表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

7

 大学のほど近くに、安い部屋を借りた。学校はオリエンテーションが終わったばかりで、まだ本格的な授業は始まっていない。通学路の途中にある川原で咲き誇る桜を眺めながら、狭いワンルームに辿り着く。

 ただいま、と誰もいない部屋に声をかけて上がり、部屋に鞄を下ろす。空気を入れ替えようと窓を開け、ベランダに出た。

 ポケットで軽快な通知音が鳴り、僕はスマホを取り出す。ついさっき会ったばかりの葉月からメッセージが届いていた。

 僕らは、同じ大学に進学した。葉月は高校こそ中退してしまったものの、自力で勉強をして大学に合格した。それで静養になっているのかと、僕は心配したものだ。

 学部は違えど、今日は一緒に学食で昼食を摂り、たわいの無い話をした。デザートのプリンを幸せそうに口に運ぶ葉月は、いつまでも見ていたい笑顔を湛えていた。

 明日も一緒にお昼を食べよう。数度やり取りをして、僕らは同じ言葉を打ち込む。


 また明日。


 送信ボタンに触れた時、穏やかな風が吹いて、僕は空を見上げた。

 どこからともなく流れてきた桜の花びらが、風に吹かれてくるくると楽しそうに回っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ