77話 勘違いで済ませたい
「そのグロデスクてるてる坊主と沈む床って、どうやって人殺してんだよ」
「てるてる坊主の方は魔法で気絶させたうえで腸を引きずり出してるらしいよ。沈む床は分かんない」
「なら警戒した方がいいのは沈む床のほうか」
「え...?」
「てるてる坊主は魔法攻撃だってのが割れてんだろ?それだったら少なくとも俺が攻撃を食らうことはないから、第一騎士団の方でどうにかできる...かもしれない」
正直今の第一騎士団の状況考えるとギルドに依頼した方が一番手っ取り早い気がするけどさ。
少なくとも無駄な被害者を出すことはなくなるし。
「沈む床は...。まあ、血が出てるってことはその場で攻撃受けるとは思うが...。遺体がないってのが怖い。本当に床に沈められてるとかだったら俺が死ぬ」
「自分が死ぬか死なないかが基準だったんですか??」
「最重要だろ。過剰装甲持ちの俺が死ぬってことは、エンカウントしたらどんなやつでも死ぬ可能性あるんだぞ。対処できん」
「なるほど…」
今のメンバーだけで挑むなら、被害者を出さないように立ち回るのが精一杯の可能性が高い。お互いに力を隠しまくってるし、今回は謎にアタッカーのサリエルがいないし。
「他に聞きたいことある?」
「はい!せっかくなので、他の怪異についても教えてください!」
「血を吐く絵画はその名の通りで、笑うポストの紳士は笑いながら道案内してくれるポスト。夢見るピアノは知らない音色を無人で奏でてるピアノのことだよ」
「昔の怪異は害がなさそうだな」
「夢見るピアノの音色は全部聞くと3日後に死ぬらしい」
「死ぬのかよ」
「これに関しては噂だけで被害者とかは出てないらしいよ」
「紛らわしいな」
こんなデマ流した人誰だよ。暇だったのか?
「黒く染まる...なんちゃらは?」
「黒く染まるケサランパサランは、最初は白い綿毛みたいな感じなんだけど、生物に引っ付いて血を吸い取った後黒く染まって空中にプカプカ浮いてるっていう」
「蚊のえぐいバージョンって感じか」
「まあ貧血で人が倒れたときに黒い埃が舞っただけだって言われてるけどね」
「は、はぁ....。他のヤツってそんなんばっかだな」
「最近の噂が可笑しいんだよ。あとこれ以上七不思議に関する情報はないよ」
「お話面白かったです。ありがとうございました」
「別にいいよー」
即死系か被害者がないものばっかりだった。とりあえず被害者がないものを無視するとして、警戒が必要なのはグロデスクてるてる坊主と沈む床の2つだな。
やっと怪異の内容を知ることが出来た。
「というか、僕的には二人がこの話を知らなかったことの方が驚きだよ」
「は?どういう意味だよ」
「他の学生から教えてもらえなかったの?」
「は、ははは...」
「なんだよ。俺たちが友達いないってディスってるのかてめぇ」
「いや?同じ講義の人間と雑談したりとかもするでしょ?その時にいくらでも聞く機会あったじゃん」
やっぱディスってんじゃねぇか!!
「あのなぁ?世の中には身分の差ってのがあるんだよ!!」
タマが友好的過ぎて忘れそうになるけど、学生のほとんどの人は貴族だ。平民である俺たちが用もなしに話しかけられるわけがない。
普段話す人たちは真面目過ぎて雑談をしない人や、そもそも留学できているので情報が偏っている人ばっかりだし。七不思議の存在自体、反乱軍のリーダーに言われるまで知らなかったわ。
「へぇ。大変そうだね」
「適当言いやがってこのド畜生太郎がよ!!」
「ど、ド畜生太郎??それって先輩のことを言ってるんですか??」
「酔ってんね~。やっぱシンクルドって面白いわ」
「それはセンキュー!!!」




