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ミニヨンウォーズ 教室の皇女と高校生ヒーローの3人  作者: ドットオー
第2章魔法少女編
19/52

第19話「救わない医者」

コウモリが舞う闇に覆われた世界ーー

時折、稲光で照らされて崖の上に立つ神殿造りの建物が見える。


魔界元老院 円卓の間

円卓テーブルに集う、悪魔、妖怪、怪物、魔女それぞれの種族を統べる

12人の重鎮たち。

そして一同が注目を集める玉座にはキサヒメ学園の制服に身を包む男が座るーー

顔は影が差して確認することができない。

重苦しい雰囲気の中、サイクロプスが最初に口を開く。

「お久しぶりにございます。我が主、第六天魔王、織田……」

稲光りで玉座の男の顔が見える。

「ラルフ様」

頭を下げる一同。

「今日は急ぎ集まってもらって感謝する。お前たちに聞きたいことがある」

いつものおとなしい雰囲気とは異なり威厳に溢れるラルフ。

彼の素性は、魔界最強のヴァンパイアであり、第六天魔王織田ノブナガの息子である。

「滅相もございません。なんなりとお申し付け下さい」

「魔女よ。1つ尋ねたい」

「はッ!、はい」と、驚いた様子で返事をする魔女。

魔女は黒ずくめで、とんがったハットを被ったいかにもな容姿をした老婆である。

「人間界で魔法少女と名乗る者たちが騒ぎを起こしている何か知っているか?」

「ぞ、存じ上げませぬ。ですが魔王様。それは人間の魔法使いにございますか?」

「いかにも」

「だとすれば、些か妙な話にございます。人間が魔法少女になることは20年以上前から

我々、魔術師会で固く禁じております」

「まことか?」

「はい。といいますのも今から70年くらい前、人間界でケガを負ったある魔法使いが

やむをえない事態に、通りがかった15歳くらいの少女に魔力を与えたことが人間の魔法少女のはじまりにございました」

「なるほど」

「問題はその後でした。はじめは女の子が竹箒に跨って空を飛ぶ、かわいいくらいのものでしたがそこから魔法少女ブームが起きて

人間の魔法少女急激に増えていきました。悪者と戦うようになってからは魔界に留学してまで魔法学校に通う熱心な子まで出てきてしまって、

肝心の魔界の者が定員オーバーで魔法学校に通えず魔法使いになれないという社会問題を引き起こしてしまいまして、以来人間を魔法少女にすることを規制しております」

「え?」と、キョトンとするラルフ。

魔法少女のことを調べるため、久々に帰省したラルフ。"魔術師会の岩盤規制"によって魔法使いの利権が守られていることは理解したが

夢も憧れも無いリアルな実態に聞かなきゃよかったと後悔する。

「どうかされましたか魔王様?」

「あ、あ、分かった……」

「実を申しますと人間に魔力を与えた魔法使いってのはこのワタシでして……」

「やっぱ、てめぇかババア!」と、サイクロプスが反応する。

「いたしかたなかったんじゃ、あの頃はワタシも若かった!」

「おとぎ話で、毒リンゴ配ってた頃からババアだったろうが!」

いつものケンカをはじめるサイクロプスと魔女を尻目に公爵アスタロトが報告をする。

「これはすでにノブサダ様に伝えてあることですが、魔界復権を訴える一部勢力が魔術師会から離脱して

許可なく人間界に降りたという情報があります。その者たちが何か関係しているのではと考えます」

「……(おそらくそれが魔術協会) 理解した。とりあえず叔父上の耳に入っているのなら安心だ」


***

スメラギ国 総合病院 診察室

「あなた死にますね」と、女医の雨坂塔子(あめさかとうこ)(32)から

宣告を受けた火条ツカサは、ショックを受ける。

朝、目を覚ますと体がだるく寒気がする、風邪とみられる症状が出ていたことから

病院に診察を受けに来ていた。

薬を貰って一晩寝れば回復するとたかをくくっていたツカサだが、

まさかの診断に熱ぽさで赤くしていた顔が一気に青ざめる。

「どうしてこんな状態になるまで放って置いたんですか!」

「え、え⁉︎……」と、困惑するツカサ。

「心あたりはありませんか?」

しばらく考えて、ゼロノイドに覚醒して木田春馬と戦ったときのことが

頭をよぎる。

「あッ!そういえば急に髪が青くなってプワァ〜と(手で髪が逆立つ仕草)なったと思ったら、頭ん中も

いつもよりスッキリした感じになってメチャクチャ強くなったことがありました!」

「(うんうんと、頷いて)それはいけませんね!今すぐ入院しましょう」

「先生、俺ただの風邪じゃないんですか?」

「そんなはずありません!本来バカは風邪をひかないんです。あなた程のバカだったら特に!これは重い病気なんです」

「(ええ……)」


***

総合病院 病室

病室の扉には面会謝絶と書かれた張り紙が貼られている。

その前で、手で顔を覆って泣きじゃくる火条アルテと暗い表情をした直江尊と柳生ロードの姿。

ベッドの上で点滴に繋がれたツカサは目を見開いたまま放心状態だ。

"大丈夫だ"と笑い飛ばしてくれると期待していた、生活安全部の仲間たちも

"あとは任せろ"と泣くばかりで、一気に不安が押し寄せてきていた。

「(え?俺、やっぱり死ぬの?ええ……)」

扉の向こうから看護師たちのヒソヒソ話が聞こえてくる。

「昨日まで元気だった田所さん、今朝亡くなってびっくりしたわ」

「これで、今月に入って4人目」

「今日、入院した子。17歳の高校生ですって」

「かわいそうに……」

「担当は雨坂先生よ」

看護師たちの会話の内容にツカサの不安は一気にピークに達する。


***

夜ーー

トイレに起きたツカサは、夜の不気味な病院の廊下を歩いている。

「(なんで個室なのにトイレが壊れて使えねぇんだ。明日、ラルフに直して貰お)」

ツカサは「?」と、目の前の病室の中からオーロラのような光が

漏れていることに気がつく。

ツカサは、その病室をそっと覗いてみるとオーロラの空間ができていて

その中で、魔法少女のなでしこがクトゥルーモンスターたちと戦っている。

さらにその頭上には大きな口とひとつ眼がある触手の固まりような紫の巨大なモンスターが浮遊している。

ツカサは点滴を引きちぎって「変身!」と、ファイヤーアーマーに変身する。

「生活安全部!なぜここに⁉︎」

炎纏った腕のアーマーで次々にクトゥルーモンスターを倒してゆく。

「魔法少女!ここはいったい何なんだ?」

「ここはルルイエ空間。クトゥルーが巣食う場所よ」

「ルルイエ?」

「見て」と、なでしこは頭上の触手クトゥルーを指差す。

「あれが本来のクトゥルーよ。魔術協会のクトゥルーと違って人の負の感情から生まれるクトゥルーは、こうやって自分の巣となる

ルルイエ空間を作り出している。この空間ができた場所には、人によくないことが起こる。

だからはやくクトゥルーごとこの空間を消さないと」

「(クトゥルーモンスターを倒しながら)なんかこいつら、いつもより強くねぇか?」

「そうよ。この空間ではクトゥルーの動きが活発になるの」

「マジか」

「私は星見なでしこ。よろしくね火条ツカサ君」

と、手を差し出すなでしこに戸惑うツカサ。

ツカサも手を差し出そうとすると、「あれ?あれ」と、突然目の前が霞んできたかと思うと空間が歪んで

そのまま視界が真っ暗になる。


***

ツカサが目を開けると目の前は、白い病室の天井。

いつの間にかベッドの上にいる。

外は明るくなりはじめ、日が差し込んできている。

「(夢か?……)」


***

しばらくしてツカサは、再び廊下を歩いている。

「(トイレ遠いよなぁ、この病院。ラルフの奴、結局来なかったし)」

ツカサは、昨晩オーロラが出ていた病室の前に差し掛かる。

気になったツカサは、病室の中を覗いてみると、

ベッドには、顔に白い布が掛けられた人物が寝ていて

傍らですすり泣く女性と小さな女の子が「パパッー!」と泣きじゃくっている。

ツカサの耳元にまた、看護師たちのヒソヒソ話が聞こえて来る。

「今日が退院だったのに……」

「まだ、働き盛りでしょ?あんな小さな子残して……」

「いたたまれないわね」

「……」と、目と口を大きく開けてガタガタ震えるツカサ。


***

再び夜

頬がこけてきたツカサは、ベッドから起き上がって再びトイレに出歩く。

「(ラ、ラルフ〜はやく来てくれ。トイレが遠い……。今日は誰も来なかったなぁ、うっとおしいアルテすら来なかったな……

そういえば入口の貼り紙なんて書いてあんだ?)」

面会謝接が読めないツカサが廊下の突き当たりを曲がると昨日とは別の病室からオーロラが出ているのに気づく。

「……」


***

ルルイエ空間

クトゥルーモンスターたちと戦うなでしこ。

「うおおおおお!」と、ファイヤーアーマーが現れて、なでしこを囲む

クトゥルーモンスターを蹴散らす。

「ツカサ!」

「(頭上に浮遊する触手クトゥルーに向かって)また出やがったなクトゥルー!」

「アイツを倒さないとこの病院のルルイエ空間は消えないわ。このクトゥルーを生み出した

核となる人間がいるはず。ここまで成長してしまったらその人間を見つけ出して除去した方が早そうね……」

なでしこが何か重要なことをしゃべっている。だが次第になでしこの声が聞き取れなくなっていく

ツカサはそのまま意識が遠のいて再び視界が真っ暗になる。


***

ツカサが目を覚ますと再びベッドの上にいる。

昨晩の出来事の記憶もおぼろげで夢か現実かはっきりしない。

ツカサは、オーロラが出ていた病室に行くと

看護師たちがベッドの上の女性に死化粧を施している。

ガパっと目を見開いたまま立ち尽くすツカサ。

恐怖の波が一気にツカサに押し寄せる。


***

ツカサの病室

今日が最後かもしれないと特別な許可を貰って面会を許されたアルテ。

見舞いに来たアルテに、ツカサは身振り手振りで必死に夜の出来事を伝える。

「オーロラみたいな光の空間に大きなタコのようにウニャウニャした奴が浮いていて

そこで魔法少女と俺で戦っていて、朝になったら人が死んでいたんだ」

「(涙を流しながら)ツカサ……何を言っているかさっぱりわからないわ。まだ疲れているのね。

もういい、もういいの。私の亡くなったお爺様も最後はそうだったわ」

「? 信じてくれ……クトゥルーを生んだ人間を見つけてほしいんだ」

「ツカサ、もう休んで!」と、病室を泣きながら飛び出してゆくアルテ。

「アルテッ!」

ツカサは「ええ……」となったまま固まってしまう。


***

アルテが出て行ってしばらくして、窓外から見える木の枝についた枯葉を見つめるツカサ。

"あの葉っぱが落ちたら俺死ぬんだ"てきなことを考えながらため息をついて項垂れる。

その瞬間、ツカサは"ハッ"と、思い出す。ルルイエ空間が出ていた病室の担当医の表記にいずれも

雨坂塔子と書かれていた。

「まさか……」


***

雨坂塔子の診察室

「順調……順調」とぶつぶつ言いながらツカサのカルテに今日の経過を記入している塔子。

「今夜が頃合ね……」

塔子は3週間前の出来事を思い起こす。


***

3週間前

カルテに目を通している塔子。

「次の方、どうぞ」

「雨坂塔子……」と、診察室に入ってくる間宮ヒト。

「君は本当に生きるとは何かを考えているの?」

「なんなのあなた?大人をからかうなら出ていきなさい」

「生への執着があるからどんな命でも救える。"生きる"とはの研究を繰り返してきたからこそ今の天才ドクターとしての

地位がある。君は雑誌の取材にそう答えたね。果たしてそうかな。君が興味があるのは本当に人の"生"かな?」

「何が言いたいの?」

「3日前……」

"ハッ"と、する塔子。


***

回想

病室に"ピー"という心電図の音が鳴り響く。

酸素マスクをした男性の意識はない。

体を揺すって男性の名前を呼び続ける看護師。

そこに塔子が駆け足で入ってくる。

「先生!先生!新薬を投与した途端、田辺さんの意識が」

「そんなはずは!」


***

「あの日君は、看護師に指示した投薬量をほんの僅か見誤った。

アリの体重程のほんの数ミリグラム。

あっけないね。人はアリより大きく利口な生き物なのにアリよりも

軽い僅かな誤差で死んでしまう」

「な、何を……」狼狽する塔子。

「あれは本当に誤りだったのかな?人が"死"を得るには最適な量だったんじゃないかな?

君が患者の腕に打つ注射も針を刺した時に得る生きるという感触より、昆虫に刺して標本を作る時の

死の感触の方が好きなはずだよね。確か趣味だったはず。立派なお医者様だったお父様に奪われてしまったけど。

君が本当に興味があるのは人の"死"なんじゃないかな?」

「ち、違う……」と耳を押さえる塔子。

「素直になりなよ」

ヒトは、グッと眼を凝らすと塔子の体が透けて見え、彼女の胸に緑色の鉱物が輝いているのを確認する。

「君の種子は順調に成長しているね」

「大事にしなね」と、言い残してヒトは診察室を出て行く。

「待って!」

「また来るよ」


***

夜 ツカサの病室

熟睡した様子のツカサ。

頭上にキラリとメスが光る。

ツカサの枕元に向かって降り下ろされるメス。

寝返りを打つように転がるツカサはベッドの下に落ちて

間一髪のところでメスは枕に突き刺さる。

「イテテッ……来るのがもう少し遅かったら本当に寝ちまってたぜ。さぁ待ってたぜ先生!」

突き刺さったメスを握っているのは塔子。眼がくりぬかれたように黒く、獣のような呻き声を上げている。

「ち、治療……治療を……治療をさせろ!」と、何かに取り憑かれたようなカクカクとした動きで

ツカサに襲いかかる。

避けたツカサは病室を飛び出す。

全速力で廊下を走るツカサの背後から、四つん這いで壁や天井を使って跳ねながら追いかけてくる。

「マジかよ!怖えええ」


***

塔子の回想

夜中、塔子がベッドで眠る男性の腕に注射をすると、男性は眠ったまま息苦しそうに悶える。

塔子は、その様子をじっくりと見ながらノートに書き込む。

顔を近づけ、興奮した様子で男性の呼吸が止まるその瞬間まで観察を続ける。

「(ヒトの声)本当に興味があったのは死の研究。なぜ人は死ぬ?死とは何か?死ぬとは何なのか?

ずっと"死"に魅せられてきた彼女は人の命を救いながら、その欲求を抑えてきた。生を保つ自分の行為と死への興味の矛盾を

抱えたまま。こうして天才ドクターの作り上げた医療レシピは多くの医療関係者に期待された命を必ず救うものでは無く。命を奪うものだった。

3週間前それを実行した彼女の欲求はもう抑えられない。人が死ななくてはその研究が完成しないからね」

男性の呼吸が止まると「計算通りだ」と、笑顔を見せてよろこぶ塔子。


***

行き止まりで立ち止まったツカサに塔子が飛び掛って来る。

ツカサは咄嗟にしゃがんで避けると勢いがついた塔子は窓ガラスを突き破って中庭に落下する。


***

中庭

塔子の状態を確認しに来たファイヤーアーマー。

うつ伏せで倒れていた塔子が呻き声を上げながら起き上がる。

「マジかよ……」

塔子は立ち上がって叫ぶと胸の鉱物が光って全身から触手が生えて来る。

中庭は一気にオーロラに包まれてルルイエ空間へと変わる。

そして塔子は巨大な触手モンスターに姿を変えた。

「やっぱり、あんただったのか⁉︎」

そこへ「ツカサ!」と、なでしこが駆けつける。

「なでしこ⁉︎」

「あれはマズイ。ここまで成長したクトゥルーは、じきにルルイエ空間をブチ破って、現実世界に出てしまうわ」

「なんだって⁉︎」

「私たち魔法少女は、クトゥルーを外に出さないために人知れずルルイエ空間で戦って来たわ。これまで多くの魔法少女が犠牲になって来た」

なでしこは、普通の少女だったころ、クトゥルーに襲われその時戦った魔法少女たちの死体が自分の周りに転がっている光景を思い出す。

「なでしこ……」

「何としても倒さなくっちゃ!」

「おう!」と、答えるファイヤーアーマーだが、また意識が朦朧としはじめる。

「クソッ、なんだ……」

「やはり、普通の人間にはこのルルイエ空間で活動するのは難しい……」

「これなら!」と、全身に力を込めるとファイヤーアーマーは青いオーラに包まれる。

マスクの下で分からないが、ゼロノイドに覚醒したことでファイヤーアーマーは正気を取り戻した。

「頭をすっきりさせればこっちのもんだ。一緒に行くぞ!」

「はい!」

ファイヤーアーマーとなでしこは触手攻撃を飛び越えて左右から

触手クトゥルーに攻撃を与える。

「行くぜェ!」

「レベル2の私だって!」と、それぞれの技でダメージを与えていく。

そして2人は右手と左手で手をつなぎ1つの拳で触手クトゥルーを貫く。

地面に落ちる触手クトゥルー。

「やったか」と、期待する2人だが

触手クトゥルーはさっきよりも凶暴に動き出す。

「2人の力だけじゃダメなの?」

「こうなったら」と、ファイヤーアーマーはギアコマンダーのボタンを押して「"グランドザウラー"!」と叫ぶ。

「現実世界と遮断された異空間よ⁉︎来るの?」

「分らねぇ!けれども」

その時、ルルイエ空間を作るオーロラにヒビが入り

トラック形態のグランドザウラーが突入して来る。

「来た!」

「ウソでしょ⁉︎」

グランドザウラーのコンテナハッチが開いてライドファイヤーが出てくる。

「よっしゃぁ!一気に行くぞ!」と、人型形態のライドファイヤー変形すると

「破獣合体!」と叫んで合体シークエンスに入る。

ウェスタントラックのシャーシ部分がせり上がり、胴体から腰にかけての部分に変形。

コンテナガワが開き背中の羽となる。

トラックのフロントから運転席にかけてが2つに割れて肩から腕に変形する。

胸にはティラノザウルスの顔を模った意匠が付いている。

胸が開いてライドファイヤーが中に乗り込むと

顔が展開して青と白のボディーカラーのマッシブな機体が完成する。

「グランドザウラー!」

グランドザウラーは背中に装備したグランドドリルを取り出して右腕の拳に装着する。

グランドドリルで襲ってくる触手を蹴散らすと今度はグランドメイスを取り出して

触手クトゥルーの頭上まで高く飛ぶ。

「ぶっ叩け!」と、グランドメイスを振り下ろして触手クトゥルーの頭蓋に叩きつける。

"ドスン"と、凄まじく鈍い音がルルイエ空間に響き渡ると、グランドザウラーはグリップを捻って

グランドメイスの鋭く尖った先端を飛び出させて"グシャ"っと頭蓋を貫かさせる。

触手クトゥルーはそのまま静かに砂へとかえる。

同時にオーロラも消えて元の病院の中庭に戻る。

「やった」と、よろこぶなでしこ。

すると彼女のマジカルコンパクトが変化して

両腕にメカメカしいグローブ型の武器マジカルナックルが装備される。

「これが私のレベル3の武器⁉︎」

驚くなでしこのところにファイヤーアーマーが戻って来る。

「何だそれ⁉︎」

「そうか、私の武器はリーチが短くてどうしたら間合いが取れるんだろうって悩んでいた。

いつからか敵から離れて戦う方法ばっか考えていたけど、これはツカサのように相手にぶつかって

戦って行けってことね」

「よく分かんねぇけどそういうことだな」

笑いあう、ファイヤーアーマーとなでしこ。

朝日が昇って日が差し込んでくる。


***

翌日

院内の休憩室で新聞紙を手に取って読むヒト。

記事の見出しには"天才ドクター謎の変死" "院内の中庭で意識の無い状態で発見"

と書かれている。

「自らの死で求めていた死の答えは得られたかな?先生……。まぁそれはもう先生にしか分からないか」

新聞紙をゴミ箱に放り投げてその場を立ち去るヒト。


***

とある公園

柊紫月の前に、りりか、アイリ、マヤ、すずめら魔法少女が現れる。

「あなたが、この街に派遣されて来た柊紫月さんね?」

「そうだが……」

「私は、りりか。さっそくあなたの魔法少女の力を見せて?」

「魔法少女?」

「(マジカルコンパクトを見せて)貰ってないの?」

「ああ、(鼻で笑って)くだらない。そんな力は私には不要だ」

「な、何を言っているの⁉︎」

「そうよ!マジカルコンパクトを使わなくてどうやってクトゥルーを倒すつもり⁉︎

生身の人間で勝てると思ってんの!」と、すずめが反応する。

紫月は、黒い物体をりりかの前に放り投げる。

りりかの足元に転がる黒い物体を見やると魔術協会のマリーダの生首。

「きゃぁああ!」と叫ぶ魔法少女たち。

りりかは腰を抜かしてその場にへたり込む。

「魔術協会は私が倒した。あとはクトゥルーの間宮ヒトは私が倒す」

「ま、待って!」

紫月は黙ってその場を立ち去る。


つづく






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