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0話 プロローグ
「へえ。平民で第1騎士団に入隊して、貴族ですら入学が難しいこの学園に入学……君は本当に優秀なんだね」
あたかも初めて俺の事を知ったかのように話すこの金髪の青年は、嘘くさい笑顔で俺を見下す。貴族がよくする笑みだ。彼はきっと、年上とはいえ平民である俺なんかよりもこういった重圧的な会話に馴れしているのだろう。
相手に有無を言わせないような話し方はなんらかの教本のモデルになりそうなほど空気を張り詰めさせている。
「学園内では僕と直接関わることはなさそうだけど…是非仲良くして欲しいなぁ」
心底残念そうにボヤくも、内心では毛ほども思っていないに違いない。だって俺が第1騎士団から学園に送り込まれた密偵だと知っているから。
「仲間として」
入団届と手書きで書かれたちり紙を目の前に差し出される。
革命軍、と自称する彼らは何故かこの学園内に基地を作っていた。そしてその反乱分子を探る俺を仲間に引き入れるつもりらしい。
どうしてこうなった。