46話 困惑
リアルが多忙なため、8月18日まで休載します。
俺が言えたことではないけど、あいつ王様相手に何してんだよ。
「第一王子殿下に会いに来たんだろう?」
「そう、だけど」
「それなら早く行きなさい。王様には私たちから説明するから」
王様に手刀入れた近衛兵が、重そうなヘルムを外した。
キツい目つきで睨まれる。
一瞬だけ謀反かとも思ったが、この国の近衛兵がそんなことをするはずがない。
なら、尚更なんで王様を気絶させたんだ??
「…近衛兵が、こんなことしていいんすか?」
恐る恐る聞くと、近衛兵は眉を歪ませた。
「第一騎士団員の命がかかっているのだろう?」
「おう」
「しかも第一王子殿下にお会いできれば助けられるのだろう?」
「まあな」
「なら今すぐにでも第一王子殿下に謁見しに行きなさい」
よく分からないけど確かに時間がないので、第一王子の部屋まで走って向かった。
*****
先程の王座の間の入口と変わらないぐらい大きな扉を無遠慮にノックする。
場所は以前と変わっていないが、絵画や調度品は増えている気がした。
「…誰だ」
苛立ちながらもそう聞いてきた。よりによって機嫌が悪いのかよ。
自分の間の悪さを呪いながらも返事をした。
「殿下、シンクルドです」
そう答えた瞬間、場の空気が凍ったような気がした。
…やはり俺じゃダメだったか?
多分、嫌われてるだろうし。
この後どうしようかと悩み始めた矢先、勢いよく扉が開かれた。
「シンクルド!!」
「うおっ!?」
全力で飛びついてきたので、思わず片足を引いて避けてしまった。
*****
めちゃくちゃ歓迎してくれてる。
良くて疎遠になってると思っていたので、完全に予想外だった。何がどうなってんだ?
状況をよく理解できていないが、もはやタックルしてるんじゃないかってぐらい全力で背中を押されたので、とりあえず部屋に入った。
困惑している俺をよそに、第一王子は扉を完全に閉め切ったところで魔法陣を発動させた。
「さて...防音魔法を発動させたよ」
機嫌の良さを全身に滲み出しながら笑顔を向けられる。その歓迎ムードもそうだが、最後に見た時よりも背を伸ばして美人になっている第一王子にドン引きした。
なんだコイツ。
「じゃあ改めて...やあシンクルド!」
「...ひさしぶりだな」
「ほんとにな!というわけでくらいやがれ」
第一王子は全力で飛びかかってきた。避けてもめげずに何度も攻撃を仕掛けてくる。
「このやろー!!俺を魔窟に放置しやがってー!」
「仕方ねぇだろ!俺だってお前の護衛下りたくなかったけど王命は逆らえねえよ!」
「やかましいわー!!」
「待て待て!今日は緊急の用事があって来たんだよ!」
そう言うと「なんだよノリわりー」とボヤきながら攻撃の手は止めてくれた。
余計な言葉教えた俺が言うのもあれだけど、こいつ柄悪いな。




