表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/51

羽田の血筋



奈緒(を支配する影)から放たれる強大な負の感情に、舞子と鳴海は圧倒されそうになります。洞窟内の空気は重く、肌にまとわりつくような不快感がありました。鳴海は、妹の変わり果てた姿に涙を浮かべながらも、舞子のそばを離れずに立っています。


「奈緒…お願いだから、目を覚まして!あなたは、そんなことをする子じゃない!」


鳴海の必死の叫びは、虚しく洞窟内に響き渡ります。奈緒は、冷たい眼差しで姉を見下ろし、嘲笑いました。


「甘いな、鳴海。私はもう、お前たちの知っている奈緒じゃない。この力こそが、真実だ」


奈緒が手を掲げると、洞窟の壁画からさらに多くの黒い影が蠢き出し、彼女の周囲を取り囲みます。それは、かつてこの地で苦しみ、絶望した人々の怨念の具現化のようでした。


舞子は、手のひらの白い石を強く握り締め、心の中で亡き母に語りかけました。「お母さん…私に力を貸してください。奈緒を…みんなを救いたいんです」


その瞬間、白い石が眩い光を放ち始めました。その光は、奈緒を取り巻く黒い靄を僅かに押し返し、洞窟内に温かい、清らかなエネルギーを広げていきます。


「これは…!」


鳴海は、突然の変化に目を見開きました。舞子の身体からも、微かな光が溢れ出し始めています。それは、羽田の血に眠る、巫女としての力の萌芽でした。


「奈緒!あなたの心には、まだ温かい光が残っているはずよ!思い出して!私たちと一緒に過ごした、楽しい日々を!」


舞子は、精一杯の声で奈緒に呼びかけます。白い石の光を浴びながら、彼女は一歩、また一歩と、奈緒に向かって歩き出しました。


奈緒は、舞子の放つ光に、一瞬怯んだような表情を見せましたが、すぐに嘲弄的な笑みを浮かべました。


「無駄だと言っているだろう!お前たちのそんな光など、この闇には勝てない!」


奈緒が手を振り上げると、黒い影が一斉に牙をむき、舞子と鳴海に襲い掛かってきました。鳴海は、舞子を守るように前に立ちますが、その力は圧倒的です。


「鳴海さん、危ない!」


舞子は叫び、手のひらの白い石を掲げました。すると、石から放たれる光が奔流のように広がり、襲い来る黒い影を弾き飛ばします。しかし、その勢いは衰えず、再び二人に襲い掛かってきます。


絶体絶命の状況の中、舞子は、以前母から聞いた言葉を思い出しました。「困った時には、満月の光に石をかざしなさい。きっと、あなたを導く光が見えるはずだから。」


今、この洞窟には満月の光は届きません。しかし、舞子の手のひらの石は、確かに月の光を宿している。彼女は、最後の力を振り絞り、白い石を奈緒に向かって掲げました。


「奈緒…!あなたを、必ず救い出す!」


その瞬間、舞子の身体から、今まで感じたことのない強烈な光が迸りました。それは、白い石の光と、彼女自身の内なる力が共鳴し、増幅された、希望の光でした。光は、奈緒を取り巻く黒い靄を激しく揺さぶり、その中心にいる奈緒の表情を、一瞬苦悶に歪ませました。


しかし、影の力もまた強大でした。光と闇が激しくぶつかり合い、洞窟全体が激しいエネルギーに包まれます。舞子は、意識が遠のくのを感じながらも、奈緒に向かって手を伸ばし続けました。


その時、舞子の背後から、もう一つの強い光が差し込んだのです。それは、洞窟の入り口に現れた、見慣れない女性が掲げる、同じように白い光を放つ石でした。


「諦めないで…!その光は、きっと届く!」


女性の声は、舞子の意識の中に、温かく響きました。その声には、どこか懐かしさを感じました。


一体、この女性は誰なのか?そして、この光は、奈緒を救うことができるのか?激しい光の中で、舞子の意識は、再び闇へと沈んでいきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ