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こんなん人間不信になるわ  作者: 朝緑
忙しい学園生活
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45話 漫画に洗脳された人たち

ニックから馬を借りて、急いで王宮へと向かうことにした。


学生服で王宮に行っても絶対に追い返されるので、道中に誰も来なさそうな森の中で第一騎士団の正装に着替えた。


書類上はまだ第一騎士団に籍が残っていたはずなので詐欺にはならない。正装も保管場所が分からなくてアイテムボックスに突っ込んでただけだったけど、ちょうどよかった。


晩に王宮へ向けて飛び立ち、馬のために休憩を挟みつつ移動して、翌朝に到着した。なんの連絡も無しに押し掛けた形だったが、門番は特に咎めず「馬は私どもが預かります」とだけ告げた。こういうときだけ第一騎士団の肩書は便利だ。


お言葉に甘えて馬は門番に任せ、入ってすぐの受付で簡潔に用件を伝えた。受付係は、今日の訪問リストにない顔が現れたことに一瞬驚いたが、すぐに笑顔を取り戻した。


「本日はどのようなご要件でしょうか」

「緊急の用事で第一王子へ謁見しにきました」

「…お名前は?」

「シンクルドです」

「……………」


俺の名前を聞いた受付係は一瞬固まり、


「少々お待ちください」


慌てた様子で奥の方へと向かって行った。かなりの時間待たされたので追い返されるかとも思ったが、それは杞憂で終わった。


「許可が出ました。ご案内いたします」

「場所は分かりますよ」

「昔とは内装がかなり変わっておりますので、私どもがご案内いたします」

「え?あ、はい。ありがとうございます」


受付係1名とメイド2名に囲まれながら王宮を案内される。これまでにない対応に困惑しながらも大人しく従っていると、なぜか王座の間へと案内された。


…あれ?俺さ、ちゃんと第一王子に会いに来たって言ったよな?なんでよりによって1番会いたくない人の元へ連行されてんの?


部屋を間違えていると周りに伝えたかったが、なんか空気が異様に重かったので言い出せなかった。


やたら豪華な入口から王座までにはレッドカーペットが敷かれており、王座の両側にには鎧を着た近衛兵がいる。王様は読書の最中だったらしく、俺の事を一瞥するとすぐさま視線を本へと戻した。


俺のことなど興味すら無さそうだ。


俺からしても薬の流通うんぬんは第一王子が管理しているらしいし、王様とは仲が悪いからできるだけ関わりたくない。さっさと退散したい。


とりあえず礼儀は尽くそうかと思い、跪いて頭を下げた。


「王様、お久しぶりです」

「久しいな。シンデレラ」


ふんっ、と鼻で笑われた。


「今は第一学園で勉学に励んでいると聞いて安心していたのだが…何をしに来た」

「第一騎士団の団員として、第一王子殿下に謁見の機会を賜りたく、」

「認めん」

「…これには緊急を要する事情がございます。どうか、用件だけでも、」

「認めないと言っている」


やっべ。やらかしたかも。先に要件を言っておくべきだったか?しかし俺だって引き下がるわけにはいかない。


「大切な仲間が命の危機に瀕しているのです。どうか、ご慈悲を」

「朕は認めぬぞぉぉおおお!!!!」


なんでだよ!この内容の何がそんなに気に食わないんだよ!


ついに王様も騎士団長のように人情を倫理観を投げ捨ててしまったのかと困惑していると、王様は本を閉じてこちらをものすごい勢いで睨みつけて来た。


「そうやってこの朕の息子に良い恰好を見せて騎士にあこがれを抱かせ、第一騎士団に引きずり込み、国中から愛されるアイドルにするつもりだろう!」

「...失礼を承知で聞きたいんですけど、もしかしてご乱心中ですか?」

「許さぬ!!これ以上朕の息子に変な価値観を吹き込み、距離を詰めようなどと!!朕は断じて許さぬ!!!」

「いや変な価値観吹き込まれてるの王様の方だろうが!」

「なんだと!!!」


近衛兵から殺意を向けられた。確かに普通なら即殺されていいレベルの無礼を働いているが、自身が強力な固有能力を有しているのを盾に、怒りのままに叫んだ。


「こっちは!仲間の!命がかかってんだよ!!!」

「ミズガネとシンデレラがいるのに第一騎士団に死人が出るものか!!」

「出そうだからこの俺が!悪ふざけしすぎて5年王宮を出禁になった俺が!!こんなところに!!飛ばされたんだろうが!!!」

「ええいやかましい!朝っぱらから好き勝手ホラを吹いて騒ぎよって!そんなにまた朕からのケツしばきをくらいたいのか貴様は!」

「ホラじゃねえよ!勝手なことばっか言ってんじゃねえよこの暴君が!!」

「なんだと!!!!!!」


王様と俺の会話がさらにヒートアップしそうになったその時。王様の隣に控えていた近衛兵の一人が、王様の首元に手刀を打ち込んだ。


「は?」


王様はその手刀で気絶した。


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