信託の間
「…っと、ここは?
何が起きた?」
小鷹は周囲を見回すと教室にいた生徒や教師、そして斗の姿もあった
生徒たちも何が起きたか分からずにざわめいている
その時だった
ジャーーーーン!
銅鑼の音が響き、全員が静まる
「いきなり驚かせてすまない。」
豪華な服に王冠を頭に乗せる男性がここにいる全員を見渡せる高い位置から声をかける
「君たちはこの世界とは異なる世界から来た…その点に間違いはないだろうか?」
その問いかけに誰も声を発さず、数名が頷くだけである
「ここはアーテム王国という国で、私はそこの国王アルテリアである。
君たちは女神の導きにより、魔王を討伐に助力してもらうべくこの世界に呼び寄せられた選ばれし者なのだ。」
アルテリア王の言葉にざわめきが再び起こる
「君たちから私に質問などはあるだろうか?」
再び静寂が訪れる
「俺たちはいったいどうなるんですか?」
1人の生徒が言う
「一度、王宮に保護し、魔王討伐のために力をつけてもらいたい。
最終目標は魔王討伐であるが、すぐにではない。
ゆえに、君たちにはより強くなってもらうために様々な訓練や援助をさせてもらう。」
アルテリア王の言葉に三度、静寂が訪れる
「他に質問がなければまずは各自の部屋を用意するのでそちらで休んで…」
その言葉が言い終わる前に王は挙手する小鷹を見つめる
「何か質問が?」
「はい。
まず、女神の導きとは?」
「預言と言う能力を持つ巫女が女神の言葉を告げるのだ。」
「どのような内容かお聞かせ願えますか?」
「うむ、一言一句とはいかぬが…この場所は信託の間と言い王宮の女神信仰の本殿でもある。
預言の内容では
信託の間に30の若き者を召喚する
魔王討伐の大いなる力であるとともにこの世界の発展に寄与する者
されど扱いを間違うべからず
その者は国にも世界にも民にも、そして魔王にも大きな力をもたらす
といった内容であった。」
「だったら、先生たちは関係ないんじゃない?」
女性とが呟く
「確かに私は若くないけど…
1-Aのクラスは全員で30人だから…」
そう教師が言いながら小鷹と斗を見る
「この場には33名いて、教師である2人とそもそも学園外部の私は預言とは無関係、と言うことみたいですが…
その場合、私たちは元の世界に帰れるのでしょうか?」
小鷹は質問する
「ふむ…それは難しい…。
なにせ、君たちをここに呼んだのは女神の奇跡の力。
それゆえに我々ではどうすることもできず、女神に祈れども常に答えが示されるとも限らぬ…」
アルテリア王は困りながら言う