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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

父と伯父の話

作者: 冬野天


 僕の父さんと、父さんの兄は血が繋がっていない。

 父さんが中学二年生、伯父さんが高校一年生の時に親の再婚で義兄弟になった。

 とても仲が良く、父さんが母さんと離婚した時も一番気にかけてくれていた。

 僕の事も可愛がってくれて、何でも買い与えようとするから父さんによく怒られている。


 伯父さんは昔、少しヤンチャしていたらしい。

 当時の写真を見せてもらったけれど、少しどころじゃなかった。

 金髪で耳にはたくさんのピアス。そして鋭い眼差し。

 一緒に写っているお友達も中々の強面だ。

 そんなヤンチャをしていた伯父さんは、今では会社を経営している。

 この写真を見てからだと余計に驚きだ。


 会社も経営していて、顔立ちも整っている。

 性格だって、頼りになるし気遣いが出来る人だ。 

 なのに何故か恋人がいない。

 モテる要素はあるのに不思議に思って、本人に聞いてみた事がある。 


 「伯父さんは、どうして恋人いないの?」

 「どうしたんだ急に?」

 「社長でイケメンだから、恋人の座を狙う女性はたくさん居そうなのになと思って」

 「陽汰……まだ小五だろ? 大人びてないか?」

  伯父さんは片手で顔を覆いながらため息を付いた。


 「伯父さんはな、ずっと好きな人がいるから恋人はつくらないんだよ」

 好きな人がいると聞いて驚いた。 


 「その人に好きって伝えないの?」

 「伝えないよ。 言ったら今までみたいに会えなくなるから」

 そう言うと伯父さんは少し泣きそうな顔になった。

 聞いてはいけない事を聞いてしまったかもしれない。

 それから、伯父さんにその話をするのをやめた。  


 

 高校一年生になった僕は、その時の事を今思い出していた。

 小さな喫茶店を営む父さんのお店には、よく伯父さんが訪ねてきている。 

 僕も学校が終わったらたまに手伝っていて、今日も手伝っていた。 

 

 父さんがコーヒーを入れている姿をジッと見つめる伯父さん。

 その目はとても優しくて、愛おしいって伝えている。

 友達が好きな女子を見ている目と同じだ。

 だから、伯父さんの好きな人が分かってしまった。

 気持ちを伝えない理由も。



 でもね、伯父さん。

 伯父さんが今コーヒーを飲んでいる姿、父さんがどんな目で見ているか知ってる?

 伯父さんと同じ目で見ているんだよ。

 好きって伝えても、会えなくならないよ。 

 

 二人とも素直になっても良いのに。 

 大好きな二人が幸せになってくれる事が、僕はとても幸せなんだから。



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