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秘めたる力





森の奥深く、舞子と鳴海は、変わり果てた奈緒(を支配する影)と対峙していた。周囲を包む静寂が、三人の間に張り詰める緊張感を際立たせる。月明かりが木々の間から漏れ、奈緒の歪んだ笑顔を妖しく照らしていた。


鳴海は、怒りを押し殺した低い声で言った。「奈緒…もうやめろ。そんなことをしても、何もならない」


奈緒(を支配する影)は、せせら笑うように言った。「何もならない?甘いわね、お姉様。力こそが全て。この力があれば、私はずっと苦しんできたこの世界を、思い通りに変えられるのよ」


舞子は、静かに息を吸い込んだ。彼女の内に眠る羽田の血筋の力は、まだ目覚めてはいない。しかし、奈緒を救いたいという強い意志が、その力をわずかに呼び覚まし始めていた。微かな光が、舞子の手のひらに集まりかけていた。


「奈緒は、そんなことを望んでいない!」


舞子の言葉に、奈緒(を支配する影)は、鋭い視線を向けた。「黙りなさい、よそ者が!あなたに、奈緒の何が分かるというの?」


その瞬間、奈緒(を支配する影)の周囲の空気が、わずかに歪んだ。黒い靄のようなものが、彼女の体からゆっくりと立ち上り始める。それは、サービスエリアで見た影よりも、ずっと濃く、禍々しい気配をまとっていた。


鳴海は、身構えながら言った。「舞子、気をつけろ!何をしてくるか分からない!」


舞子は、頷きながら、手のひらに集まりかけた光を凝視した。それは、まだ頼りない小さな光だが、確かに、この異質な力に対抗するための、唯一の希望の光だった。


「奈緒…たとえ、あなたが操られているとしても…私は、あなたを諦めない!」


舞子の言葉が終わると同時に、奈緒(を支配する影)が、黒い靄を鞭のように操り、二人に向かって襲い掛かってきた。鳴海は、素早く身をかわし、舞子を庇うように前に出た。


「舞子!後ろに下がって!」


鳴海の叫びと同時に、黒い靄が、鋭い刃物のように鳴海を切り裂こうとする。舞子は、意を決して、手のひらに集めた微かな光を、奈緒(を支配する影)に向かって放った。


それは、ほんの小さな光だった。しかし、その光が触れた瞬間、黒い靄が僅かに後退し、嫌悪するように小さく震えた。


「な…何…?」


奈緒(を支配する影)は、驚愕の表情を浮かべた。その小さな光の中に、彼女にとって耐えがたい、清らかな力が宿っていることを感じ取ったのだ。


舞子は、その一瞬の隙を見逃さなかった。「鳴海さん!今です!」


鳴海は、その言葉に呼応し、素早く奈緒(を支配する影)との距離を詰めた。彼女には、特別な力はない。しかし、姉としての強い想いが、彼女を突き動かしていた。


「奈緒!目を覚ませ!」


鳴海は、必死の叫びと共に、奈緒の肩を掴んだ。しかし、その瞬間、奈緒(を支配する影)は、強烈な力で鳴海を弾き飛ばした。鳴海の体は、近くの木に激しく叩きつけられ、苦悶の表情を浮かべた。


「お姉様…邪魔をしないでくれるかしら?」


奈緒(を支配する影)は、冷たい視線を鳴海に向けた。そして、再び舞子の方へと向き直った。その瞳には、先ほどの驚愕の色は消え、代わりに、強い警戒と憎悪の色が宿っていた。


「まさか…あなたに、そのような力があるとは…だが、その程度の力では、私を止めることはできないわ!」


奈緒(を支配する影)は、再び黒い靄を増幅させ、舞子に向かって、より強大な力で襲い掛かってきた。森の静寂は破られ、激しい力の衝突が、新たな戦いの幕開けを告げていた。舞子の内に眠る力は、果たして、この強大な影を打ち破ることができるのだろうか。そして、傷ついた鳴海は、妹を救うために、再び立ち上がることができるのだろうか。

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