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七日間の演技  作者: ティファナ
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バラ(ピンク)

第6章


そして、パーティー当日……。

いつも通り起きて朝からパソコンを開き仕事をする。レンスイはねっとで依頼された人が見てほしい未来を視てお金を得ている。いつも通りやっていると一瞬依頼者の過去が視えた。そんな時ビージーがやってくる。

「レンスイ様、早くお着替えになってください!」

「今の………何?」なぜ過去が…。

「レンスイ、様??」

「ああ、ごめん。あの着慣れないドレスね」

昨日はあのドレスを着るのに苦労した。触るだけでも嫌という程高級素材ということもわかった。

「レンスイ様、彼とのご結婚が嫌なのですか?」ビージーはレンスイの着替えを手伝いながら聞いてくる。

「わからないわ………ずっと一人だったから誰かと過ごすなんてどんなことか」

「そうでしたか。髪は下ろしたままにしますね……できましたよ」

レンスイは鏡の前でくるりとまわった。ライラック色のドレスだ。

「馬子にも衣装、かな」いつからいたのか部屋の入り口で要が立っていた。

「どういう意味?」「髪は下ろすんだな」

レンスイの髪は長い。一つにはまとまってくれないだろう。

「レンスイくん、綺麗だよ」要の父だ。

「ありがとうございます、彼には馬子にも衣装…と言われたのですがどういう意味かわかりますか?」

「要、どうして君は素直じゃないんだ?彼女は綺麗だろう」

レンスイは馬子にも衣装の意味がわからないので話についていけない。

「それよりさっさと来い。面倒な出迎えの時間になる」

時計を見ると8時5分前だった。レンスイはヒールを履き、要に続いて一階に下りる。

「これはこれは国王自らのお出迎えありがとうございます」大袈裟な挨拶に聞こえるのは自分だけだろうか。

「遠いところからよく来てくれたな。毎度毎度すまない、クリス伯爵」

綺麗な男性だ…タキシードを着ていなかったら女性に見えてしまうだろう。

「彼女は?」

「初めまして、レンスイ・クリスタルと申します」レンスイは挨拶をしてお辞儀をした。この動作には慣れている。

「……驚いた。綺麗な女性とは聞いていたがお美しい方だ」

「あっ、ありがとうございます」

「いくら幼馴染の君だからといっても彼女は僕のものだからね」

「はいはい、わかってって。口説くつもりはないよ」伯爵は笑いながら言った。

「幼馴染?」

「まぁね。いつもの広場でたろ?案内はいらないよ。それではレンスイ・クリスタル様、また後ほど」

礼儀正しい人のようだ。あとで要の過去でも聞きに行ってみよう。

「あとは誰が来るの?」

「叔父叔母に従兄弟のジェン、あとは資産家かな。一人だけ面倒なのがいるけど」

どんな人か気になったが聞かないでいた。どうせあとで分かることだ。それから何組もの人に挨拶をし、ひと段落したところでレンスイ達もホールに行くことにした。

ホールでは立食パーティーが行われており、疲れたものは端にあるソファに座っている。レンスイと要は壇に上がり皆より少し高い席に案内された。上から人を見下ろすことができる。

「レンスイ、何か食べるかい?」

「そうね、柑橘系のものを貰えるかしら?……こんな風にあの人達も見下ろしてたのかしら」

レンスイは最後だけ独り言のようにつぶやいた。両親もこうやって見てたのだろうか。

「レンスイ様…」「ああ、ありがとう」

レンスイはゼクトが持ってきた果実の入った皿を受け取る。口にすると、甘酸っぱさがひろがった。

「少しせたら挨拶にまわる」

「わかったわ」レンスイは果実を二つほど口にしてすぐに立ち上がる。次は誰に挨拶するのだろうか。

「叔父さん叔母さん、お久しぶりです」

「あら要くん久しぶりねー」

「この子が君のお姫様かい?」

「要にぃー」従兄弟のジェンだろうか……まだ5歳にもなってなさそうだ。

「レンスイ・クリスタルです」

「にしても美人だねぇ。テェシナさんに似てるんじゃないか」

テェシナ……聞いたことのない人だ。今日の招待客にはいなかった気がする。

「義母のことだ」「ああ…」

要はレンスイを連れてほとんどの客に挨拶をすませた。

「終わり?」

「面倒なのが残ってる。僕に好意を寄せてるようでね、嫌味を言われるかもしれない。君は来なくても……」

「そういうのには慣れてるから大丈夫」レンスイはあっさり言った。今まで数え切れないほど一族の恥と言われてきた。もう、慣れている。

「やぁ、マリー」

「マリーなどと気安く呼ばないで下さいませ、国王陛下」金髪で派手な赤色のドレスを着ている。いったいどういう知り合いだろうか。

「彼女はマリー・ジャーマン、南地区の貴族をまとめてくれてるお方の娘さん」

「初めまして、レンスイ・クリスタルと申します」

「あら、よろしく。にしてもその髪は何かしら?髪を結うことも出来なくて?」早速嫌味を言われた。

「髪を傷めたくないので」レンスイは即座に返す。大したことのない嫌味だ。

「それよりあなた階級は?平民とか言わないわよね?こんなところで平民と一緒とか私なら耐えられませんわ」

「マリー!」要は怒ったように彼女の名を叫ぶ。

「お言葉ですが。ただの平民と盗賊とはどちらの身分が低いのでしょうか?」

「とうぞく?何のことかしら?」

「貴女のお父様、3日前の夜中1時頃に隣町の8番地の住宅に不法侵入してますよね。元々は盗賊の家系だったのかしら?今もその癖が抜けないようね」

レンスイはまるで見てたかのような口ぶりだ。

「お父様が⁈」

「でももう捕まったようよ。ここにももうすぐ警察が来そう……少し隠れさして」

レンスイはそういうやすぐに要の後ろに隠れる。バレないと思うが、念には念をだ。



第6章 END

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