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歪む姉妹





「奈緒…一体、あなたに何が…?」


舞子の問いかけに、奈緒(を支配する影)は、ゆっくりと首を傾げた。その動きは、どこかぎこちなく、人形のようだった。


「私?私は、ずっとこうだったのよ。あなたが気づかなかっただけ」


その声は、奈緒のものとは明らかに違う、低く、ねっとりとした響きを持っていた。舞子は、目の前の存在が、奈緒の姿を借りた何か別のものだと確信した。


「あなたは…あの時の…サービスエリアの影…!」


舞子の言葉に、奈緒(を支配する影)は、歪んだ笑みを浮かべた。「あらあら、随分と察しがいいのね。でも、もう遅いわ。奈緒の心は、私がいただいた」


舞子は、衝撃で言葉を失った。奈緒の意識は、完全にこの影に乗っ取られてしまったのか?そんなことが、本当に起こりうるのだろうか?


「奈緒を…返して!」


舞子は、怒りと悲しみを込めた叫び声を上げた。しかし、奈緒(を支配する影)は、冷たい視線を舞子に向けた。「返せ、ですって?面白いことを言うのね。彼女は、ずっと苦しんでいたのよ。私が、その苦しみから解放してあげたの」


「解放…?それが、人を操ることなの!?」


舞子の言葉に、奈緒(を支配する影)は、楽しげに笑った。「操る?違うわ。これは、融合よ。彼女の望みと、私の望みが、一つになったの」


舞子は、その言葉に強い嫌悪感を覚えた。彼女の苦しみを利用し、己の目的のために彼女を支配する。そんなことが、決して許されるはずがない。舞子の内には、羽田の血筋を受け継いだ強い意志と、微かに宿る力が、静かに燃え上がっていた。それは、まだ完全に開花していないものの、この異質な存在を前にして、確かにその存在を示し始めていた。


「あなたを…奈緒から引き剥がす!」


舞子は、決意を込めて叫び、両手に力を込めた。その時、背後から、焦った声が響いた。


「舞子!」


振り返ると、息を切らせた鳴海が、森の中に駆け込んできた。彼女の顔には、深い悲しみと涙が浮かんでいた。


「鳴海さん…!」


舞子は、驚きと安堵の表情で鳴海を見た。しかし、鳴海の視線は、舞子の背後に立つ奈緒(を支配する影)に釘付けになっていた。


「奈緒…一体、どうしたの…?」


鳴海の声は、震えていた。目の前にいる妹の異様な雰囲気に、彼女もまた、ただならぬ事態を悟ったのだ。


奈緒(を支配する影)は、鳴海を冷たい目で見つめた。「あら、お姉様もいらっしゃったのね。ごきげんよう」


その瞬間、鳴海の顔から、 悲しみが消え去り、その代わり、強い怒りの色が浮かび上がった。「貴様…!奈緒に何をした!」


鳴海の言葉に、奈緒(を支配する影)は、再び嘲笑的な笑みを浮かべた。「言ったでしょう?私たちは、一つになったのよ」


三人の間に、緊張感が張り詰める。姉妹の再会は、最悪の形で実現してしまった。舞子と鳴海は、変わり果てた奈緒を前に、戦う覚悟を決めた。羽田の血を引く強い意志と、内に秘めた力を持つ舞子。そして、姉として妹を取り戻したいと願う鳴海の怒り。二人の静かな決意は、目の前の強大な敵に立ち向かうための、唯一の希望の光となるだろうか。そして、その戦いの先に待つのは、さらなる絶望か、それとも、かすかな希望の光なのか、まだ誰にも分からなかった。

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