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七日間の演技  作者: ティファナ
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ルリタマアザミ

第8話



「では、お二人の出会ったきっかけと王家が異国人と結婚することについてのお考えを」

出会ったきっかけについては用意していたとおり、店で知り合ったと答えた。

「異国人?あなたにはわたしがそうみえるの?」

「いえ…聞かされたときは驚きましたよ。こんなにもこの国の住民と似ている異国の方がいらっしゃるとは」

「僕にとって彼女が異国人かどうかなど問題ではない」要は用意していた答えを口にする。

「彼女の家柄とは?」記者もしつこかった。

この国の誰も知らないレンスイの過去を聞き出したいらしい。

「ここまでにしよう」要は記者の意図を察したのか、取材を中断させた。

「悪かったね」

「いえ……あなたは何も聞かないんですね、私の過去について」

「訊いてほしくないとか最初に言ってたから。君が教えてもいいと思えるときまで待つよ」

「それは有難いです。一つ言えることは、貴方が私の過去を知ったら私は殺されるかもしれないということです」

要は怪訝そうな顔をしたが、レンスイはそれ以上何も言わなかった。その後は、ほとんどを席に座って過ごした。

「もうそろそろいいかな?さっき言ってた全体での挨拶……」

もうそんな時間なのか。レンスイは頷いた。

「静粛に。国王陛下からのお言葉です」

「あぁ、僕はいいよ…レンスイ」

「皆様、この度は私共の為にお集まりいただきありがとうございます…(略)……これからも何卒宜しくお願いします」レンスイは間違えずにスラスラと言う。

「レンスイ…これは形ばかりになるかもしれないけれど」要はそう言ってレンスイの左手に指輪をはめた。ダイヤモンドではなく水晶が埋め込まれている。

「ダイヤの方が良かったかな?君の名から選んだんだ幸運を呼ぶ石とも言われている」

「こっちの方がいいわ…そうだ、クリス伯爵?と飲む約束をしてるのだけどいい?」

「ほどほどにね」

レンスイは要に許可をもらい、クリス伯爵を引き連れてテラスに出た。

「んーーー、美味い」

「自分で高級ワインと言ってたじゃない」ワインなど今日飲んだのが初めてのレンスイにとってはどう美味しいのかわからない。

「やっと邪魔されずに話せる…君はいったい何者だい?普通の人とは違う」

「私の過去など詮索しても何も出てきませんよ、そういう話をするなら戻らさせていただきます」

「ごめんごめん、ただあまりにもあのお方と雰囲気が似てたからさ」

あのお方……?いったい誰のことだろう。

「要の義母だよ」

「セレス国の?今は敵対関係にあると聞いているけど、私はどうやってこの国に潜入したのかしら?」レンスイは動揺を隠して話す。

自分がセレス国の、ましてや王家の姫などとバレたら一大事だ。

「もし王家ならない金払えば門兵も通してくれるんじゃないのか?」

「私が?ダンッスも踊れないのに?」

「言われたらそうだな。ならスパイか?」

彼はレンスイをセレス国の人間と決めつけている。まぁ、実際そうなのだ。

「クリス、そこまでだ」

「おっ、要かー…でももしこいつがスパイだったらだぜ、」

「もしそうだとしても別に構わない。僕は仕掛けられない限り揉め事は起こさない主義だからね」

「そんなこと言ってるからいつも攻められるんだよ」

「最後は必ず勝ってるんだからいいじゃないか。さてと、彼女は返してもらうよ…少し酔ってるみたいたし」

「酔ってなんてないわぁよ」

本人に自覚はないものの、他から見たら完全に酔ってるレンスイを連れて広間に戻る。彼女は酒に弱いらしい。

「二日酔い……気分悪くなりたくないならすぐに寝たほうがいい。招待客には言っとくから」

「そうする」

要はビージーを呼んでレンスイを部屋に連れて行かせた。

こうしてレンスイの演技の3日目が終わろうとしていた。



第8章 END


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