異世界へ
都内某所にある私立皇学園
その中にある1-Aの教室が眩い光に包まれた
光が収まった時、その教室からは人が消えていた
生徒も教師も…そして…この物語の主人公となる男も…
ーーー1時間前ーーー
学園長室にて
「はじめまして、学園長の佐藤と申します」
恰幅の良い初老の男性が来客者を出迎える
「はじめまして、株式会社ビジュアライズの小鷹と申します」
スーツを着た小鷹と名乗る男性は名刺を差し出しながら挨拶をする
「これはご丁寧にありがとうございます。
こちらが教頭の斗先生です。」
「教頭の斗と申します、本日はよろしくお願いします。」
スーツを着こなす女性が挨拶をする
「いやぁ、今は少子化やらコンプライアンスやらで学校経営も楽ではなくてですね〜。
生徒の成績や進学・就職率も悪くはないのですが、寄付金や助成金も減る一方…
不景気でお恥ずかしい話ですが教員のリストラも視野に入れてる始末です。
ですが、御社は経営コンサルタントのプロでその界隈でも有名だとか…」
「いえ、まだまだ大手コンサルタント会社には及びません。」
「それでも、先日、都内の学園総合理事会で知り合いの学園長は御社のことを褒めちぎっておりました。
5年間の赤字経営が御社に依頼して一年経たずに黒字化に成功したとか」
「お褒めいただきありがとうございます。
ですが、元が良かったからこそ改善して大きな効果が現れた、というだけで私どもは微力なお手伝いしかしておりません。」
「あまりご謙遜なさらないでください。
さっそくですが、この学園の経営回復にお力添えください。」
「はい、全力を尽くさせていただきます。
事前にご連絡させていただきました通り、まずはこの学園を隅々まで見学させてください。」
「はい、こちらの斗先生が案内します。
御社はホームページを拝見しましたが、『見える化』を主軸に置いているとか…」
「そうですね。
問題点、改善点がはっきりするのはもちろんのこと、今後、目標達成のためにはどうするべきかの指標になりますので。」
「目標設定は大事ですな。
では、よろしくお願いします。」
その後、小鷹と斗は学園内を見回り、小鷹はその都度メモを取ったり、携帯で写真を撮影していく
そして、1-Aの教室前に来た時だった
「教室の中は放課後の方がよろしいですかね?」
「そうですね、放課後ではなくとも休み時間がいいですね。
生徒たちの授業の様子が特段必要ではないのならば授業の妨げになるかと…あと5分ほどで授業は終わりますのでそれから教室に入りましょう。」
「わかりました、少しここで待たせてもらいましょう。」
そして…チャイムが鳴り響いた…
キーン…コーン…カーン…コーン…
チャイムの音に強いエコーがかかる…
…ーーン…ゴォーン…ゴォーン…
電子的なチャイム音がまるで…大聖堂の鐘のような響きに変わり…そして、眩い光に包まれた