019_アイテムボックスの検証
ちょっとした青春でしょうか?
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019_アイテムボックスの検証
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ゴルテオさんの店は色々なものがあり、洗濯機や扇風機のようなアイテムも置いてあった。以前ドラマで見た初めての東京オリンピック前後の昭和チックな商品だなというのが正直な感想かな。
逆に新鮮で時間を忘れて見ることができた。おかげで気づいたら夕方になっていた。
今日はゴルテオさんが不在だからか、副店長さんがずっとついて回ってくれた。そこまで上客ではないから、気にしないでと思わないでもない。
「大した買い物もせずに長居をしてしまい、すみません」
ちょっとしたものは買ったが、大した金額ではないから副店長さんに念入りにお礼を言う。
「いえいえ、今後も当店をよろしくお願いいたします」
商人の鑑というべきか、嫌な顔一つせずに終始良い接客だった。
ゴルテオ商店を出てすぐに、歩きながら盗賊のことを確認。
「あれはどうなったかな?」
「はい。3人とも後方からついてきます」
4時間くらいゴルテオさんの店に居たけど、その間待っていたようだ。ご苦労なことだ。
そのまま宿屋に帰るのも癪だから、政庁と衛兵詰所の前を通ってやった。
「距離が離れました」
衛兵詰所はさすがに盗賊には鬼門か。
「その角を曲がったら走るぞ」
「はい」
角を曲がって走り、またすぐに角を曲がって、何度も角を曲がった。
いつの間にか、俺はアンネリーセの手を握っていた。なんて柔らかい手なんだろうか。このままずっと掴んでいたい。
「ご主人様。撒けたようです」
「……そうか」
気合入れて、ちゃんと追いかけてこいよ! 俺はアンネリーセの手を離したくないんだよ、分かる? ねぇ、分かってよ!
「近くに反応はありません」
アンネリーセの魔力感知は50メートルくらい。そこそこ離れた。ちっ、役に立たない盗賊だ。
「宿へ帰ろうか」
「はい……あの……」
「何?」
「手……このままでいいですか?」
俺が握っている手を見つめるアンネリーセ。
「……ああ、このままな」
もちろんですとも!
「はい」
俺たちは手を繋いだまま宿に帰った。青春しているようで、気恥ずかしい。
でもこれはいいものだ。アンネリーセの手を無言で握って移動する。
宿屋の前に辿りつき、あれから盗賊の気配は感じられないとアンネリーセは言う。
食堂で食事を摂ってから部屋に戻る時も、部屋の中に誰か居ないか魔力感知で確かめてもらった。念には念を入れて悪いことはない。
「あの盗賊は俺を狙っているんだ」
「なぜご主人様を?」
「9日前のことだ。俺はこのケルニッフィに向かって街道を歩いていた」
ケルニッフィなんて知らなかった頃の話だけど……。
「その時、商隊を襲う盗賊団に遭遇したんだ」
あの時のことを語って聞かせる。あの盗賊団の頭を倒したことも話した。
「ご主人様は当然のことをしたまでです。逆恨みもいいところです!」
アンネリーセは殊の外お冠だった。そのプンプンが可愛らしく、俺の心が癒される。
「俺もそう思う。殺されるのが嫌なら、盗賊なんてしなければいい」
盗賊たちにも言い分はあるだろうけど、人を殺して盗んで女性を犯す。こんな奴らの話を聞く気はない。
「この宿は知られてないと思いたいが、楽観視すると痛い目を見ると思う。だからちょっとした仕掛けをするね」
「仕掛けですか?」
ゴルテオさんの店で購入したものをベッドの上に出していく。大量の鈴とタコ糸のような紐だ。
「この紐に、鈴を頭1つ分空けてつけていってくれるかな」
「はい」
アンネリーセは文句を言わず、黙々と鈴を紐につけていく。
その間に、俺はアイテムボックスの検証をしよう。
まず、着ている服をアイテムボックスに入れる。うん、成功。
「いきなり裸になって、どうしたのですか?」
アンネリーセが真っ裸の俺を見て驚いている。一言言えば良かったね、ごめん。
「ちょっとしたアイテムボックスの検証だよ。気にしないで」
アンネリーセは鈴をつける作業に戻り、俺は検証に戻る。
身につけているものをアイテムボックスに収納するのは成功した。
次は俺から50センチくらいのところに置いた短剣を回収。これも成功。
今度は1メートルくらい。これも成功。
2メートルはうんともすんとも言わない。
1.5メートルくらいもダメだ。
詳細鑑定の説明を読むと、この距離はアイテムボックスの熟練度が上がると長くなると思われる。
俺のアイテムボックスは触れてなくても回収できるけど、その距離は1メートルまで。
逆に出す時も1メートルの範囲内に出せる。これ、もしかして凄いことかも。
アイテムボックスに石でも短剣でもいいが、入れておく。それを1メートル以内に居る人の体の中に出す。心臓に拳大の石を出しただけで、そいつは死ぬと思う。ヤバいことが頭に浮かんだ。
これは簡単に実験できない。モンスターならいいかもしれないが、1メートル以内という条件下で、大人しく実験につきあってくれないだろう。それにモンスターの心臓がどこにあるか分からない。もっとも頭部に石を出しても効果はあるはずだけど。
アイテムボックスの熟練度が上がったらこの距離も延びるから、その時にやってみよう。
「ご主人様。鈴をつけるのは終わりました」
「ありがとう」
「その、ずっと裸でいるのですか?」
「……あっ!?」
検証作業に夢中で、素っ裸のままだった。どうりで寒いと感じたわけだ。
アンネリーセの視線が俺の下腹部に……。そんなに見ないで!
服を着直して鈴付きの紐をドアに引っ掛ける。ドアが動くと紐が外れて落ちるようにするのがみそだ。2つある窓にも同じような仕掛けをする。
これでドアと窓から侵入されても鈴が知らせてくれる。安心して眠れるわけではないけど、ないよりはかなりマシだろう。
次は……。
「アンネリーセ。これで俺を縛ってくれるか」
「え?」
縄で俺を縛ってほしいと頼む。そういう趣味があるわけじゃないんだ。これも検証なんだよ。
「盗賊が俺を拘束したと仮定した縛り方で頼む」
「分かりました」
アンネリーセが俺の体に縄を巻きつけていく。なかなか手慣れている。アンネリーセの息遣いがなんだか早い。ん? ……って、これ亀甲縛りっ!?
「ずいぶんと縛り慣れているんだね……」
「盗賊団の討伐を何度か行いました。盗賊は殺してもいいですが、生かして捕縛すると犯罪奴隷として売れますから、報酬が増えるのです」
「なるほど……」
でも亀甲縛りは違う気がするのは、俺だけかな? いや、江戸時代の犯罪者は亀甲縛りされていたはずだからいいのか?
まあいい。あまり深く考えないでおこう。
俺を拘束するこの縄がアイテムボックスに回収できれば、捕まった時に逃げる手助けになるはずだ。
収納すると念じたら、縄は消えた。
「ご主人様がやっていたことの意味が分かりました。さすがはご主人様です。頭がいいです」
そんなに褒めるなよ。鼻が伸びてしまうじゃないか。
ただ、なんと言うか、まだやるべきこと───検証するべきことがあるような気がするんだ。それが何かと考えているんだけど、出てこない。
もやもや感はあるけど、検証を終えた。体を拭いて寝るとしますか。
「そろそろお湯をもらったほうがいいかな」
「徐々に寒くなりますから、そのほうがいいでしょう」
水は部屋の洗面台から出るけど、お湯は宿に頼んで1杯50グリルでもらえる。
今日は水で我慢し、明日からお湯にしよう。
2人して服を脱ぐ。俺はアイテムボックスに一括回収。便利な技を覚えたぜ。
アンネリーセは恥ずかしそうに、俺に背を向けて脱ぐ。俺はOPPAIも好きだが、OSHIRIも好きだからどちらにしても眼福だ。
「そこに座って」
「はい」
椅子に座ってもらい、アンネリーセの耳の後ろから、首筋、背中、腰にかけて拭く。
「腕を上げて」
「はい」
左の腋を拭く。横乳がプルンプルンと揺れる。はぁはぁ、このOPPAIを鷲掴みにしたい。
興奮しながら右側の腋も拭き、今度はこっちを向いてもらう。
「……はい」
暗い部屋でも分かるくらいの真っ赤な顔だ。
両手で胸を隠し、太ももを重ねるように下腹部を隠す。
恥じらいというものがない女性は嫌いだ。クラスメイトの中には、短いスカートで股をガバッと開けて椅子に座っている奴も居た。そういった奴ほどクズだった。
それに較べたら、アンネリーセの所作は女の子っぽい。恥じらいもあるし、お淑やかで、気遣いができる。
あのクズたちと較べるのはアンネリーセに失礼か。
零れ落ちそうなOPPAIの下乳を拭き、徐々に頂上へ登っていく。ここが山頂だ! 俺は今、登頂に成功したんだ! 白い雪を掻き分けて登ったピンクの頂上からの見晴らしは最高だぜ!
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