79話 逃げられない
なぜか反乱軍の本拠地まで連れてこられた。話すだけなら職員室とかでもよかっただろうに。
当たり前のようにいた反乱軍のリーダーは、謎に目をキラキラとさせてこちらを見ている。なんか怖いから関わらんとこ。
「シンクルド、久しぶりだね」
「で?不審者ってどんな奴だよ」
「なんでリーダーである僕を無視するわけ?」
「あれは事件を隠蔽するための時間を作るために学園長が言い出した嘘よ」
「ガチでなんなの?お前ら」
俺が通報されたんじゃないかって焦った時間を返してくれ。
つーか事件の...隠蔽?つったか?今。
その一言だけでものすごく不穏だ。
「ねえ。僕さ、めんどくさい内容なら帰りたいんだけど」
どうやらド畜生太郎先輩も嫌な予感がしたらしい。多分、今回は今までの案件で一番ヤバイ。
「俺もド畜生太郎に同意するわ。一般生徒を寮に避難させるレベルの隠蔽って…。明らかに学生の俺たちが関わっちゃダメなことだろ」
俺とド畜生太郎先輩とで苦言を呈したものの、タマはそんなことお構い無しに話始めた。
「本当は事件があったのよ。朝、廊下に複数の血だまりが発生したわ。それと、生徒数名と昨日警備していた人が行方不明になってるの」
「ガチかよ」
「目撃者がいないし血だまりを見つけたのが学園側の人間だったから、学園長はこの事件を隠蔽する方針にしたそうよ」
「そうかよ聞きたくなかったわそんな真っ黒な話。なんで俺にそんな話したんだよ。本当に隠蔽する気あんのか?」
タマ視点だと俺は元第一騎士団、ということになってるはずだ。隠蔽したいなら元とはいえ騎士団やってた人間に言うなや。
つーか反乱軍のリーダーは俺が第一騎士団にまだ籍あるの知ってるだろ。なんでコイツの言動止めねぇんだよ。通報されたいのか。
「分かってるわよ。だから土日も夜間警備に出てくれないかしら?」
「それは俺じゃなくてギルドの傭兵連中に話し回してくれよ」
本来ならバレてはいけないけど、比較的自分たちの都合通りに動かせる俺に頼み込むぐらいだ。この事件をどうにかしたいのは本当なのだろう。
そりゃ貴族の死亡者出す学び舎なんて社会的地位が消えるだけで済むようなもんじゃないよ?
でも今回はガチで意味わからん怪異が相手だろ。もし通報して処罰下されることになっても、流石に恩情的な処置が下るって。
そんな俺の非協力的な態度を見たタマは、あからさまに苛立ち始めた。
「これ以上死者を出すつもり?私たち三人でどうにかすれば、全て丸く収まるのよ?」
「タマのそういう、自分を犠牲にする思考に口出しする気はないけどよ、俺を巻き込もうとしないでくれるか?
あの勉強会なら手伝うけど、こういう案件は騎士団に通報ぐらいしてから言ってくれ」
「新たな死者が出るかもしれないのに」
「俺たちが死ぬかもしれないのはいいのかよ」
「ねー。僕帰っていい?」
「黙ってろド畜生太郎」
話が平行線でイライラする。第一騎士団の団長と話してる気分だ。
何が全て丸く収まるだよ。俺たちが生贄なってんじゃねーか。それに俺たち三人でどうにかできるものでもないし。
つーか俺に特定の場所しか調べさせてないのって、七不思議の出現場所がわかってるからじゃないのか?
最初は学園のどこかに革命軍の存在を疑わせる証拠でも転がってんのかと思ってたけど、ホントにわざわざ俺をこんな隠蔽に巻き込まないはずだ。
そして証拠がないから口の硬い外部の人間に頼ることだってできるだろ。
今回ばかりは折れない。そう心に決めるも、反乱軍のリーダーは見逃してくれなかった。
「シンクルド」
「なんだよ」
「解決させろ。じゃないと殺す」
「よーし、頑張るぞ☆」




