「やったか?」

煙が晴れると、びくともしていないファイヤーグリフォンの姿があった。

ファイヤーグリフォンは背中に収納されたライドラダーのハシゴを腰に移動し、

そこから大型の剣を引き抜いて構える。

剣先に炎を纏って飛翔。振り上げた大剣をゴウカの頭上から振り下ろす。

ゴウカは、真っ二つになり、大爆発を起こして塵になる。

大剣を納め、悠然と佇むファイヤーグリフォン。


***

ソラトリア国大使館の一室

4畳半程の部屋で、普段大使館職員がミーティングなどに利用する部屋。

アルテミアと生活安全部の3人はパイプ椅子に座り待機している。

大使館側は、アルテミアを要人としてもてなさず拒絶する態度が伺える。

ソラトリア国大使ミリアルがてに書簡を持って入って来る。

「お久しぶりですね。アルテミア」

「ミリアルお姉様。お久しぶりでございます」

「このような形で再会するとは思いませんでした」

「お姉様。お願いです祖国のためお力をお貸し下さい」

「お断りします!」

「なぜだ!あんた身内だろ」と、ツカサが詰め寄ろうとするが

「よせ」と尊が抑える。

「アルテミア、残念ですが我がソラトリアとイルミテ公国は国際政府と共に

グリティシア王国へ武力制裁を課すこととなりました」

悪い方向へと事態が転がってしまったことに言葉を失うアルテミア。

「仕方ありません。グリティシア王国内で戦争の機運が高まっています。

平和を重んじる我々隣国と国際政府はそれを抑えなくてはなりませんから」

「私は戦争を避けるためにここまでやって来たのです。なんとか祖国の民を傷つけないで下さい」

アルテミアは声を震わせ、ミリアルに懇願する。

「お諦めなさい。ソラトリア国としてはあなたを受け入れる訳には行きません。

早くここを立ち去りなさい。でないとここで身柄を拘束します」

そう言い残し部屋をあとにするミリアル。

ミリアルは廊下に出て「ごめんなさい」と泣き出す。

手に持った書簡には、アルテミアの受け入れを拒否するよう書かれていた。


***

数日後

スメラギ軍病院

受付を済ませ歩いて行くマイの上官。

上官の手ににぎられた朝刊紙の一面には、グリティシア王国の降伏の記事が掲載されている。

勢い付いたクーデター隊は、イルミテ公国の国境付近に迫るも、国際政府軍の

圧倒的な力の前に敗北。戦争を扇動していた、宗教団体イシュタルトの姿はなく、

指導者を失った民衆たちは行き場を失い、グリティシア王国はあっと言う間に瓦解した。

記事には捕らわれていた国王は未だに行方不明とあった。


***

病室で酸素呼吸機に繋がれ眠ったままのマイの姿を見て

「バカヤロウ」壁を叩く。

今回の国際政府軍の活躍に、マイも一員としていることが出来ていたらと思うと

悔しさが滲んだ。


***

スメラギ国総理官邸・総理執務室

華僑院総理と安守幹事長に対面するグールド・グレモリー。

「軍の失態で、一時は姫を見失ってしまいましたが今は安全なところで保護しています」

おもしろくない顔をする安守幹事長。

「軍も想定外の襲撃を受けたと聞いている」

すかさず、安守幹事長が答える。

「未確認のパワードスーツで武装した者たちだったと聞いています。

救世の巫女となれば、狙う組織も1つや2つでは」

「軍の対策チームの装備を充実してやれ」

「はっ」

「姫の身柄は今どうしている?」

「今回のやり方で不信を与えてしまいました。当初の施設で管理する計画も、

万が一漏れた場合、幽閉していると捉えられても仕方ありません。

私の管理するところではありますが、年頃の姫にふさわしい場所に生活して頂いて

様子を見てみては如何でしょうか?」

「分かった。姫には不自由ない生活をさせてやれ」

「了解しました」と華僑院総理に頭を下げ、執務室から出ていく。

グールド。

苦々しい表情の安守幹事長。


***

グールドが執務室を出ると林田がいる。

林田はニヤりとした表情を浮かべる。


***

髪を短く切り落とし、キサヒメの制服に身を包むアルテミア。

生活安全部の3人とウルヴァ、サヨの前で宣言する。

「生活安全部部長"火条アルテ"よろしくお願いします」

吹っ切れた表情でにっこりと笑う。


***

林田はシルバルドに変身し、グールドと並んで執務室をあとにする。



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