78話 行きたくない
日が差してきた頃。目が覚めたら知らない場所にいた。
「どこだここ」
妙に見たことあるようでない場所だ。昨日行った居酒屋からそんなに離れた位置じゃないのか?
「居酒屋の裏ですよ。おはようございます」
「経費は何時もの小切手で払ったよー」
「シンクルド、立てますか?」
「どっこいしょ....。なんとかいけそう」
フルに二日酔いの影響は出ている。辛い。2度寝したい。
しかしこんな場所で寝転ける訳にもいかないので気合いで立ち上がった。
「じゃあさっさと帰ろうよ。お腹空いたから早く朝ごはん食べたい」
「ド畜生太郎先輩に友達いないこと煽られてから記憶ないんだけど...。あの後何があったんだ?」
「一通り飲み終わった後すぐにシンクルドが寝てしまったんで、今回だけ特別に居酒屋に泊めてもらったんです」
「だったらなんで俺は居酒屋の裏で寝てたんだよ」
「僕がシンクルドを外に引っ張り出したんだ。吐かれたら嫌だったから」
「何してくれてんだよ」
「ちなみに君、外出されてしばらくは近所をぐるぐる徘徊してたよ。最後には『学園はどこだ!』って言って居酒屋の裏で寝たけど」
「嘘だろ?」
*****
昨日晒した醜態を教えられ、恥ずかしすぎてもうこのまま逃げようかとも思いながら学園に到着してすぐ。
タマが今までに見たことない焦り具合で近づいてきた。
「やっと見つけた!昨日の夜、どこに行ってたのよ」
「居酒屋で飲んでたけど。それがどうかしたか?」
「今は不審者の目撃情報が出てるから、皆寮に避難しないといけないのに、平民寮にいなかったからよ」
それ昨日の酔っぱらった俺じゃないのか?誰かに見られてたの?
いやまず、それよりも気になる発言があった。
「避難って…お前は寮から出てんじゃねーか。何してんだよ」
「私は学園長から特別な許可をもらったわ」
「不審者がいるのにうろついていい許可ってなんだよ」
「ちなみにシンクルドとコン太郎にも許可が下りてるわよ」
「なんでだよ」
あれか?巨大円口ミミズ討伐したからか?学園側からしたら俺たち3人組の繋がりってそれくらいだし。
その理由ならその特別な許可が降りるのも分かる。
「ニホには許可が出ていないから、早く寮に戻った方がいいわ」
「は、はぁ。でも、学園内で不審者の目撃情報があるなら、学園内にある寮も危ないんじゃ?」
「あそこはキモイぐらい結界やらなんやらが張られてるから大丈夫だと思う」
初日でドン引きした記憶がある。多分、他の色んな生徒が練習で張りまくってんだろうな。少なくとも不審者が魔法を使って暴れることはできないはず。
それに魔法が使える生徒たちが寮に避難してるから割と安全だと思う。しかも貴族の生徒が多いから、第三騎士団辺りが警戒させられてるかも。
「二人はついてきて」
「了解」
「はーい」
拒否する隙間すら与えて貰えない。




